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回らない寿司屋でイカを頼むひとの

ETV特集 シリーズ「どんぶりいっぱいの野菜汁と生魚があればワシはそれでええのよ」


ETV特集 シリーズ2「汁がなくても生魚とどんぶり飯があればワシはそれでええのよ」

ETV特集 シリーズ3「どんぶりいっぱいの野菜汁とから揚げがあればオイラはそれでええのんよ」


それはさておき、モンゴイカ(紋甲イカ/カミナリイカ)を初めて食べたのは、関西に来てからだった。東っ側ではあんまり見ないと言うと驚くひともいる。回転寿司のパキパキした食感のイカもとても好きだけれど、モンゴイカの刺身を食べてから、回らない寿司屋でイカを頼むひとの気持ちが初めてわかったように思えた。自分は、世の様々な場面での、そのひとの選択の理由をわかるのがとても遅い。世間知らずで想像力と共感性に乏しく、偏狭なところが多分にある。寿司屋でイカを頼むひとのことすらわからないということは、世にどれほどわかっていないことが多いのだろうか。図書館や大型書店に行ったとき、あまりにも膨大な未読の本、タイトルやジャンルをみても中に何が書かれているのか頭に思い浮かべることもできぬ本の山を前にしてケツの穴がゾゾッとして、しばしボンヤリしてしまい、滞在時間のわりにドッと疲れてしまうことがある。流行り病でしんどい目にあった誰かの体験記や、流行り病であらわになった分断と排外のニュースを目にするたびそんな感じになるのがここ二ヶ月くらいずうっと続いている。

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