〈いいお話〉で終えられるのは


 子との日々の暮らしに関してこれまで書いてきた。それで最近になって強く思うのは、まちでの出来事に関して徹頭徹尾〈いいお話〉で終えられるのは未就学児まで、ギリギリ小学一年生の半ばあたりまでだったということだ。

 学校での出来事が増えてモデルを特定しやすくなり周囲に気をつかうので書けないことがあるというよりも、白黒つけられぬグレーというか日向でも日陰でもなく、それは書いていても読む立場を想像しても〈はっきりしない話〉〈スッキリ割り切れぬ話〉になることが多い。複数の立場や複数の側があり、断罪も拒否もできず、被害者と加害者に明確な線引きをできない事柄が増える。そこには勧善懲悪もないし、気分爽快で終わることもない。なんとなく後ろ髪をひかれ、どことなく悔いを残し、果てしなく答えが出ない、そんな出来事が増えた。

 子の目線ではもっとハッキリと、今日は〈よかった〉〈悲しかった〉〈楽しかった〉と明確に線引きがあるだろうし、まだ世界はシンプルであって欲しい。あくまで、子と一緒にいる保護者の目線で日々を記述する際に〈いいお話〉だけでは済まない光景が多いということだ。


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