〈2024年7月1日 月曜 - 2日 火曜〉〈2024年7月マガジン〉
〈2024年7月1日 月曜〉
台所のシンクを掃除。シンク掃除の洗剤は酢の匂いがする。放課後に子の歯医者。クリーニング。
子が学校で読んだ本で感動したのがあるのだと言う。訊くと、『とどけ、みんなの思い 放射能とふるさと』(新日本出版社)、『ごめんね でてこい』(文研出版)。前者は二〇一四年刊行。原発事故で福島から追われた猫が故郷を想うという内容。「放射能って色もなければにおいもなくてまったく姿かたちが見えないんやって、怖いな」と言う。私は「正確には放射性物質やな」と言いながら本のストーリーを聴く。後者は二〇二三年刊行で〈第70回青少年読書感想文全国コンクール小学校低学年の部〉の課題図書に選定されている。「おばあちゃんに怒られて、それで嫌いといってしまったんやけど、ごめんねと言えないままおばあちゃんが病気になって入院してしまったんや」。来月のお盆時期にまたこの本の感想をそれとなく訊いてみよう。
映画や本の感想を訊くと、そこまで覚えているのかと私が驚くほど、子は細かく話すことができるが、読書感想文を書くのが苦手だ。
はやみねかおる「名探偵夢水清志郎」シリーズを読み始めて、熱中し、ミステリ的な要素に興奮し、これからも続刊を読みたいと言い、ストーリーやトリックを詳しく解説してくれるのだが、いざ読書感想文を書こうとすると詰まる。
〈本の題名、作者〉〈あらすじ〉〈面白かった箇所など感想〉の順で書かすのだが、とにかく〈あらすじ〉が長くなる。省略やおおまかな捉え方ができず、延々と書く。梗概が書けないのである。それをみて私は《なるほど、考えてみるとそれはこの歳に望むには高度過ぎる文章力と文章読解力が必要だった。大人でも「何が起こったのか」を時系列順にしか説明できないひとがいるものな》と、あらためて気がつく。「よし、あらすじを書くのはやめよう。いちばん面白かった部分となぜ面白く感じたかだけでええよ」と方針の転換をする。
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