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食べかたのピンポーン

《木曜日》
公園に行って遊ぶ。昼飯に子は焼きそば、私は寿司を買ってきておいて公園で食べる。

ガリガリ君のコーラ味を食べる。近所のコンビニではソーダ味しか置いてなかったので、初めてCM以外で実物を見たコーラ味に興奮する。「暑い日はアイスやなあ」と口癖のように何度も繰り返す。実際、今日は暑い。店のレジでも店員に「今日は暑いからアイスやねん」と言っていた。「溶けちゃうから速く走って!スピードアップ!」と自転車後部座席に急かされる。

棒アイスはビニール袋を割いて座る子の膝の上に拡げておくと、食べているうちに片側が棒からポロッと地面に落ちて砂まみれになって「あーっ!(泣)」となりにくい。「これがガリガリ君の食べかたのピンポーン(正解音)やねえ」と言いながら拡げたビニール袋の上に落ちたアイスの欠片を指で摘んでいる。

保育園で家庭育児を要請されているクラスメイトの名前をだして「○○くんは、ずっとこないんやで、コロナやねん」と言い出す。
「んなこと、言うたらあかんよ、違うで、お休みしてるだけや」
「ちがうねんコロナやねん」

咄嗟に「ちゃうやろ!そんなこと言ったらあかん!」と強めの声が出てしまう。子はビックリしてしゃがみこむ。大きい声だしてすまんなあ、抱き上げる。前にも書いたけれど、子にはコロナという言葉は使ってこなかった。家に帰ってすぐの手洗いの際にも「風邪が流行って熱を出してるひとおるからなあ、ちゃんと洗わんとなあ」という言い方をしている。別にその言葉を使わないことが正解だとも思わないし、そんなオブラートは間違っているのかもしれないけれど、他人へのレッテル貼りや噂が面白いみたいな感じになったら怒らなあかんように感じる。私も含めて、ひとはもともと、そういうのが好きにできているから、なおさらに。でも、そんなん教えてゆくのはまだ先のことで、いまそんな風に考えるのは親の自己満足や道徳観の押しつけかもしれない。

加湿器が壊れる。どこかで水漏れしてるようだ。バラして修理する。最近の家電はネジ留めではなくプラ部品のハメごろしの箇所が多くて開けるのが面倒くさい。親子ともに喘息もちなので、加湿器が寝室にないと夏冬ともにエアコンの温度によっては朝起きて喉が酷いことになる。ついでに中のホコリと水垢を拭き取る。本当はカビ防止に内部をアルコールで拭いときたいんやけどな、いまこの時期は売ってないわな、これまた売っていない台所用の除菌スプレーはボトルの残りが少ないので、まな板用にとっときたいしな、火の酒テキーラで拭くわけにもいかんわな、と思った瞬間に、カメラのメンテナンス用に無水エタノールが買ってあったのを思い出した。

漫画家の羽海野チカさんがTwitterで書いていた、シラスのオリーブオイル漬けをつくる。ニンニクは辛くないやつを生で、電子レンジで少しだけ熱をいれて、ひと晩冷蔵庫に。

《金曜日》
オクラを茹でる。アスパラを茹でる。米を炊く。冷蔵庫から瓶を取り出す。

白飯に盛って醤油を垂らす。シラスとニンニクのあたりを少しつまんで「うんなるほどこういう感じの味、いいよな」とひと口めにはまだ余裕があったのだが、実はこいつの本体は味が染みたオイルのほうで、それがかかった白飯はもうめちゃくちゃにうまいのだった。


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