放送大学 物質・材料工学と社会(’17)第1回 現代社会と物質・材料工学

材料のイノベーションは地味だがインパクトは大きい。

シラバス

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https://www.wakaba.ouj.ac.jp/kyoumu/syllabus/SC02060200201/initialize.do
物質・材料工学と社会(’17)
Materials Science and Engineering in Our Society ('17)
主任講師名:谷岡 明彦(東京工業大学名誉教授)、里 達雄(東京工業大学名誉教授)

- 執筆担当講師名:谷岡 明彦(東京工業大学名誉教授)
- 放送担当講師名:谷岡 明彦(東京工業大学名誉教授) 
- 里 達雄(東京工業大学名誉教授) 
- ゲスト:秋鹿 研一(東京工業大学名誉教授)

概要

- 日本における第1次、第2次産業のGDPの割合は第3次産業より小さいが、製造業でのイノベーションはサービス業にも波及する力を持つことがある。2010-2014で鉄鋼、自動車、産業機械など生産量を維持、増加しているがアジア地域との競争で電子機器、通信機器のみ大きく減らしている。また鉄鋼については特に中国の増産が著しく、鉄余りの状態になりつつある。

- 通常の授業では科学ー工学ー製品の順に説明されるが本授業では逆順にトップダウンで説明する。歴史的にも多くの産業でこの順序で発展しており、例えば製鉄業ー溶鉱炉の温度測定ープランクの黒体放射論(量子力学の始まり)と進んだ。例外は原子力産業である。有機化学はパーキンの染料の研究からスタートした。電気分野は1800年ボルタの電池の発明の後エジソンによる発電所の実用化で普及した。

- LCA、3R, グリーン調達、REACH、インバースプロダクション、ユニバーサルデザインなど、環境規制の強まりをうけて製品作りが変わりつつある。当授業では材料工学と環境とのかかわりについても述べる。製品の3要素、利便性、人間性、環境適合性。

- 姿・機能・分子の3層構造について。炭素原子の結合の状態によってグラファイト、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブなど様々な形態がある。これははがれやすさ(鉛筆のグラファイト)や硬さ(ダイヤモンド)、炭素繊維など応用に直結する。原子間の結合は電子軌道(s, p, d, ...)によって決まっており、最外殻電子の軌道から周期表の性質が出てくる。また同一周期内では電子・陽子数が増えるとチャージが増えるため半径が小さくなる。

感想

これもどちらかというと教養科目の位置づけとは思いますが、身の回りの材料がどういうものでどういう性質か、意外と知らないもんなんですよね。あとは日本では材料メーカーがたくさんあるんですが、その辺のマーケットの興味もあり、去年の春の録画を見始めました。

初回はイントロということで目立った話はないですが、用途や目的 -> 物理の基本原理という進め方が歴史的には繰り返されてきたということで、染料の例が出てきましたが、以前、別の授業「グローバル経済史('18)」でも出てきたことを思い出しました。

面白そうなのでしばらく継続してみたいと思います。

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