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90歳と89歳のエアメール

私の役割の一つにエアメールの仲介というのがあります。私のお袋がアメリカのアリゾナに住む叔母に出す手紙をポストに入れる役目です。以前は、アメリカから来た手紙を読むのも私の役目の一つでした。アメリカから届く手紙は難解です。それを解読するのも楽しみの一つでした。早くコロナが落ち着いて、お袋に面会できる日を願っています。

私のお袋は90歳です。今は、特別養護老人ホームで生活をしています。また、お袋には2歳年下の妹がいます。私の叔母です。叔母は、アメリカのアリゾナに住んでいます。女学校を卒業してすぐ、アメリカ人と結婚をしてアメリカに住んでいます。何十年も前にパートナーを亡くし、今は単身、日本でいうサービス付き高齢者住宅に住んでいます。

アメリカのサービス付き高齢者住宅

叔母が住むところをGoogleで検索をしてみました。すごいとところに住んでいます。

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部屋はこんな感じです。

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90歳と88歳のエアメール

お袋と叔母は、月に一回程度、エアメールを交換します。90歳と88歳のエアメールです。お袋は片目が見えないのでまっすぐに字を書くことができません。また、字のバランスがくずれています。きっと読むのは大変なことと思います。

しかし、アメリカから届く手紙は、それ以上に難解です。叔母は、アメリカに渡って60年が経ちます。日本語を忘れかけています。また、いまだ旧仮名遣いで文章を書きます。コロナが始まる前は、アメリカから届く手紙を読むのは私の役目でした。

下の文は、叔母がサービス付き高齢者住宅に引っ越す前に送って来た手紙の一文です。

アメリカからの手紙

「フドサンと話をしているうちに分が一番良いchanceと思ひます」
「荷物が沢山ありました、donationした物が多く、知人やhelpしてくださった人に…」

お袋に「フドサンって誰?」と聞くと、お袋は「知らないわよ、向こうの友達でしょう」と言っていました。また、理解できなかったのが「分が一番良いchance」の「分」です。理解できないまま、家に帰って来て、私の家族に手紙を見せました。すると娘が言いました。「『分』、じゃなくて『今』じゃない?」。その後、「フドサン」が「不動産」だということに気がつきました。これでやっと意味が通じました。今は、私の代わりにお袋が世話になっている特別養護老人ホームの支援員さんが読んでくれています。

航空書簡

お袋が返事を書くときは、航空書簡を使います。航空書簡は、90円で世界中どこにでも手紙を送ることができます。封筒と便せんが一つになったもので、写真ぐらいは中に入れられます。これは郵便局で売っています。しかし、小さな郵便局では取り扱いがなく、大きな郵便局に行かないと売っていません。私は、お袋に頼まれて航空書簡を買いに行きます。都度、大きな郵便局に行くのが面倒なので、5枚ほどまとめてお袋に渡しました。するとお袋は言いました。「あんた、こんなに買ってどうするの。そんなに長く生きてないわよ。」

90歳のお袋に月に一回程度、アメリカのアリゾナに住む88歳の叔母からエアメールが届きます。手紙が届くと、私はお袋に航空書簡を届け、お袋がそこに返事を書きます。私はそれを預かってポストに入れます。また一か月後、アメリカからエアメールが届きます。

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アメリカからはこんな感じで手紙が届きます。

今は、コロナで直接、お袋に会うことができません。早く正常に戻って、一緒にエアメールを読むのを楽しみにしています。

連続投稿1000日まで、あと15日。

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