チャンスを待つこと

仕事か藍染かどちらかを選んで、どちらかを捨てるのではなく
仕事をしながら藍染をすることができない。という先入観を捨てたら。

昨日は夏至。
素敵な人と出会った。

ビビっときた。

今の仕事
 正社員で定収入がある
 仕事内容が楽しい
 成長できる仕事

 人間関係があまりよくない人がいる
 将来転勤の可能性が高い

藍染を本場でやる
 3年間の非正規雇用
 仕事内容は経理と藍染の畑
 休日は師匠のところに通える
 やすみが平日とびとび

無鉄砲なところがある私でさえ、
仕事をやめて移住して飛び込むことに
二の足を踏んでいた。

おじさんはそんな私にこう言った

若いからなんでもできる。だから飛び込んでみたら。
という人は、若いなら何でも飛び込めるもしだめだったとしても
若いからまた違うことに飛び込めばいいという考え方のループのなかにいる。

でも僕は思うんです。そんな風に<若いから>という理由で
飛び込むことを勧める人は、無責任なんじゃあないかなって。
なんの責任も持たない。

僕は、今あなたの話を聞いて、その仕事をやめない方がいいと思います。
藍染が好きなら、自分でやってみればいい。
今の仕事か藍染か、どちらかを選ばなければいけないことなんてないんです。
だって、楽しくやりたいじゃないですか。仕事にしたら楽しめないことも多い。

僕が藍染を習ったのもやはり本場で、でした。
一日で習ってそのあとは自宅に帰って毎日師匠に電話しました。
藍の状態を見るためになめてみたりしました。

それでここまでできている。
それでも、これだけ教室や商品を販売しても藍染だけで食っていくのは
とても難しい。厳しい。
厳しいと、それを楽しんでできないこともあります。

そのとき、私もイラストレーターを使う仕事が楽しいけれど、
忙しすぎるとそれを楽しむことができない状況になることを思い出した。

そういうことか。あの感覚を、藍染を仕事にしたら味わうのか。
ふとそう思った。

おじさんは続けて、
まずは師匠に自分のすんでいる地域で藍染をしたいということ、
すくもを分けてもらい、ノウハウを教えてもらえないか聞いてみたらいいといった。

それを聞くことはタブーのように思うけど、
だって師匠が丹精こめて育てた藍は商売のたねだから。
迷惑をかけたくなかった。

でも、それを聞くこと、教えをこうことが本気度を伝えるすべになるということも
おじさんから教わった。

だって、好きなことは楽しみたいじゃないですか。

そう言って笑ったおじさんのわらい皺が印象的だった。

楽しい仕事でお金をもらって生活をたてて
それで藍染をしたらいい。カメを置きたいなら相談してください。

おじさんの工房にカメを置いてもいいらしい。

ただ、おじさんの工房まで一時間以上かかる。
もう、自分の家にカメをおいてしまおうか。
それもありだ。

自分の先入観て怖いな。
両方頑張れるのにどちらも頑張れない道を選びそうになっていた。

おじさんは、藍染の道を横において歩いていったらいいともいっていた。
本場はまだまだ色々な意見で自由な藍染ができなくても
今、私がその道を趣味でも磨いておけば将来後継者がいなくなったとき
その技術が日の目を見る日が来るかもしれないと。

チャンスは掴もうとか、作ろうとしても生まれない。
チャンスの流れが来たとき、そこに乗るだけ。

無理に掴もうとして掴めるものじゃないんだ。
それなら、カッコ悪くてても少しでもできることをやってみる。

おじさんも最初は、綿の畑二畝から始めたらしい。
そのときは、あんな少しで、とか、すぐやめるだろうとか、
回りの人に言われた。

でも徐々に増やしていった。
今はオーガニック認証を受けるまでになった。

 地獄だてにこだわらず、インド藍でもいいかもしれない
悩むよりは全然いいだろう。

おじさんは、今持っているものを手放す必要はないといった。
いくつもできることを揃えてチャンスを待つんだと
それから、楽しむことを忘れずに。

また、染めにいこう。