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いろいろな役割で構成されています

7月になるとある事件を思い出します。5年前に相模原で起きた事件です。その事件の犯人は、障がいのある人は非生産的である、という表現を使いました。それは絶対に間違いです。直接、何かを生み出すことがなくてもいろいろなものと結びつき、大きな成果を生み出しています。

人生の課題/タスク

私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。昨日のnoteでは、人それぞれに人生の課題/タスクがあり、私たち支援者はその人と課題/タスクをマッチングさせることが仕事の一つであると書きました。

今日は、その人生の課題/タスクを具体的な例で紹介します。

私の課題/タスク

私は、社会福祉法人の理事長です。私は、理事長という仕事をまっとうすることで、利用者やその家族、支援者、地域の人たちなどなど、多くの人の役に立つことができています。

また、私が所属する社会福祉法人の中にはいろいろな役割があります。社会福祉法人はそれらの組み合わせで成り立っています。しかし、その役割の中には、私には絶対にできない仕事があります。

単純作業の繰り返し

利用者の皆さんが取り組まれる作業の一つに単純作業の繰り返しがあります。例えば、同じ部品を組み立てるとか、チラシを折って封筒に入れるというような作業です。これらは確実な収入源になるだけではなく、自閉的な障がいの人には人気のある仕事です。利用者の中には休み時間を返上してこの作業に取り組む人がいます。また、この活動を支援する支援者がいます。

私は、ときどきこの作業の手伝いに入ります。しかし、私は苦手です。すぐに飽きてしまいます。うとうとします。根気がなく、効率が悪いです。

ポスティング

また、ポスティングという作業があります。情報誌やダイレクトメールを一軒一軒、ポストに入れて行きます。夏も冬も大変です。雨が降ってもやらなければいけません。利用者と担当の支援者は、午前も午後も外に出て行き、汗びっしょりで帰って来ます。洋服の色が汗で変わっています。

私は、暑さに弱く、この作業もできません。夏は絶対に無理です。私にできることは玄関で見送り、迎えることだけです。私が、この作業に同行すると休憩ばかりで先に進みません。ただ邪魔なだけです。私にはできないことがたくさんあります。

社会福祉法人を構成するもの

これらの作業一つひとつが法人の事業を構成しています。なくなると困ることばかりです。私は運良く、理事長職というものにめぐり合うことができました。周りからは「理事長は大変でしょう」と言われます。大変じゃないと言ったら嘘になります。しかし、私からしたらもっともっと大変な仕事があり、その大変な仕事を担ってくれる人(利用者や支援者)がいるから、私の所属する社会福祉法人が維持されています。

生産性とは、すぐに目に見える、カタチになるものだけではありません。見えないところで支えてくれる人がいるからカタチになります。世の中は、そういう人たち一人ひとりで成り立ち、最終的に大きな成果につながっています。

連続投稿1000日まで、あと65日

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