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大阪らしさ

大阪市の西側に位置する西淀川区・此花区・港区・大正区は、海の東にある。

淀川・安治川・木津川・尻無川などの川が流れ、橋や渡し船が繋ぐ。海が近いが海まで行っても別段何かあるわけでもない。通天閣も道頓堀も無関係な大阪。坂が少なく平地が多いので難波や梅田といった繁華街まで自転車でも行けるから都会ではないが郊外とも言い切れない。生活圏にしていたり、よく行く場所であるひとにとっては、そこで撮った写真はそのまちの写真でしかないのだが、まち以外のひと──大阪のひとであっても──が見ても関西なのか関東なのか何処なのかよくわからない場所がある。それでも大阪の風景だ。そこには、まるで集合無意識やAIが生成した架空の原風景かのような場所が時折あって、首からカメラをブラ下げて周っていると、ここで自身が生まれ育った並行世界の存在しないはずの子供の頃の記憶が蘇って「ウワッ」となる瞬間があって、乾いてる/湿っているといった単純さでは捉えられない、河の匂い/潮の匂いが混ざって・都市/郊外が混ざって・古さ/新しさが混ざって・何処にでもある/此処にしかないが混ざって、めちゃくちゃな気持ちになる。だいたいにしてのどかでいつつ時折ピリッと危険な雰囲気のところもあって、ちょっとザラついていて、ずいぶんと隙もあって、緊張も緩和もあって、特殊ではないが奇妙でいて、とても魅力的だと思う。

そこで撮った写真に絞ったInstagramのアカウントを「大阪の西、海の東。」と称して以前につくった。

「大阪の西、海の東。」
https://www.instagram.com/westsideofosakacity/

それはたしかに大阪で撮られた写真なのだけれど、そこに大阪らしさがあるかというとそういうわけでもなく、かといって大阪っぽくなさを狙うでもなく、それでも大阪でしかなくて、そして何処でもなくて何処でもあり、同時に此処にしかない──そんなまちが撮れないものかなあと感じている。(なお、以下の写真の中には「大阪の西、海の東。」ではない地区で撮られたものも何枚が混じっている)

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