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人も馬も失われてしまった




まさか平田弘史の漫画がカナダで出逢われるとは、凄まじい体験と発見をうらやましく思います。カナダで「将軍」撮影してる、ってのもまた凄い話ですけどね。
紅毛碧眼のスタッフに囲まれてチョンマゲのサムライやら着物のお方様たちがデカいセットで時代劇やってるんだから、もうパラレルワールドですよ。猿の惑星じゃないですか。

そういう意味で、前回の「将軍」は完全に海外プロデュースでしたけど、今回のは真田広之さんがプロデュースにも名前を連ねてるというのが面白いですね。日本人ならではの視点というのが制作にどのように反映されるのか、と楽しみにしております。
とは言っても、ここは何時代のどこの国だ?とツッコミを入れたくなるような時代劇を見たいというか、そういうものが好きだったりする非国民だったりします。というより、今の日本でももう、ちゃんとした時代劇らしい時代劇が見られないんだから、もうちゃんとしてないメチャクチャなものを見たいんですよ。

だって、最近の役者さんたち背も高くて小顔で、全然着物が似合わないんですよ。鴨居に頭ぶつけそうな人も良くいるし。日本家屋の規格に合わない役者が多くて、何か違和感があるんですよね。これは所作云々以前の問題なんですよ。身体がもう時代劇を演じるには異形としか呼べないような人が多くなったんです。
かつての三船敏郎はデカい人でした。しかし、それは周りが小さいからそのデカさ、異形さが光り輝いたんだと思います。しかし、今の役者さんたちは総じてデカいから小さい人の方が珍しいですよね。もう、デカい人だらけで小さい部屋に集まってる異様な光景にしか見えないんですよね。家もっとデカくしろお前ら!ってそういうとこをツッコミたくなるんです。

デカくなったと言えば馬もまたデカい。これは日本の競走馬自体も三十年前と比べ馬体が大きくなったせいでもあります。生産もサラブレッドがほとんどで日本の純血馬なんて絶滅危惧種だし。
戦国時代は馬が四尺五寸で立派な馬。五尺近くになると大名クラスの乗る名馬として高値で取り引きされてたそうなんですけど、今の時代劇に出てくる馬はたいがい六尺近い大きさですよ。
日清戦争の頃に日本軍が上海に上陸した時に、イギリスの新聞が「日本軍は馬に良く似た貧弱でよく喚く変な生き物を連れてきた」と書いたそうです。つまり、日本馬は小さく去勢もされず(その技術がない)うるさい、と嫌味を言われたわけです。日本の馬とは、そういうものだったのです。
「七人の侍」の馬もサラブレッドで、結構デカい馬なんですが、あの馬は痩せていて、その雰囲気の粗暴さや出自の悪そうな雰囲気が野盗の乗り物の雰囲気があったんですが、今やあんな馬はいませんね。

もはや人も馬も、時代劇に向かない体格になってしまったわけです。ならば精神はどうなんだ、といっても古文や漢文を教科書から排除しようとするような運動が結構支持されたりしていることを考えれば、言わずもがなであります。
ならもう、昔の人間を描いたり演じたりすること自体が難しいんだから、もう忠実にしようとしない、メチャクチャなマカロニウエスタン的な時代劇でもいいんじゃないか、という気分になるんですよ。

そういえば前に三池崇史が「マカロニ時代劇ジャンゴ」ってやってたけど、ああいうのが見たいんですよ。そういう意味で今、「将軍」がリメイクされてんだからこそ、スピンオフというか外伝でやるべき作品がありますよ。そう、それは「SHOGUN ASASHIN」。つまりは「子連れ狼」であります。

「将軍」やるなら「SHOGUN ASASHIN」もやってほしいよ。拝一刀できるのは岡田准一くらいか。若山富三郎並みの身体能力というと彼が適任のように思える。


将軍家の統治する日本の中で、その闇を担う柳生一族。彼らの陰謀にはまり妻を殺され、幼子を連れて日本中を逃げる拝一刀。そしてそれを追う柳生一族とその頭領である柳生烈堂。まさに「将軍」の裏テーマですよ。
そして、これ企画したら、絶対にタランティーノが出演しますね。どんな無茶苦茶な役でも。だって前述した「マカロニ時代劇ジャンゴ」でもどーでもいい役で出てたし。
しかも、プロデュースが真田広之なら断れないよ。サニー千葉の弟子ですよ。デューク真田だもん。東映マニアのタランティーノは絶対出るね。

タランティーノこういうの喜んでやりそう。そしてこういう胡散臭い役がまた絵になる。そしてアッサリ死にそう。そういえばタランティーノは「子連れ狼」のハリウッドリメイクの「ロード・トゥ・パーテーション」観て、こんなのダメだ!つって「キル・ビル」作った人だから、「SHOGUN ASASHIN」は絶対に出るな。


そんで役はイエズス会から派遣されたフェンシングの達人で、布教の許しを乞うためアジア一帯で殺し屋やってた流れ者の修道士。中国船に乗って来て強制送還されそうになったのを殺しの腕を買われて拝一刀と対決させられるという設定なら文句なしで出てくれます。
当然、デュークは柳生烈堂。いや、この際、時代設定無視して服部半蔵でもいいな。そうすればサニー千葉がなしえなかった「影の軍団」アメリカ上陸が実現するわけだ!これは熱いぜ!

というわけでこの企画、是非ともデュークに打診してください。ヨーリーは家光の乳母の春日局あたりで出演するんだ!ニッコリ笑って「邪魔だから殺しちゃえよ」みたいなこと言って柳生一族焚きつける所が見たいですね。

無邪気に殺人教唆とかする春日局。是非やっていただきたいし観たい。


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