放送大学 グローバル経済史('18) メモ10 国際金融と金本位制

金本位制ってもっと古いのかと思ってました。

シラバス

放送大学 授業科目案内 グローバル経済史('18)
https://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H30/kyouyou/C/syakai/1639609.html
グローバル経済史(’18)

10 国際金融と金本位制

19世紀には工業化が世界的に広がりイギリスの製造業の地位が低下する中で、ロンドンのザ・シティは金融、貿易決済から豊富な資本を元にした投資の中心へと転換した。

金本位制は紙幣と金貨の交換レートを固定するもので、国内経済を金の量で制御出来るほか、為替の問題がなくなり国際決済が容易になり国際経済が安定化するメリットがある。当初19世紀初頭からイギリスが単独で導入していたが、1870年代から欧米で採用が増え、世界標準となっていった。第2次大戦後もブレトン・ウッズ協定で金本位制のusとその他の国が固定相場制をとる事で事実上の金本位制が維持された。この制度は1971年にニクソン大統領が突然金との兌換を停止し変動相場制へ移行し終了した。また第1次、第2次大戦中及び大恐慌の頃には宗主国ー植民地でのブロック経済化が進み金本位制は一時停止された。

19世紀には工業化が世界的に広がりイギリスの製造業の地位が低下する中で、ロンドンのザ・シティは為替、貿易決済を超え豊富な資本を元にした投資(アジア、アフリカ鉄道建設など)の中心へと転換した。日本政府も資金調達を行っていた。19世紀前半-20世紀前半の対外投資残高はイギリスが4-5割と群を抜いて多く、当初はオランダが2位であったがフランスが2位になった。

イギリスの国際的銀行には民間が多く日本、シャムなど植民地以外でも営業していた(オリエンタル銀行、チャータード銀行、香港上海銀行)。その他の宗主国では民間や植民地政府系の銀行が設立され特定の植民地で営業した(オランダ領東インド・ジャワ銀行、フランス領インドシナ・インドシナ銀行、朝鮮銀行、台湾銀行、満州中央銀行)。これらの大銀行はアジア圏の国々での商業銀行業務に加えて発券業務を行っていた。香港では現在でも中国銀行(香港)に加えてスタンダード・チャータード銀行と香港上海銀行が紙幣の発券銀行である。本国と異なる通貨を発行したのは、植民地での経済の不安定性が波及しないようにとの考えであったと思われる。

アジア圏では16世紀以降の中南米や日本の銀の流入を背景に銀貨が国際決済で使われていた。1870年代から長期的に銀価格が下落(金高銀安)となったため、アジア各国からの輸出には有利に働き、金本位制の採用は広まらなかった。日本での金本位制の採用も1897年になってからのことであり、日清戦争の賠償金を元手にしたといわれている。

欧米の大銀行はアジア圏では貸し手に直接融資したのではなく、主に現地に詳しい有力商人(中国系、インド系が多い)に貸し付け、彼らが個別の企業などに融資していた。アジア圏での固有の銀行ニーズとして出稼ぎの中国系移民(華僑、帰国予定のある移民)による華僑送金がある。

感想

意外にも金本位制は19世紀初頭、イギリス単独でのスタートなんですね。昔の人はずっと金で取引してたのかと思っていた(偏見)。そして完全に見落としていましたが為替レートの問題がなくなるんですね・・・。ニクソンショックが何で変動相場制への移行につながるのかよくわかっていなかったがそもそも金本位制が固定相場を意図したものだったんですね。

アジア旅行などをするとよく見かけるHSBC(香港上海銀行)とかスタンダード・チャータード銀行とか、この時代に植民地銀行としてできたんですねー。

イギリスが工業国トップの座から落ちるのが意外に早い。その後は金融で食っていったと。

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