日記・LALALANDとソラニン

 iPadを買った流れで、せっかくなので動画のサブスクを使って動画を見始めた。何から見始めたらいいか分からないままLALALANDを見る。
 曲が好きで曲ばかり何度も聞いていて、本編は多分映画館で1度見たきりだと思う。序盤はミュージカル映画と思って気楽に見ていると中盤からヒロインのミアの彼であるセブが定職に就いていないことを憂いで自分の流儀ではない音楽で飯を食っていこうとする。それをミアが「そんなのあなたらしくない」と否定して、こんなの浅野いにおにもあったよなとソラニンの種田と芽衣子を思ったりした。種田バンドやってよ、種田は自分の好きな音楽で貶されるのが怖いんだ、確かそんな感じの台詞だった気がする。種田は結局自分の好きなバンドをやって、自分の流儀ではない音楽で飯が食えそうになったところを芽衣子が「お断りします!」とぶった切る。ミアは自分の一人芝居のステージがあるので「あなたがやりたいことって結局なんなの? 勝手にしろ!」みたいな感じで部屋を出て行く。結局その一人芝居が全く納得いかない形で終わり最悪な気持ちのところに遅れてセブが来てバチバチに怒りを放って別れを告げる。セブはミアのために始めた食える音楽をやめたみたいだし、ミアは実家に帰るし、僕は赤信号に突っ込んで死んだ種田の気持ちがようやく分かった気がした。
 なんだか、結局男は定職に就くとか食える仕事に就かなきゃいけないっていう枷に時々襲われて、そんなの本当は男女関係ないじゃんかと僕は思ったりもしたが、安心して毎日飯が食える根拠があるのは確かに大事らしかった。ソラニンにあたっては種田が芽衣子さんの仕事辞めさせちゃったところがあるから余計そうなのかもしれないけれど「飯を安心して食えない仕事をしている彼」っていうのはずっと設定の一つとして生きていく、というか多分実際にありえる事態なんだと思う。
 食えない仕事をしている彼が好きだし勝手に変な定職に就いてほしくない、みたいな、そういう気持ちも正直分かる。でも実際にのしかかってくる経済的負担、あるいは女友達が豪華な結婚式をしただとか一軒家を建てたなどと勝手に話が流れてきて、それも女友達はバリバリの専業主婦で、自分は会社で残業を繰り返しながら二人分の生活費を捻出している。
 それで彼が突然「俺、正社員になる」と言ってきたとする。すごく複雑だ。今まで応援してきたのに結局今更正社員なんかになりやがって。本当に彼の正社員が続くのか分からないんだから私も仕事続けるしかないじゃない。部屋の角に置かれたギターを投げる。そういえばあんたのギブソン私のなけなしのボーナスで買ってあげたんだった。思い出して余計気が滅入る。
 お金に負い目を感じて定職に就く彼と彼に夢を追いかけてほしい彼女のすれ違いはやはり何度見ても苦しい。LALALANDの中盤は見ていて生きた心地がしなかった。種田が死んで、種田の音楽をやるって言い出す芽衣子さんはもしかしたらどこまでも的外れで、甲斐性を持つことも自分の音楽をやることも許されず、思えば種田ってすごくかわいそうだったなぁとLALALANDの終盤に流れる走馬灯みたいなセブとミアのアナザーストーリーを眺めながら今になって思ったりした。
 そのあと大好きなヴェノムを見たのですごくすっきりした。続編が来年公開予定のようなのですごく楽しみ。

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