土足と土

 良し悪しを決めたいわけではないことを前置きしておきます。


 先日、お昼ご飯に牛丼屋へ入った。入り口から店内にかけて泥が落ちている。その日は朝から昼前まで雨が降っていて、恐らく誰かの靴にしっかりついた泥が順を追って落ちていったのだと思う。その辺りの土というよりは、どこかのぬかるんだ土を持ってきたくらいの落ち方だったので覚えていた。朝から雨が降っていたし、工事か畑か分からないけれども、多分そこで作業した人が来たんだというくらいにしかその時は思わなかった。
 後になってぼんやり、土足で上がれる場所は土足を許す反面、無限に土を許しているわけではないんだろうなぁ、と思った。靴の裏の土をどこまで店の中に落としていいかという制限は明確にはないにしても、さっきの牛丼屋の土は誰かが掃除することになるし、店の床の掃除は労働にあたるだろうし、そう考えると土そのものは許されていないみたいだった。
 僕個人的には土足の是非を問いたい訳でもないし、店に入る時は土を落としましょうとか注意喚起したい訳でもない(その方が店側としては助かるだろうけど)。
 そういうことって案外あるよね、ってちょっと思ってしまった。土足で上がるのは許してるのに靴の裏の土は許してない、みたいなことってあるよな、って。
 でも土足だから絶対多少なりとも土がついている可能性はあるし、それを一粒一粒誰かが咎めたりはしない。ただしどこかに許容範囲があって、それを越えるとやっぱりダメで。何かは分からないけれども、そういうのあるよなぁと思った。靴の裏にこれくらい土がついていたらダメですよとか、あるいは全員必ず土を落とすマットの上で10回足踏みしてから入るようにするとか、そういうルールは今更決められないままになっていて、だいたいは節度ある人たちに助けられている反面、靴の裏に10cmくらい土をつけた人が来ても何も言えなかったりさ。


 個人のさじ加減に委ねられた暗黙の了解っていっぱいあるんだろうなぁとお風呂に入っていてぼんやり思ったことを書きました。ほんじゃ。

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