見出し画像

私の意思を受け継いでくれている人たち

「トイレ、行きますー」「2階、行きまーす」
こんなふうにアピールをする利用者がいます。この利用者たちは、私が30年以上貫いてきた支援姿勢を受け継いでくれています。また、利用者が受け継いでくれるということから意識しなければいけないことがあります。

私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。今は理事長です。しかし、始まりは直接支援にたずさわる現場の支援者でした。私が初めてこの仕事に就いたのは「昭和」です。もう30年以上が経ちました。また、私は、この仕事を始めたころから守ろうとしていることがあります。それは「相手に背中を見せない」ということです。

利用者が受け継いでくれたこと

最近は、利用者と一緒に活動をすることが減りました。しかし、法人の事業所には、私が現場にいたころから利用している人が何人もいます。その内の数名が、トイレに行くとき「トイレ―」とか「トイレ、行きまーす」とアピールをします。また、別の人は「2階、行きまーす」と言ってから階段を昇って行きます。これは、たぶん私のマネです。

私が30年以上徹底してきたことは、利用者に背中を見せないということです。これは、常に現場を見ているということです。利用者に背中を見せたら利用者を見ることができません。利用者を見ていなければ支援をすることはできません。利用者の行動を予測することもできません。しかし、実際の支援場面ではその場から離れなければいけないことがあります。そのため、現場を離れるときは必ずその旨を伝えます。

私からのメッセージ

利用者との活動中にトイレに行きたくなったら、他の支援者にその旨を伝えます。それは「現場を見ているのはあなただけになります」というメッセージです。メッセージを受け取った支援者は、責任をもってその場を見なければいけません。

「トイレ、行きますー」とか「2階、行きまーす」と言ってくれる利用者は、私の言動を見ていて、報告をしてくれているのだと思います。利用者が私の意図を受け継いでくれていることをうれしく思います。

利用者は支援者を見ています

また、利用者が私の意思を受け継いでくれているということは別の視点からも意味があります。利用者は、支援者の言動をしっかり見ているということです。支援者は、言葉で何かを示すより、それより先に自分のふるまいを気にしなければいけません。

障害福祉全体が少しづつ変わってきました。しかし、まだまだ注意されたり、命令をされている利用者がたくさんいます。そんな利用者たちにとって支援者のふるまいをマネするというのは術なのかもしれません。支援者のふるまいをマネしていれば注意されないと思っているかもしれません。

利用者が、私の言葉や態度をマネしてくれているということには深い意味があります。今の私の課題は、経験の浅い支援者の育成です。今日は、利用者から学ぶことの一つとして職場の会議でこの話題を取り上げてみました。

連続投稿1000日まで、あと3日。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?