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鳥取銀行の「クラウド会計の導入支援」から見えてくる、銀行の未来のすがた。

12月上旬に取材した鳥取銀行プレゼンツ「クラウド会計freee導入事例集」が完成したようです。僕はライターとして関わらせていただきました。

鳥取銀行さんにはカフェを経営している時から地元の金融機関としてお世話になっているんですが、中でも早くから実施されていた「クラウド会計ソフト」を絡めた取り組みにはとても好感を抱いていました。

特に、現在行内のひとつのプロジェクトとして稼働している「IT導入支援コンサルチーム」の存在は、これからの銀行のあり方を考える上でも非常に重要になりそうだなと。

というわけで、今日は『銀行の未来の姿を考える』をテーマに書いてみようと思います。

導入支援の近視眼的な意義は「業務効率の向上」

まず、銀行がクラウド会計ソフトの導入支援をする意義について考えてみましょう。

近視眼的な部分だけを見れば、今回の導入事例集の主題にもなっているように「企業のバックオフィス業務を効率化すること」が最大の意義だと思います。

長年続く企業の方に話を伺うと、今でもバックオフィス業務(特に人事労務や会計経理の部署)では昔からの慣習に基づいたアナログな方法で実施していることが多く、想像以上に多大なリソースが消費されていると言います。

ただでさえ、人口が減って人的リソースが限られてきている今の時代において、効率化させられる部分は徹底的に効率化した方がいい。

お金を貸している銀行としても、収益の増加に直結しないバックオフィス業務の簡略化させることによるリソースの有効活用は、非常に重要なことでもあるはずです。

しかし、地方の中小企業にとっては、掴みどころのない「クラウド」というサービスに対しての恐怖心や仕組みに対する理解の追いつかなさなどの『乗り換えコスト』が高すぎて、なかなか導入に至らないことが多いのも事実です。

だからこそ、そのギャップを埋めるために鳥取銀行の導入支援チームが発足した意味は強いんだろうなと


大局的な意義は「経営状態の即時的な把握」にある

ただ、鳥取銀行がクラウド会計ソフトの導入を支援する意義は、そこだけに留まらないと思っていて。

クラウド会計ソフトを導入する(企業側の)メリットのひとつに「経営状態の透明化」がよく挙げられるんですが、このメリットはすなわち銀行側にとってのメリットにもなるんじゃないかなと。

つまり、銀行がクラウド会計の導入支援をする最大の意義は「経営状態の即時的な把握」にあると思うんです。

従来までだと、銀行が融資先企業の正確な経営指標(数字)を知るためには年に1度の決算期を待たなければなりませんでした。もしくは普段の様子から感覚で状態の良し悪しを判断するしかなかったわけです。

しかし、クラウド会計導入後の世界では、(共有の範囲は協議が必要ですが)即時的に数字のチェックが可能になるわけです。この差は本当に大きいなと。

もちろん鳥取銀行がここまでの未来を想定しているかどうかは、僕の伺い知るところではありません。が、担当者の方の話しぶり的には、きっとそこまでを見越してスタートをしているような気がしています。


銀行の存在は「企業内経営コンサル」に近づいていく

でも、先で書いた未来になってしまうと、実は銀行の職員の数は今ほど不要になってしまいます。

もしかすると、他の銀行の方からすれば「鳥取銀行は自ら自分たちの首を絞めに行っているぞ」と滑稽に見えているのかもしれません。

ですが、今の技術革新の流れから言って、いつかは訪れる避けられない未来であることは確実です。遅かれ早かれ、その時期はやってくる。

であれば、その時に向けて対策を打っておけるかどうかが重要になってくるわけで、そのための布石を打っているか否かは将来的に大きな差になるような気がします。

つまり、「経営状態の即時的な把握」ができる状態になったその先で、その把握した数字を元に、どんな改善提案を融資先の企業に対してしていけるのか。その部分で銀行の価値が決まってくる未来が訪れるんじゃないかなと。

その意味では、鳥取銀行は時代の波に乗り遅れないようにしっかりと準備を進めていて、ゆくゆくは地域の企業に対しての経営コンサル的な取り組みをスタートさせるのかもしれません。


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というわけで、今日の記事は以上です。
偉そうに銀行を語ってしまい、途中から申し訳ない気持ちになりました。

今日の内容に少しでも興味がある人は、ぜひ金融再編の歴史がまとまった「ドキュメント銀行」も読んでみてください。めちゃおもろいです。

では、またあした〜!

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