整った庭は時折私を笑わせてくれる(詩)

つまみ、離し、その指先を笑う。
同じオブジェを揃えて並べると、途端にムラが出来上がり、私を激しく嫉妬させる。苦笑を媒体に、拳をほどく。

バラのムラは山奥にあった。英国を思わせる整った庭は、時折私を笑わせてくれる。
その折に妬いているのだ。わざわざつぶさにあの人を思い出して。
バラのムラはネコのムラでもあり、紅茶というものの楽園である。透明なポットの中で揺らぐのが、茶葉でなくてティーバッグであっても、私はいつものコーヒーへの妄執を忘れる。

肥やしのにおいは慣れてしまった、はたまた紅茶がかき消した。
足元にネコがすり寄って、無為に身体をくねらせていく。

会いたい人が、このバラのムラの、奥のベンチで横たわっていればいい。安らかに寝息を立てて、バラのまにまにたまに指先を揺らめかせて。私はその指先までをも笑うのだ。

昨日は狐が嫁に行ったんです。

紅茶がなくなれば、散策だ。
まあ知っている、整った庭は、いつでも私を笑わせてくれる。

#詩 #紅茶のある風景

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