障害発覚

(・・・昨日の続き)

長野が一生付き合っていくものが決まったお話です。

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 誕生から9カ月、ついに告げられた病名は想像していた通り「脳性麻痺」でした。母は知人から紹介された『心身障害児総合医療療育センター』(通称:整肢療護園)』で医師から「すべてお母さんの思っていたとおりです」と言われ、初めて声を上げて泣いたといいます。母にとってそれは、産後の腹痛やその後の悪夢、担当看護師への問いかけに至るまで、自分がずっと感じてきた疑念がすべて正しかったことが証明された瞬間でした。もちろん、それ以来「日大板橋病院には1度も訪れていないそうです(当時は病院を相手取り、訴えることまで考えていたといいます)。
 ところで、「脳性麻痺」は身体障害の中でも、肢体不自由に分類される完治されることのない非進行性の病です。ここで、もう少し詳しく「脳性麻痺」について説明しましょう。
発達障害者のためのポータルサイト『LITALICO発達ナビ』には次のように書かれています。

「脳性麻痺」とは「脳の損傷のために生じる運動と姿勢の障害」です。「妊娠中、出産前後もしくは生後4週間以内の間に、なんらかの原因で生じた脳の損傷が原因でおこる運動と姿勢の障害」とされています。

 現れる症状は脳のどの部分が損傷したかによって、1人ひとり全く異なります。幼少期で言えば年齢に応じた発達(ハイハイ、おすわり、姿勢の保持、歩行)の獲得が遅れる、又は困難な場合もあります。
 私は当時、ハイハイ、姿勢の保持、歩行ができませんでした。おすわりは支えてもらって辛うじてといった感じでしょうか。当時はハイハイというよりもずり這いといった方が適切でしたし、今でも歩行は困難で、外出には電動車椅子を使用しています。
「脳性麻痺」の特徴として、四肢(両手両足)障害と併せて体幹機能の障害、すなわち姿勢保持の困難さも伴うことが挙げられます。私が3歳で取得した「身体障害者手帳」には「脳性麻痺による四肢体幹機能障害」と書かれています。(現在は福祉サービス利用の都合上、上肢障害と下肢障害を分けて書くように指導されたため、別の表記がなされています。)

 先ほどからお伝えしているように脳の損傷部位は人によって異なるものの、麻痺の起きる場所で次の5つに分類されています。

1. 片麻痺:片側半身にだけ麻痺がみられます
2. 四肢麻痺:左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられます
3. 両麻痺:左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられます。上肢より下肢の麻痺が重度です
4. 対麻痺:左右の下肢に麻痺がみられます
5. 重複片麻痺:左右の上肢と左右の下肢に麻痺がみられますが、下肢より上肢の麻痺が重度です
(出典:LITALICO発達ナビ)
 
 また、症状による分類には、痙直型、アテトーゼ型、失調型、その他という4つのタイプがあります。
 痙直型は、「自分の意思とは関係なく筋肉が高い状態が続き、姿勢が固定されてしまう」ことが特徴であり、脳性麻痺の80%はこの型であると言われています。
 アテトーゼ型は「筋肉の緊張度合いが突然変わってしまうため、姿勢を保つことが難しい」のが特徴です。また、自分の意志とは無関係に身体が動いてしまう不随意運動も伴います。
 失調型は、筋肉の緊張が低く、正常と低緊張を繰り返すため、バランスを保つことが難しく、姿勢が不安定となってしまいます。また、歩けるようになっても転びやすいことも、失調型の特徴にあげられます。
その他には、痙直型とアテトーゼ型が組み合わさった混合型などがあります。
(出典:同上)

 私はアテトーゼ型なのですが、人前で話をする時、気持ちは緊張していなくても身体に勝手に力が入ってしまうことがあります。こうなると、身体の緊張によって声も出にくくなってしまうので困りますが、脳性麻痺と付き合い始めて30年ほどですから、自分なりの対策も少しずつ分かってきました。
 もちろん、これ以外にも苦手なことはたくさんあります。洋服のボタンを留める、はさみを使う、手首をひねって袋を開ける等です。
 本書ではこうした「障害」とどのように向き合い、その時々で何を感じてきたのかを中心に、年代に沿って赤裸々に綴っていきたいと思います。

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脳性麻痺との付き合いも早32年。

はたして年頃の大人のお付き合いができる日は、いつになるのでしょうか・・・?(笑)


図1


※ちなみに今は確信を持って「障害=病名ではない」と言えます。

 このあたりはまた追々・・・^^

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