リモートでの新たな試みは、コロナ禍の数少ない希望かもしれない。~ジャルジャル、ENGEIグランドスラム、劇団ノーミーツ~(前編)

4月6日に緊急事態宣言があり、そこから早くも一月半。自分の会社でもそうだったが、実際には3月途中から"3密"を防ぐ動きは出てきていて、リモートワークや興行の中止など、多くの影響があったといえる。そう考えればもう2ヶ月。やはりこれだけ時間があると、様々な新たな試みがなされているのだけれど、それを逆手に取って良いものにしようとしている動きももちろんある。

例えば、数日前にこのnoteでも書いたように、これまで頑なにオンライン配信を拒絶しているように見えていた落語界でもオンライン配信の流れが出来たし、テレビやラジオの収録でもリモート出演が増えたり、いち早く営業自粛に移ったライブハウスでも生配信を行うところも出てきていた。
(まあそんな配信しているだけのライブハウスにも”自粛警察”がやってきて営業休止を求めたりといったトラブルもあったけれど)

企業においても、リモートワークが多くなり、商談や打ち合わせ、社内会議のリモート実施はもちろんのこと、ちょうどメインの時期であった採用活動においても、オンラインでの面接やグループディスカッションの実施が始まった。

このように日本中(いや世界中か)で大きな動きを見せているのだが、そんな中でいち早くリモートをネタに取り入れたのは、ジャルジャルだったと思う。ジャルジャルは元々YouTubeで毎日ネタを上げるという取り組みをしていて、そのネタをリモート環境でセルフリメイクした作品をいくつか発表している。

ジャルジャル「リモート面接でめっちゃふざける奴」

【元ネタ】ジャルジャル「めっちゃふざける奴」

まずこの「面接でめっちゃふざける学生」のネタ。元々は通常の面接の設定でやっていたネタを、今流行りのリモート面接に環境を変えてリメイク。しっかりZOOMあるあるネタも取り入れていて、腹を抱えて笑ってしまった。特に自分でも何度もリモート面接の面接官を担当しているということもあって、「あるある」と頷くことも多かった。実際にこのネタを見た後に担当したリモート面接ではこのネタを思い出して笑いそうになってしまったし。

そんなジャルジャルがまたもリモートネタに挑戦したのが、これだった。

「ウルフルズに影響されてる奴~リモートオーディション~」

【元ネタ】「ウルフルズに影響されている奴」

【発展ネタ】「ウルフルズに会わされるウルフルズに影響されてる奴」

これも元々あった音楽のオーディションネタをリモートオーディションにリメイクしたネタ。凄いのはそこからで、ネタの中で福徳演じるトースター松林(ウルフルズのトータス松本の大ファンという設定)が歌う曲を、本物のトータス松本がInstagramで歌ったのだ。これ自体が凄い流れなのだが、そこからもう一本、続編のネタが出た。しかもトータス松本本人が出演するというサプライズ。これは是非続けてみて欲しい。

こういうサプライズというか、発信したものが巡り巡って次の流れに繋がっていくというのは、リモートというわけではないが、この”おうち時間”の世界だからじゃないかと思う。そうじゃなければこのようなスピード感で出演したりネタを作ったりすることは出来ないはずだから。そうした意味では、今後もこうしたサプライズの流れが生まれるんじゃないかと期待している。

ENGEIグランドスラム REMOTE

テレビ番組もこのご時世で大きな影響が出ている。テレビの収録現場など完全に密空間なのだから、しょうがない。バラエティーやニュース番組でのリモート出演が当たり前になりつつあるが、そんな中でネタ番組で初めてリモートをメインにしたものが放送された。

先週収録され、昨日5月23日に放映されたENGEIグランドスラムREMOTEは、スタジオにはネタをする芸人のみ、しかも芸人同士も距離を取り、漫才の場合はアクリル板で仕切っての演じる。そして司会のナイナイと松岡茉優は別スタジオ、観客はスタジオには居らず、リモートで観客の自宅に繋がっているという状況。これは物凄いチャレンジ。

そして芸人たちのネタも近づかなくても演じられるコントであったり、アクリル板を挟んだ漫才であったり、それぞれ工夫を凝らしたネタで、見ている分には非常に楽しめた。今しか見られないネタ、と言えるのではないだろうか。

実際、演じている方はとてもやり辛かったようで、爆笑問題の太田さんはラジオの中であまりにネタへの反応が分からなくて困ったと語っていたし、そもそも3月以降コロナの影響でネタ番組や営業がほとんど無くなっているので、コントや漫才自体をするのが久し振りで、番組の最後のエンドロールで芸人たちが「久しぶりにコント出来てほんと楽しかった」とコメントしているのがとても印象的だった。正に「普段当たり前に出来ていたことのありがたさ」を演じる方も見ている方も感じる番組だったと思う。

劇団ノーミーツ「門外不出モラトリアム」

そして最後はこちら。つい先ほど(24日23時40分)千秋楽が終わったのだけど、本当に色んな意味で”演劇の新たな一ページ”だと実感した素晴らしいチャレンジだったと思う。

色々と書きたいことがあるので、ここは明日の後編で書くことにしたい。


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