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短編集1(月刊ふみふみ掲載分)

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月刊ふみふみに掲載した分をまとめました。1300〜2000文字の短編小説です。各号のテーマから浮かんだお話を書いています。20編まとまったら有料にする予定。
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記事一覧

白い泡

鏡の中には、ホテルの洗面台に手をついて、のけぞって尻を突き出している私が居る。後ろには私…

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葉桜

婚活パーティで、プロフィールカードの”相手に望むもの”欄に思い切って「私と同じか、それ以…

ryokok
4年前
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愛の証し

その男、ぶーちゃんこと豚男が、2週間ぶりに私の前で、床に全裸で正座をしている。 少し薄く…

ryokok
4年前
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通り雨

一瞬、手に持った荷物が軽くなった気がした。あれ、と立ち止まり手元を見ると、鞄の持ち手の隙…

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4年前
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血縁

私も娘も髪が長い。風呂場の排水溝の、丸い網の受け皿は毎回掃除しないとすぐに髪で一杯になっ…

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可愛い人

残業を終えて家に帰ると、食卓に晩酌の残骸を散らばせたまま、夫はリビングのソファーの上で大…

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狐と狸

珍しく妻が念入りに化粧をしていた。 彼女は先月、20年ぶりに大学の同窓会に行っていたが、当時の仲良しグループだった友人達と今日も会うらしい。 女同士の方が外見の捏造には力が入るのよね、とこぼしつつも、なんだか嬉しそうだ。 「ゆっくり楽しんでおいで」 めかしこんで出掛けて行く妻を見送って、僕はミカにLINEをした。 「今日なら会えるよ。お茶でもする?」 時間作って! いつでもいいから! と連絡をもらってから1週間ほど過ぎていた。 元々は飲み屋の女の子とお客さんの関係だったが、店