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宝島
響けユーフォニアムを観ていると、実際吹いたことのある楽曲が登場して懐かしくなる。
宝島もそうだ。
この曲は陽気なサンバ系の曲調で、とにかく盛り上がる。
定期演奏会のオープニングやアンコールで演奏することが多かった定番曲だ。
とにかくソロがカッコいい。
サックスのための曲と思うほど。
と言ってもパーカッションのホイッスルも大活躍だしホルンの後追いも悶絶。
この曲のソロを吹く人は立って演奏する。
サックスにスポットライトがあたって奏でるメロディーが会場を占領、吹き終わると万感の拍手に包まれる。
そのソロを際立たせるためにみんなが演奏で支えているのも泣けてくるし、その子との思い出も蘇るし、私なんて吹きながらうるうるしていた気がする。
多分、みんなそうだったなぁ。
コンクールの時は泣いてる場合じゃないんだけど、定期演奏会は審査員に評価されるわけじゃないからちょっぴり気もゆるまっているのも事実。
お客さん達に楽しんでもらうことが一番だし、そんなわけで1年生の時は出し物で踊らされたりもした。
演目はキューティーハニー。
サビの最後にハニーフラッシュのポーズで決めるのだけど、恥ずかしいから絶対イヤだと思っていた。
でもやるしかなくなるとやるのが人間。私はあの夏の日、ひとつ大人になった。
まだ演奏で部に貢献できないうちは、右に左に奔走し踊ってでも盛り上げるのが1年生の務め。
それに先輩に「かわいい」と喜んでもらえれば嬉しいのが後輩心だもん。
顔をさくらんぼ並みに真っ赤にしながら踊ったあの日。みんな一緒に頑張っていた。
定期演奏会では曲の合間に演劇もやった。わりと何でもやる部活の雰囲気だったからか。
それにしてもなぜ私は犬役だったんだろう。
そうだ、スマスマが全盛期で人気キャラが犬のPちゃんだったからだ。
キムタクがやるPちゃんはカッコよくておもしろいよねと世の女性たちはキャーキャーしていた。私は慎吾ちゃん派だった。
私がPちゃんに扮した理由は覚えてないけど、お客さんに少しだけ笑ってもらえた記憶がある。
あの頃の私が想像する40才はかなりの大人だったけど、いざそうなるんだと思うとまったく実感が湧かない。
たぶん80才の時もそう思うんだろうなぁ。
肉体は使い続けているからどうしたって衰えるけど、精神は別だ。
17才の私が今の私を見てどう感じるかはわからないけど、「なんかおもしろいね」と言うのは間違いない。
それでは今日もおつかれさまでした。
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