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第2の職場

 ワークライフバランスの調和って本当に難しいですよね。皆さんは自分なりのバランス、取れているでしょうか。
 私の場合、フルタイムで正社員として働き始めてからというもの、仕事が終わるともうクタクタで、休日に遊びに行きたいという気分にはなりませんでした。まして、仕事での失敗も多く、精神的に追い込まれていましたから、なおさらです。
 さらに追い打ちをかけたのは、同時期に始めた1人暮らしと、社会福祉士の通信教育課程の履修です。親元を離れるということは、それまでやってもらっていたこともすべて自分(の指示)で行わなければなりません。私は職場からヘルパーの育成も期待されていましたから、仕事から帰宅してどんなに疲れていても、いい加減に振る舞うことはできません。
 それは、プライベートの時間もすべて同僚に支えられて生活するからこそ感じる悩みでした。日々アルバイトとして(自宅に介助に)やってくる自社ヘルパーに対しても、社員である私が愚痴1つこぼしてはいけないと考えていました。

 この当時の私は入社半年足らず、職場は創業から1年半のまさに「自転車操業」状態。とにかく利益捻出に奔走し、スタッフの雇用を守っていかなければいけない時期でした。
 また、家に帰ってホッとしたのも束の間、今度は通信教育のレポートが待っているわけです。1年7カ月で32本、これに3日間×4回のスクーリング、さらに、1ヶ月間の社会福祉現場実習に報告会・・・。今こうして書いているだけでも、目が回ってしまいそうです。
 加えて、入社3ヶ月がたった頃からは「ダメ元でやってみろ」と、シフトコーディネートの業務も一部担うようになりました。要するに、お客様が介助に入ってほしいという依頼と、ヘルパーの予定をマッチングさせ、会社の1カ月のスケジュールを作っていく仕事です。
 近くに福祉系の大学があった為、学生さんがヘルパーとして多く登録しているのが弊社の特長でした。しかし、授業やサークルの都合で急に勤務不可になってしまったり、7月と1月の定期試験期間時には、一斉に介助ができなくなってしまい、決まって人手不足に陥ってしまうという弊社ならではのデメリットを抱えていたことも事実です。(※現状は不明です)

 もちろん私は実際に現場で介助を提供することができないため、お客様のリアルな情報をなかなか掴むことができず、コーディネートは困難を極めました。
 コーディネート業務を円滑に行うためには、お客様自身の情報とヘルパーの力量・相性だけでなく、「A様宅からB様宅までは何十分だから間に合う」というように、移動距離を計算した逆算も不可欠なのです。もちろん、いくらお客様から依頼があってもヘルパーの休日を優先しなくてはならないこともあります。
 そんな時、ユーザーでもある私は、必死に打開策を探すのです。例えば、私の(翌日の)ヘルパーが決まっていてCさんのヘルパーが決まっていなかった時には、そのヘルパーに直接電話をし、Cさんの介助経験の有無と予定変更が可能かを自ら確認し、Cさんの介助に行ってもらうようにお願いするのです。
 さすがに自分のお気に入りのヘルパーを、他のお客様に回さなければならなかった時は、休日の楽しみまで奪われたような気がして辛かったですね(笑)
 そして、空白になった自分の(翌日の)ヘルパーについては、会社から帰宅した後に自ら1件1件電話を掛けて懇願していました。当時はこれが当たり前だと思っていましたが、気付かぬうちにいつしか自宅は「第2の職場」と化していましたね。

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 ここまで来た時にはもう、当の本人には何が正常で何か異常なのかという判断はできなくなっているのです・・・。

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長野 僚
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