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鍼治療の思い出

友人から鍼(はり)治療をすすめられました。友人が言うには、アトピーにも効果があるからというのです。でも鍼治療、すでに体験済みです。子どもが小さいころに奥さんの車で行ったので10年以上前のことだと思います。

始めから気のりはしませんでした。私は体を楽にするということができません。極度に緊張するタイプです。医療機関では、当たり前に、「チカラ抜いて、カラダ楽にしてくださ~い」という言葉を聞きます。でも私はどうやってチカラを抜いたら良いかわかりません。逆にそう言われれば言われるほどカラダにチカラが入って固くなります。

そもそもそんな私が鍼治療なんて無謀でした。鍼は髪の毛より細いそうです。しかし、カラダにチカラが入ると鍼が入っていきません。先生は私の緊張をほぐそうといろいろな話をしてくれたように思います。結果的に人の倍の時間がかかってカラダに鍼を入れました。

ほどなくしてカラダに入れた鍼を抜きます。今度は抜けません。こんな人は初めてだと先生も驚いていました。

普通は鍼治療のあと、カラダのコリもほぐれるものです。しかし私の場合、余計に疲れたことを覚えています。でも先生も相当疲れたんだと思います。施術が終わってベッドから起き上がりため息をともに額から髪の毛をかき上げたときに違和感がありました。私は先生に言いました。

先生、一本、忘れています。

前頭部の髪の毛の中、鍼が刺さったままでした。まるで虫の触覚のようでした。それ以来、鍼治療は遠慮しています。

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