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画面の中の出会いが現実になった日

「東京に行く予定ができました…!」

そんな連絡があったのはわずか4日前。

連絡の主はこちらの記事を書いてくれたインタビューライターの田中美奈さんだった。

「〇〇駅に18:30頃到着できそうなのですが、僚さんのご予定いかがですか?」

聞けば関西から東京に行く用事ができ、横浜での予定を終えてから遥々こちらまで来て下さるという。

これはもう行くしかない…! 今度は僕が幸せのヒントを聞きたいと思った。

実はまだ同じ”場所”を共有したことはなかった

初めてコンタクトを取ったのは今から2年半前、以前からこちらの記事を読んでその存在は知っていた。

「過去があるから今がある。今を受け入れて1歩ずつ前に進もう」

決して背伸びをせず、自分に合った歩幅で歩もうとしている。

それは、つい他人と比べて自分を過小評価し、勝手に落ち込んでしまう癖がある僕に最も必要なスパイスだった。

そんな姿勢に胸打たれ、メッセージを送った時、彼女はまだ大阪で特別支援教育を学ぶ学生だった。

9月(3)


「悔しかったんです」 そこに込められた想いとは?

それから折にふれてオンラインでのやりとりを重ね、9月には出版記念イベントでもご一緒させていただくという有難いプロセスを経て、昨日ついに対面を果たした。常に互いの活動を注視してきたから、いわゆる初対面特有の”ギャップ”はまったくなかった。

想像通り、優しく穏やかな人、という感じ。

最寄りの駅で待ち合わせ、予約をしておいた料理も美味しい行きつけのカフェで腰を下ろしてまもなく、彼女が発した言葉に僕はハッとした。

「実は悔しかったんです…」

えっ!?

「本当に悔しかった」

彼女は確かに悔しいと言った。

訳が分からぬまま話を聴くと、どうやらそれは事前にお店を告げる際に僕が放った一言に向けられたものらしかった。

〇〇駅ならオシャレでバリアフリーなお店があるから、大丈夫!

線が異なる2つの駅の中間地点に住む僕は、何気なくそんな言葉を送っていた。そもそも女性に最寄駅まで来てもらうこと自体、男としてどうなの?と思うし、おまえがそこまで行けよ!と自分にツッコミを入れたくなるのだが、ここはひとまずそうした性別で考える思考は古いと割り切って話を進めたいと思う。

「〇〇駅ならバリアフリーのお店があるから…」

この言葉から彼女が想像したのは、車椅子ユーザーである長野の日常、当事者にとっては慣れてしまいがちな”我慢への違和感”だった。

言葉を交わすこと。やっぱりそれが近道!

(まだまだ入れるお店が少ないという)車椅子ユーザーの僕にとっては当たり前で、違和感すら覚えることのなかった”自分事”を、同じように自分事だと思ってくれる他者がいる。その事実や存在がどれだけ有難く、心強いことか。

実はその後も「予約していたテーブルに車椅子で入ろうとすると、膝が当たってしまいうまく食べることができないため、席の移動を申し出る」というアクションを起こしています。

一見、お店にも相手にも気を遣ってしまうような行動なのですが、空いている席に移動しようとする僕に、お客さんが自分の席を譲ってくれようとしたり、「言ってくれて嬉しかった」と感謝すら伝えてくれる仲間がいたり。

遠方から来てくれたその気持ちにとことん寄り添い、感謝を伝えるはずが人の温かさを誰よりも感じたのは、またしても僕自身だったかもしれません。

声を受け取り、そして必要な声をあげることにこれだけの力があるのか。

本音で対話をすることの意味をまた1つ、学びました。

共通点を携えて

そんなこんなであっという間の3時間。

何を話していたかと言えば、教育のこと、仕事のこと、そしてやっぱり子どもたちとの関わりについて。

日本中が少しずつ試練を乗り越えつつある昨今、最後は来年の大阪での再会を約束しました。


僕と付き合い続けてくれる人は皆、僕のそれを”ユーモア”と呼ぶが、離れていく人は皆一様に”〇〇ギャグ”と言ったりする。

これからも皆さんと楽しく付き合っていきたいから、しっかりユーモアを磨き続けたいと思う。

今日面白く書けたかは、知らんけど(笑)

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