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〈2023年12月某日1-6〉積まれたコンテクストがフラットに

〈2023年12月某日1〉
朝、まだ暗い中で子がむくっと起き上がり「なんか吐きそう」と言うので「じゃあトイレいってゲーしとき」と伝える。枕元のスマフォで時刻を確認すると4時である。朝めしは食パンひとかけら以外は食べられず、リンゴジュースもすぐに吐く。その後も何度か吐く。学校へ休ませる連絡をする。近所の内科へ予約なしで行けるか連絡をして向かう。発熱外来の時間に被ってしまい、病院のひとも消毒や動線に気を遣ってずいぶん時間をとられる。吐き気どめだけもらい帰宅。夕方になって少し発熱するが深夜に寝ている子の熱を計ったら平熱に戻っていた。

〈2023年12月某日2〉
昼めしと晩めしもほぼ食べられなかった昨日のこともあり、引き続き学校を休ませる。私自身は先週半ばに体調の不良を感じて「あと二三日は身体が動くあいだにやれることやって、子を迎えに行くまで横になっていよう」と設定していたのが昨日であり、今日は居間に鎮座しているどデカいエレクターをバラしてクリスマスツリーを飾る日に設定していたがそれどころではなくなった。

〈2023年12月某日3〉
さすがに子を学校に行かせてるあいだにやらなあかんことが山積みになってるのと、朝めしはシリアルを食べられたのもあって学校に行かせる。朝起きてから子を迎えにゆくまでの数時間に買い物やらなんやら二日分の作業をこなしてでヘトヘトになる。しかし子は給食もほとんど食べられず、なんだかしんどそうなので、明日は学校を休ませて総合病院へ連れて行くことを決める。

〈2023年12月某日4〉
朝めしをほとんど食えないのを確認し、総合病院の予約をネットでとる。9時に予約し診療は15分ほどで終わったが、以前に腸重積をやっていたこともあり、念のため腹部のエコー検査をすることになる。検査待ちで2時間。診断結果は風邪からくる胃腸炎。会計をすませあらたに処方された薬を受け取り病院を出たのは12時過ぎであった。帰り道に買い物する予定だったが私も子もヘトヘトだったので直帰する。数日間は油ものは控えてくださいということで、子の昼めしはシリアルのみにし、マカロニベジタブルヨーグルトサラダを晩めしにする。


〈2023年12月某日5〉
薬が効いたのか、子は朝めしにシリアルとヨーグルトとリンゴは完食できた。発熱もなく元気ではあるので学校に行かせる。洗濯、掃除、片付けを迎えの時間までに一気に済ませる。夕方から習い事がある日だったが、習い事の先生が風邪でダウンし休講となった。しかしかえって時間に余裕ができた。給食もほぼ完食できたと担任に聞く。子の晩めしは生春巻き。野菜も海老も脂身をとった牛肉もしゃぶしゃぶ的にいったん火を通す。しかし、油が使えず焼きも炒めものもできない児童のめしというのはなかなかどうして選択肢が限られる。

私の晩めしは、生春巻きに使った海老の頭を炒めて煮干しを加え煮込んだ汁でつけ麺。



〈2023年12月某日6〉
子の昼めしは五目ごはんと鶏つみれのスープ。食欲が回復していてホッとする。私の朝兼昼めしはモヤシラーメン。

その後は子のオモチャ棚を整理してドッと疲れた。作業自体はそれほど大変ではないが、ウルトラマン('66)や旧ルパン・仮面ライダー ('71)やデビルマン('72)ゲッターロボ('74)からドラゴンボール超 スーパーヒーロー・機動戦士ガンダム 水星の魔女('22)やポケットモンスター('23)まで積まれたコンテクストがフラットになってる様にヤラれた。なんならスパイダーマン('62)からスパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース('23)で61年間だ。

しかもここには、私が「子は知らんけど買い与えておこう」というキャラクターがひとつもないのだ。どれほど昔の作品だったとしても、マーベルも円谷もサンライズも東京ムービーも東映動画もあくまで本人が選択したものだ。本編は未見でも配信のサムネールやYouTubeで知って「カッコいい」と欲しがったキャラクターもいる。ゴチャゴチャになってる棚に載っかってたままの小指の爪より小さな部品でも「これなんやったっけ?」と子に問うと「それは○○の足のとこ」と即答する。数年前のハッピーセットの欠片や食玩フィギュアのパーツでも即答する。よく覚えてられるなと思う。私もこうだったか?記憶にない。

私が子供の頃、家になぜかアニメ映画『ヤマトよ永遠に』('80)の本、ロマンアルバムがあったのだよな。あれは、父がアニメだから喜ぶだろみたいな感じで会社の同僚かなんかから貰ってきたのか近所の人から母が譲り受けたのか定かではない。母も父もアニメは観なかったから。母は若い頃に映画が好きだったらしいのだが──映画音楽全集みたいな10枚組のレコードが押し入れのこやしになっていた──私が物心ついてから映画館にひとりで行ったりテレビ放送の映画を観ていた記憶がない。子供の私は活字に飢えていたので、前述のヤマトの本はとりあえず読んだけれど、保護者からのフォローもアフターケアも何もないままだったので、その後になんにも繋がらなかった。文脈もわからないしテレビ放送も観てないし当時はレンタルビデオショップもなかったし。でも本にスチルが載っていた宇宙戦闘機コスモタイガーIIのシャープなデザインと重核子爆弾の禍々しさだけは記憶に残った。いま私が、「なんか欲しがってるから買い与えておけばええやろ」で止まってしまう保護者の態度に疑問を抱くきっかけはあのロマンアルバムだったかもしれない。何か気になっているものがあればなるたけ本を借りてきたり買い与えたり週末に配信やDVDをレンタルしたりと関心が拡がり興味が深まる機会を与えるようにしたいと願っている。

いま、子がいちばん好きなロボットは真ゲッターで、いちばん好きな巨大ヒーローはシン・ウルトラマンで、いちばん好きな等身大ヒーローはドラゴンボールのベジットとゴジータだそうな。

テュリャテュリャテュリャテュリャテュリャテュリャラーこれが私の一週間です。

酷くスケジュールがズレた一週間であった。明日はホリデースペシャルを観て夢中になった「ザ・ペンキンズ」のスピンオフ元『マダガスカル』の2と3を借りにゆく。しかし3シーズン全150エピソードほどもあるペンキンズが主人公のテレビシリーズはいま現在ニコロデオンチャンネルかhuluでしか観られないのだ。先日、子の友人と「○くんのお父さん、プッチ神父って知ってる?」「おお知ってるでジョジョの第6部やろ」「なんかな、フールーでストーンオーシャンが途中で観れなくなったから(私はいまhuluを契約していないので実際のところは知らぬ、それは親御さんの方便かもしれない)、ぼくは最終回しらんねん」と会話をした。AmazonプライムビデオもNetflixも急に観られなくなる作品があるかと思えば、以前はなかったのに観られるようになったかと思えばまた消えたりと、上のほうで綱引きがあって金がガチャガチャ動いてんだなと感じる。子の友人には「なんかそういうことは多いな」とだけ答える。

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