AM2:00

深夜2時。世の中に音というものが存在するのかというくらいに静かで僕は眠れないでいた。習慣のカモミールティーを飲まなかったからだろうか。それとも嫌なものを見て嫌な妄想を膨らませてしまったからだろうか。いずれにせよ僕は眠れないままだ。何をしたら眠れるのか。とりあえずもう手遅れかもしれないがカモミールティーを飲むことにした。水が沸騰する音が部屋に響く。シンとした部屋に響く水が沸騰する音が雑音なのに何故か美しい音に聞こえる気がした。何も考えていない頭に入ってくるこの音は変な嫌味など1つもなく、火を消すのが惜しいくらいであった。この感情を表すにはあまりにも唐突でどのように表現していいのかがわからない。一人でいる分には表す必要がないのだけれど。次に読みかけの本に手をつけた。百ページを超えたあたりにしおりが挟まっている小説があった。ただタイトルを見ても内容が思い出せない。そんな記憶ばかりで少し悲しくなった。

僕は今この時間がずっと続けばいいのにと思った。この世に僕しか存在しないような、もっと言えばこの空間しか存在しないようなそんな感じがしてそれがなんだか心地よくて、この空間にならずっと居れる気がした。あの人ならこの夜をどう表現しただろうか。ふとそんなことを思った。こんな夜をあの人と共有したいとも思った。ただ答えなんてものは1つも出るはずはなく気がつけば寒い部屋にカーテンの隙間から光が差し込んでいた。時間に逆らうようにして僕は布団に潜り込んだ。今日はいい夢が見れますようにと。

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