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憂鬱な日曜日

なんだか今日は憂鬱だ。もう昼過ぎだしなんだか体もだるい。昨日は少し夜遅くまで飲みすぎたなと冷蔵庫から麦茶を取り出して勢いよく飲み干した。最近なんだかお酒の量も日に日に増えていっている。別に嫌なことが続いているわけでもないのに、だからダメなのかと思いながら、もう一度麦茶を注いで勢い良く飲んだ。そうしたら頭痛が痛い気がした。僕はやっぱり阿呆なんだなと心の何処かで思った。

昨日は台風が日本大陸に上陸し今年最大の勢力とも言われていたが、夜のうちに台風は熱帯低気圧と変わり、空は青く心地の良い風が吹いていた。別に高校生のときみたいに学校がなくなってほしいなんていうドキドキもなく大学生の僕は補講が増えて面倒なだけだからもう台風で喜ぶことがなくなった。まあ今日は日曜日だから関係ないのだけど。ここ最近は雨が続いている。だから通学以外で中々家から出ることもなかった。今日は久々に外に出かけることにしよう。そう決心し、淡いデニムによれた無地のTシャツそれと踵の潰れたコンバースを身に纏った。一瞬にして外へ行く準備が完了する。ものの五分もかからない。男とは実に楽なものだとつくづく思った。

家を出たが行くあてもなく風は吹いているが気温が高い。早くどこか建物の中に入りたかった。最寄りの駅から3駅離れたところに行きつけのカフェがある。とりあえずそこで今日はどこに行くか決めようと思った。電車の中は涼しいと思って入ったが、日曜の昼間ということもあり、かなりの人が車両内にいて少し蒸し暑かった。こういう時ほんとに人が鬱陶しい。自分以外誰も活動しないでほしいし、自分中心で世界が回ってくれないかなとも心の底から願う。そういった思考も暑さにやられ3駅で一瞬しかないが、音楽を聴くことにした。こういう時とりあえずビートルズをかけておけばいい。特に理由なんてないんだけど。

RevolverのI'm Only Sleepingが終わると同時に行きつけのカフェに着いた。いつも僕が座るカウンターにはもう先に客が二人いて勉強をしていたが僕の特等席だけは空いていた。アイスコーヒーとチーズケーキを頼むと早速今日行くところを決めようかと思ったが一瞬でその考えは消え、違うことへと意識はシフトしていった。リュックの中に読みかけの小説があったのだ。今日はそれをゆっくり読むことにした。そう考えていたらアイスコーヒーとチーズケーキがきた。ここのチーズケーキは本当に美味しい。人生の楽しみの一つだ。早速リュックから読みかけの小説を取り出し本を読み始めた。今日はここで本を読み切る気持ちに僕はなっていた。だけど読み進めていると二人の学生が進路について話し始めており、僕はだんだん本の内容より、彼らの話の方が気になった。彼らは話を聞く限り相当頭が良いらしく、どこの医学部に行こうか迷っているみたいだった。気づいたら僕は本を読むことをやめ帰ろうかと迷ったが、そうしたら何故か負けるように感じて彼らが帰るまで絶対に帰らないと決めた。内容の入らない本を開きながら帰るまでずっと待った。ずっとずっと。僕は何と戦っているのか。もう何だかんだわからないけれどひたすら待った。だけどいくら待てど彼らは一向に帰る気配がない。ずっと勉強をしている。ひたすら待つと決めていたが結局僕の中で完全に何かが折れた。結局に負けた。何に負けたかもわかっていないけれど、内容の入っていない小説は読み切っていた。会計の時に僕はアイスコーヒーとチーズケーキだけでこんなにも長居していたのかと申し訳に気持ちにもなった。お店を出ると何故こんなにも嫌悪感を抱かなければならないのかと腹が立ち、学生二人が第一志望に受かりませんようにと願った。「どこまでも最低な人間だな」と僕の中の阿呆が呟いた。

そのまま僕は家へ直行しカフェへ行っただけなのにすごく疲れた気がして明かりは点けずベッドに飛び込んだ。暗闇がさらに僕の気持ちを深く抉っていった。なんて憂鬱な日曜日なんだろう。明日は月曜日か。やっぱり日曜日は憂鬱だなと思い僕はそっと目を閉じた。


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