〈2024年3月13日 水曜〉ファンタオレンジ

 「ファンタオレンジ飲む?」と子に訊いた際に、「お昼にファンタ飲んだから〜うんぬん」と子が答える。私は修正する。

 「飲む?と訊かれているんやから、まずは飲むか飲まないかを相手に伝えるんや」と。

「お昼に君が何を飲んだかどうかは、いまファンタオレンジを冷蔵庫から出そうとしているこちらの判断には関係がない。とにかくまず、訊かれたことにイエスがノーかを答えて、そのあとに必要があると考えたならば、その理由を言うようにしなさい、飲みたかったら『飲む』いらんかったり他の飲み物がよかったら『飲まない』とまず言いや」と。

 大人でも同様だ。こちらが瓶ビールを持って「飲みます?」と訊いているときに、「いや、結構です」から話を始めないで、「実は昨晩に◯◯さんと難波でバッタリ会ってそのとき飲み過ぎちゃったんですよ、それで今日は来たときから二日酔い気味で、だから僕は……」と自分がこれから告げるイエスかノーへのエクスキューズから話を語り始めるひとが。そのあいだ私はどっちつかずで瓶ビールを握ったままなのだ。

 子には常々、「いるかどうかを訊かれたら、まず最初にいるかいらないかを答えなさい。行くか行かないかを訊かれたら、まず最初に行くか行かないかを答えなさい。勉強でも遊びでもやるかやらないかを訊かれたら、まずやるかやらないかを答えなさい。理由を話したいならあとにしなさい、話したい順番や起こった順番で話すのではなく、相手に必要な答えから話しなさい」と言っている。

 最後まで話を聞くひと聞かないひとがいるのではなく、相手が最後まで話を聞いてくれる話し方をするひとと前置きが無駄に長いひとがいるのだ。プロローグが必要な話と、いきなり本題に入らなきゃいけない話はまったく別だ。

 これはね、ある程度の年齢に達したら、もう修正できないですよ。会話の癖ではなくて、スタンスの問題だから。スタンスというのは、イエスノーで嫌われることに怯え過ぎということだ。「やれるんですけど、ただ、ちょっと条件があって」といった話し方の順番を心がけたほうがええ気がします。

 以下は〈2024年3月(有料マガジン)〉の記事です。内容は上記とは無関係な日記です。


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