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私も書いてみよう 1

#2021年12月の写真を長文とともに挙げる
とのお題から書いてみようと思い私もこの写真のことやあれこれを書くことにした。

たまたま見つけた写真
つくばの研究所の敷地内にあるオフィスの休憩スペースから夕陽を写したものだった。正確には夕陽ではない。2021年12月の本当に何気なく撮った写真には今にも沈みそうな夕陽がかなり西に傾き長い長い影を使っているところだった。みんなが知っていることだが地球は太陽の光を一日の半分の時間だけ受け取っている。夜になると陽が沈むその陽が沈む瞬間に影はぐんぐんと伸び無限大の長さになる。そして夜がやってくる。その瞬間を目撃することは稀だ。この写真の景色も夜になる瞬間を捉えるために撮影したものではない。

休憩時間というのはコーヒーを飲んだりディスカッションしたりして過ごす。この時間がずっと続くとどこかで信じていたがそれはいつのまにか終わった。終わりにしたのは私だったんだと今になって思う。そのプロジェクトの後の仕事を関西の実験施設で打診されたけど断った。キリがないし、やりたいことでもなかったから。当時結婚していたが仙台とつくばの二拠点生活。私か兵庫県へ移住したならさらに距離は遠くなる。仕事を引き受けたからと言って特に希望があるわけでもない。断るのがより良いわけでもない。迷路の先の二股はどっちへ行っても行き止まりなことがなんとなくわかっていた。

雑談と呼ばれる他愛のないおしゃべり。

2014年にこの研究所へ戻ってきてから7年が経っていた。初めて研究所で実験したのは2000年ごろ。博士課程の研究をここで行い、学位をとったのが2006年。そのあと研究員になり物質の構造をX線回折の手法を使って物質科学の研究を続けた。国家プロジェクトで実験用のビームラインを立ち上がる内容だった。時間分解X線回折実験とX線吸収などなどが測定可能な実験ステーションを17億円で立ち上げる5年間のプロジェクトだった。実験するのもモノづくりも好きだったからみんなでワイワイ言って働くのは結構楽しかった。キリがないから日曜日は休むことにしたけど基本的には家と研究所の往復しかしていない。当時は秋葉原までの電車もなく、高速バスで東京駅まで移動した。研究をしていてもなんとなく誰か他の人のパズルを解いているような感覚がしていた。それはつまり自分のやるべきことではないということだ。だけど過去に遡ってどこかの時点からやりなおすことはできない。先へ進むしか方法はなかった。たとえその先が行き止まりだとわかっていても。

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