アツアツな MacBook Air を直す
これは、旧アカウントで 2020/10/08 08:04 に投稿した記事を、加筆修正したものです。
昨年末、大須でジャンクの MacBook Air を見つけて買った。今回は、その MacBook Air の CPU グリスを塗り直して、すぐアッツくなるのを直そうという企画。
くだんの MacBook Air について知りたい方は、以下の note をご参照あれ。
はじめに
まずは MacBook Air のスペックを軽くおさらいしよう。
Late 2010 の 11 インチ。CPU は Core i シリーズですらなく、Core 2 Duo SU9600 1.6 GHz。メモリーは 4 GB。フラッシュストレージが 128 GB。GPU の NVIDIA GeForce 320M が Metal 非対応なので、OS は High Sierra 止まり。9月25日にセキュリティアップデートが降ってきたから、ギリギリまだサポート中みたい。
どれくらい古いマシンなのかを現代的に表してみよう。Zoom のバーチャル背景のサポート対象になっていないレベルだ。
第 2 世代 Core i シリーズの CPU が搭載された PC をいまだに使う人を、その開発コード名にちなんで「Sandy おじさん」と揶揄することがあるというが、これでは「Penryn おじさん」だ。いやおじさんと呼ばれる年齢ではないが。
すぐにアッツくなってファンが回り出す
Google Chrome で YouTube の動画を見てみる。すると、すぐにキーボード直下が熱くなる。「ほんわか」などという、生ぬるい言葉じゃない。「アッツい」という言葉が正しい。HWMonitor というアプリで CPU の温度を測ったところ、90℃ いっていた。これは PC が逝ってもおかしくない。(つまんないこと言ってんなぁ……)
そしてすぐにファンが全力で回り出す。動画を見ていて、見るのをやめてイヤホンを外した時に、送風機かと思うくらい、ファンの音がする。
この MacBook Air は、唯一私が所有するノートパソコンなので、熱で壊れたりするとかなり困る。大学に持って行けなくなる。私の破壊魔の能力を発揮し分解の結果壊すか、熱で壊れるか。この他動詞と自動詞の違いが与える、私への精神的ダメージの差は大きい。ということで、私は他動詞の方のリスクを取って、分解・修理することにした。
用意したもの
1. P5 1.2 mm ペンタローブドライバー
底面のネジを外すために使う。P5 1 本だけで問題ありません。私は単品で見つけられなかったので、ドライバーセットの中にあったものを使います。
2. T5 トルクスドライバー
T5 が 1 本あれば十分。私は、ホームセンターで精密ドライバーセットを買ってしまいました。下調べが甘かった。
3. CPU グリス
以前 Ryzen で自作 PC を作った時の余り。店にあったグリスの中で、熱伝導率が一番良くて、一番安くて、一番内容量が多かったから買った気がする。
4. エアーダスター
PC 内部に溜まったホコリを出すために使う。
5. ウェットティッシュ
ホコリを拭くのももちろんだが、肝心の役割は、古い CPU グリスを落とすこと。
修理していく
分解は、iFixit と、マカロンさんの動画を見ながら行った。
Mac はシステム終了して、電源ケーブルを外しておこう。
底面パネルを外す
まずは底面パネルのネジを緩め、パネルを外す。ねじ山 2 つくらいなめそうになった。
外した底面パネル。やっぱりホコリが付いている。エアーダスターの出番だ。
底面パネルが取り外された本体。こちらもホコリが付いてるのでエアーダスターで除去。
バッテリーケーブルを取り外す
システム終了していても、バッテリーはロジックボードに電源を供給している。工具によるショートや感電を防ぐため、電源の供給元のバッテリーケーブル(右の大きい方)は忘れず外そう。
I/O ケーブルコネクタを取り外す
CPU ファンの上に両面テープでくっついている平たいケーブルがある。このケーブルの両端のコネクタを、ソケットから外す。そんなに力を入れなくても外れる。iFixit やマカロンさんの動画では、ソケットから外したあと、CPU ファンからケーブルを取り外しているが、写真のようにソケットを外すだけでも大丈夫だ。
CPU ファンのネジを外す
写真のように、CPU ファンのネジを外して CPU ファンをずらす。すると、ヒートシンクのネジを外せばヒートシンクが取り外せる状態になる。iFixit では、CPU ファンのケーブルまで外すため、そのソケットを隠すように配置されているフラッシュストレージも外している。写真ではフラッシュストレージも外してあるが、ファンケーブルが細くて壊しそうだったのでビビって回避した。
ちなみに黄色い物体は、外したネジを保持するためにつけたマスキングテープ。写真写りが悪い。
ヒートシンクを外す
ヒートシンクのネジ 8 つを緩めれば、ヒートシンクが自由になる。Mid 2011 以降は、GPU 部分のヒートシンクがなく、ネジも 4 本しかない。GPU が Intel HD Graphics になって発熱量が減ったのだろうか。
古いグリスを除去
CPU にもヒートシンクにも、この通り古いグリスが固まっていた。ウェットティッシュできれいに拭き取る。
CPU グリスを塗る
新しいグリスを CPU と GPU のコア部分に乗せて、広げる。ただでさえ私はこの作業が下手なのに、CPU が今までいじったことのあるノート PC のものよりも小さくて失敗。盛りすぎた。
グリスを塗ったら、あとは元どおり組み立てていく。最後、バッテリーのコネクターも元に戻すのをお忘れなく。私がそうでした。
動作チェック
電源ボタンを押して起動し、HWMonitor で温度を確認。Google Chrome で YouTube の動画を 1080p で流してみる。
結果は 73℃。グリスを塗り直した割には、意外と高い結果となった。しかし、ファンは圧倒的に静かになった。以前のような唸る音がしない。今回の分解の成果だと信じよう。底面が熱くなるのは、MacBook Air の宿命だということにしておく。
まとめ
今回は、すぐ熱くなるジャンクの MacBook Air Late 2010 11 インチの CPU グリスの塗り直しを行った。結果、たぶん前よりも冷えるようになった。これで自動詞の方の破壊リスクが減ったと思われる。年内と噂されている Apple Silicon 版 MacBook の購入まで、もう少し現役でいてもらえそうだ。