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僕にできることはまだあるかい

「僕にできることはまだあるかい」

 すこぶる動きが良くなった両手を見つめ、このブログを書きながらそんなことを思っている。

 足がほぼ使い物にならない僕にとっての手は、僕にとっての心臓部である。

顔をあげたら泣いていた。だから僕はなけなしの知恵を絞っている。

 現在、僕は看護学校に通い詰めている。コロナ渦で学外実習ができなくなった学生さんのために。病院実習のモデルをしている。

 自身が教育実習と社会福祉士実習をしたのはもう10年近く前になる。準備や記録の大変さ、実践を想定した連携の大切さなど、種類は違えど少しは想像できる。

 そんな彼女たちが泣いていた。先生が真っ先に泣いていた。

 顔をあげたら、(アイ)マスクを取ったら泣いていた。


 ご存じのとおり、僕はたった1冊の本を出した駆け出しのライターだ。ライターと名乗った以上、日々の活動も包み隠さず書いていく。覚えてもらえるように極力毎日書いていく。

「障害を忘れられる瞬間」を1人でも多くの人に届けるべく、Try chanceの日々である。

 挑戦すれば道は拓けるということを体現しながら、苦しい社会に風穴を開けたい。そんな密かな想いもある。

聞けなかった涙の理由

 そんな彼女たちはもういない。一足早く次の舞台に旅立っていく。


 1度目は(実習中にも関わらず)本にサインをした時。

 2度目はメインだった手のケアが終わった直後、夢見心地の僕がアイマスクを取った時。

 目の充血が解消されて自分の視界が霞んだわけでは、なかった。

「嬉しかったのかな」

「苦しかったのかな」

「ホッとしたのかな」


 彼女たちは今、僕と一緒できっと記録を書いている(はずだ)。

 もし、僕の言葉が、姿勢が何かの引き金になったのだとしたら、ぜひその気持ちを書き留めておいてほしい。

 10年後の今、僕は過去の記録に支えられている。もちろんその時の記憶はそれ以上に鮮明に記録されているから。

いただいたサポートは全国の学校を巡る旅費や交通費、『Try chance!』として行っている参加型講演会イベント【Ryo室空間】に出演してくれたゲストさんへの謝礼として大切に使わせていただきます。