東大王参戦記。

 関東地方で6月7日に放送(東海地方は6月21日)された「東大王 VS全国クイズ猛者 100万円獲得者は現れるか?」に出演しました。この日はクイズの神様が味方をしてくれて,3時間スペシャルの最後のほうまでテレビに映りました。せっかくなので思い出を記録に残します。

東大王は3度目です。

 「東大王」との縁は,昨年夏にクイズ甲子園で,顧問をしているクイズ同好会のメンバーが中部予選を突破し全国大会に進出,引率者として参加してからです。そのときは35秒ほど映りました(計測済)。勝つコツを「人を緊張させること」だと緊張しながら言いました。
 学校での取材の際,私がクイズ研出身であることをスタッフの方にプッシュしたこともあり,クイズ甲子園からわずか2ヶ月後,芸能人チームのクイズ猛者枠として私自身が出演することになりました。このとき,人生初の楽屋を体験し,芸能人と世間話をし、クイズも「屋久島」を早押しで正解するなど,十分すぎる爪痕を残せました。

収録は10日後。

 今年度,東大王が一般挑戦者を募集していることは知っていて,応募だけはしていました。人数が足りなくなれば拾ってもらえるかも,くらいの淡い期待は持っていました。
 GW明け、唐突にクイズ甲子園の打ち合わせでやりとりしたメールから出演依頼がきました。収録まで残り10日間でした。
 そういえば,大学3年のときにアタック25に出ましたが,そのときは収録前日の22時くらいに自宅に電話があり「明日,出れる?」「万障繰り合わせます」だったので,それよりは十分な準備期間がありました。

各形式の分析

 さて、5日ほど前に形式が分かりました。
 ● スペシャリスト→ストロングアンサー
 ● クイズ王→難読漢字ブレイク3
 ● U25→早書きアンサーズ
 この3形式なら,ストロングアンサー>早書きアンサーズ>難読漢字ブレイク3 の順に勝ち抜ける可能性があると分析していました。
 漢字は順番待ちがあり自分の集中力がもたないうえに,伊藤七海くんが門番では基本厳しいので,漢字はそこまで苦手でないですが最下位判断。クイズ王にこの形式だと残すつもりがあまりないのかな,とも思っていました。
 早書きアンサーズは,慣れない映像問題で速さが求められるのは,考える時間が十分にあるストロングアンサーより不利。自分で選んでないですが、スペシャリスト枠でラッキーでした。
 第二の門以降の形式も知ってはいましたが、第一の門を突破しないことにはテレビに映らないので全く対策はしませんでした。

当日の収録開始まで

 ストロングアンサーの対策問題を行きの新幹線で確認をしながら,マネージャーは付き添いで行かないといけない,と主張する嫁ちゃんを愛知に残して東京へ。スペシャリストの集う部屋は,クイズ好きではあっても,それぞれの仕事が全然違うので,雰囲気を感じるだけで全然楽しかったです。名刺交換から和気あいあいになったことは覚えてます。こういうときに名刺は大活躍します。途中控室に伊沢くんが来たときに「また来たの?」的なことを言われたことは忘れていません(笑)。
 収録順は3グループの最初で,スタジオに入るなり記念撮影があり、伊沢くんの隣、東大王メンバーの近くで写真が撮れました。

第一の門・ストロングアンサー

 自分の名札の番号が1,座席は井上裕介さんの隣で、テレビに映る率は上がりそうでした。収録が始まり、知った顔として話を振られましたが、門を突破できなければ終わるので,気の利いたコメントを考える余裕はありませんでした。
 クイズについては、作戦ではないですが「東大王と同じ答えを書かないこと」だけを意識していました。同じ答えだと正解発表前から0p確定で,気持ち的なダメージが大きいと考えていたからです。門番は1~4問目が後藤弘くん,5~7問目が河野ゆかりさん。後藤くんはオールラウンダー,河野さんは地理に特化,というイメージでした。ここから各問題を簡単に振り返ります。

 1問目,源泉の数を問う問題。予想問題が的中するも答えはお留守で「新潟」を書き,東大王がパーフェクトブロック。もう少し難易度が高い問題を予想していましたが、このレベルの統計データだとパーフェクトブロックの確率が上がってしまうと思い、困りました。
 2問目,漁獲量を聞く問題。焼津・沼津の静岡か銚子の千葉で悩み,静岡を選択し10p。千葉だと0pだったので,勘はいい方向に働いていました。
 3問目,「リン」と読む漢字。最初に「鱗」が浮かぶも,1画多いと勘違いして「麟」に変更。東大王は「鱗」でパーフェクトブロック。「躪」は知りませんでした。
 4問目,神社の数。予想問題が的中するもこれも答えがお留守。お寺を根拠に愛知と書きましたが,東大王は兵庫でパーフェクトブロック。
    ただ,東大王とは4問とも書いた答えが違っていたので、精神的なダメージはまったくありませんでした。新潟は明治期に日本で1番人口の多い都道府県であったことは有名てす。
 5問目,ランドセルの色。ニュースで見た記憶があり紫を書く。東大王が黒を書いた瞬間10pを確信。これで20pでリーチになり,負けても爪痕を残せたな,と勝手に思ってました。
 6問目,島の数。沖縄,鹿児島は意識がなく,瀬戸内海の島が浮かび広島を書きましたが25位。東大王は鹿児島でパーフェクトブロックしてくれたので,これもダメージは0です。
 7問目,5文字のア○○スト。アー,アア,アイ,アウと検索をかけ,アウグストがひっかかり,広辞苑にあるかどうかはわかりませんでしたが,この答えに賭けました。ただ,広辞苑には未掲載でした。

 結果,パーフェクトブロックが計5回,「躪」「アゲンスト」のどちらかで正解しなければ敗退なので,突破する可能性が0ではなかったものの,仕方ありません。「ゴルフで追い風をフォ/ローといいますが,向かい風・・」「アゲンスト!」という早押し問題は都合よく降りてきませんでした。スペシャリストは全滅となりました。
 控室に戻り,クイズ王,U25と収録が続く間,復活の門に向けてお菓子をバクバク食べながら,復活の門があれば,ということで国旗をひたすらチェックしたことを覚えています。
 クイズ王は1人突破,U25は7人突破,と収録前にイメージしていた結果に近い状態になり、復活の門の実施は決定。ここが正念場となりました。

復活の門

 37人中,2~7名が復活になる敗者復活戦。私の座席は一番左上,モニタで答える座席に座れてラッキーでした。隣は女優の有里まりなさんで,クイズが始まるまで一緒になってカメラへアピールを繰り返しましたが,私の知る限りではオンエアで使われたものはありませんでした。
 復活の門は普通のボードクイズで1問不正解で即失格。問題は読み上げ。
 1問目,広辞苑最後の見出し語で即答できましたが,半分くらい減りました。前の週に近くの図書館で広辞苑第七版を眺め、「ん」で始まる2つのカタカナ語をクイズにしましたが、このあたりから,今日はいろいろとツイてるなぁと思い始めていました。
 2問目,「小学1年生で習う漢字で書ける都道府県は青森,山口とどこ?」という問題。こういう所で出題されると緊張が走ります。結果、石川か大分で迷い、石vs川vs大vs分なら,分が仲間はずれだろうと思い「石川」で正解。6人まで減り復活決定。2問だけでしたが,これでまたクイズができるのはとにかく嬉しかったです。

第二の門・ブレイン鬼ごっこ

 ここからロビーで休憩、準備が出来次第すぐに収録開始で,控室には最後まで戻れませんでした。
 第二の門では,番組としては伊沢鬼が挑戦者を追いかけますが、伊沢鬼自ら「3問間違えたら終わり」とまとめたこともあり、サバイバルボードなら作戦は「自分の解答に集中し,他の挑戦者との得点差だけ気をつける」でした。したがって、伊沢鬼がどれだけ正解しても無視です。
 また、第二の門は挑戦者内で得点上位なら,伊沢鬼に追いつかれても門の突破に影響しないので,挑戦者内で上位をキープ出来ればOKです。挑戦者の得点はちゃんと確認できたので助かりました。以下,感想戦です。

 1問目、隣接する都道府県を答える問題。一応私も何が来ても大丈夫でした。10名正解。
 2問目、首相しりとり。福田康夫も宇野宗佑もわかったので即答。渕と淵を迷ったため,ひらがなで解答しましたが,漢字でかっこよく答えたかったです。この問題は4名正解で2問連続正解は3人だけになり,理想的な展開になりました。
 3問目、Twitter川柳、ボケでもなく「?」と書いたのですが,オンエアのときに,画面と同じものを書いてどうすんの?と嫁ちゃんからの突っ込みがありました。この問題は伊沢鬼単独正解で,4名が脱落となりました。
 4問目、ひらめき。最初の10秒くらい何も浮かばず,パニックになりかけましたが,伊沢鬼の「問題の中に答えは隠れている」を思い出し、日本地図を見て東と西が浮かび無事に正解できました。全員正解だったのですが,自分だけ間違ってたとしたらゾッとします。
 5問目、ボーナス問題。アハ体験。ウワウワウワ、ムリムリムリー。
 6問目、CT画像から答える問題。横からの映像がフグを連想させて,トゲを見てハリセンボンと判断。調子がよいというか,いわゆるゾーンっぽいことになってるのか。この問題は5名正解で5名脱落となりました。伊沢鬼は正解。
 7問目、国名しりとり。この手のひらめきは苦手ではないのですが,カで始まる4文字の国が出なくて軽くパニックでした。仕方なく後ろから考えたら,エルサルバドル→ルーマニアが浮かびました(ここは褒めてほしい)が,カ〇〇エの国はなく,家の近くにあるスーパー・カネスエでも書いておけばよかったです。松本くんが単独正解で2名が脱落となりました。
 8問目、太宰治『斜陽』の冒頭。早押しだと「朝,食堂でスウプ/を・・・」あたりで押すのでその先を覚えてない。文字数が少ないとは思ったものの『あら』と解答し、解答欄の大きさに言及した鬼がボクら全員に追いつきましたが,正解数トップタイで門を突破できました。
 収録では15問予定でしたが,放送は10問になっていました。欲を言えば、国名を正解して,伊沢鬼と1対1ができれば,よりテレビにたくさん映れたわけですが、残ったのでよしです。

第三の門・1対全員早押しバトル

 15問限定の早押し。門番は後藤弘くんと東言くん,どちらもオールラウンダーで東くんは加えてひらめきが強いので,ひらめきで何とかしようとしていた私には辛いです。
 15問中1問正解すればよいので,誤答は痛くないので,分かりそうならどんどん押すつもりでした。実際,2回間違えて3回目で正解しました。また,早押し参加者は東大王を入れても最大10人程度なので,解答権もまだ取りやすいかな,と思っていました。以下,感想戦です。

 1問目,ひらめき。モニタの文字を全部把握する前に藤重くんが正解。オンエアよりはるかに早いポイントですごいと思いました。
 2問目,グラフの読み取り。10代と50代で違うもので,最初に「右手」とあったので,「スマホ絡みかな」と思い,「左手」が出た瞬間に押して解答権を奪うも,「スマホの文字を入力する手」と答えて,少しの審議の後,誤答扱いに。私の誤答はオンエアではカットされていました。その後,高校生の鈴木くんが「スマホの持ち方」で正解。惜しかったけど,とりあえず解答権を取れたことへの落ち着きと,まだ12問もクイズができる楽しさが勝っていました。
 3問目,カレンダーの西暦年を答える問題。私は休み中。東大王が超速正解。生まれる前なのによく知ってるなあ。
 4問目,映像から都道府県,都道府県を答える問題は全然得意でないので,半分諦めました。國光さんの誤答の後,東大王が正解でした。
 5問目,英文から人物を連想,ひらめきに近いけど時事でした。昔よりは時事には意識がありますが,現在のクイズ力では仕方ないところです。東大王独特の出題に慣れてる東大王がやはり有利です。
 6問目,食べ物の名前でしりとり問題,NONSTYLEの井上さんが正解し,1問追加されラッキーでした。
 再度6問目,生き物の問題。おそらく新種だと思いましたが,知らないものは仕方ないです。東大王が難なく正解。
 7問目,履歴書の問題。東大王が間違えた名前を修正して國光さんがしっかり正解。時事をしっかり抑えていて凄いなぁ。
 8問目,寺院の問題。よくわかりませんでしたが,そろそろ押しておきたかったので,苔っぽい部分だけで「西芳寺」と答えるも,当然不正解でした。東大王が間違えた後,弁護士の中井さんが瑠璃光院を正解し突破。こういう問題を答えられる人は,教養が高い人だと思ってます。
 9問目,オブジェ。まったくわからない問題だったので,休み中でラッキーでした。1問休みでもわりとポジティブでした。
 10問目,英単語を答える問題。全然わかりません。あとで英語の先生に聞いたら「見た瞬間っすよ」と言われました。
 11問目,ひらめき。チャンスかなと思いましたが,松本くんがあっという間に正解されました。7人中5名が勝抜けとなりましたが,それほど焦ってはいませんでした。早押し参加は5人だけになったので,解答権はより取りやすくなっている,と思っています。
 12問目,何を検索しているか問題。事件,作者,モデルと続いたところで広すぎて,絞りきれませんでした。モナリザ効果という名前は知りませんでした。
 13問目,のりたま問題。ムリムリムリ。ここで初めて焦りました。ただ,ここで負けても爪痕は十分残せているとは思いながらクイズをしていました。
 14問目,四字熟語のひらめき。さすがにラストチャンスと思ったので,ダイブしてでも解答権を取りたかったのですが,最初に解答権があったのは東くんでした(オンエアではカットされています)。ほぼ諦めましたが,東くんが誤答,東くんが考えている間に答えはわかったので,普段はやらないボタン連打で周囲にアピールして「自画自賛」を正解。オンエアではまさに「自画自賛」的な正解になっているので,結果オーライでした。
 15問目,グラフの問題。1964年が最初なので新幹線と言われればそうかもしれないとは思いましたが,普通に難しく,そしていい問題でした。
 正解が出るまでは不機嫌そうな顔をしてクイズをしているように映っており,嫁ちゃんに散々ダメ出しをもらいましたが,結果的に14問の間,早押しに参加できて楽しかったです。基本的に自分の都合のいいようにまとめます。

最終決戦・難問オセロ

 最初にくじ引きで挑戦者の解答順を決めました。6人中6番目だったので1人だけ右側の座席になりました。少し寂しかったので,セットの中に隠れて東大王側を撮っているカメラマンの人と少し会話ができて面白かったです。
 難問オセロまでは想定していなかったので,漢字対策はしておらず,オセロの定石もよく知らずで,この段階で1回正解できれば御の字だと思っていました。
 実際,難問オセロが始まり,読めないし書けないしで血の気が引きました。「荒む」「寛ぐ」もまともに出てこなかったので,1回目の失格を覚悟しました。 
 自分の番になり,33「俗しい」34「執える」のどちらかで答えることになりましたが,どちらかといえば34番,何となくで「とらえる」と答えてみたら,なんと正解してしました。素で驚いた顔をオンエアで見て,最近,自分の父親に似てきたなぁ,とオセロとは関係ない感想をもちました。
 コメントが素すぎで,嫁ちゃんからまたダメ出しをされたので,「クイズの神様が,今日はボクに味方してくれているみたいです」など気の利いたコメントができるような人になりたいです。
 途中,東大王チームが伊藤七海くん1人になったとき,富永さんはまだ失格でなかったので,100万円がチラついたのは事実ですが,伊藤七海くんが完璧でした。プレッシャーの中,あれだけ堂々としているのは,相手チームながらかっこいいなぁと思いました。私は2回目で「冒む」が読めず失格となりました。そして東大王チームが勝ちました。

戦いすんで日が暮れて

 収録が終わったのが19:30頃で,当日中に帰らなければならなかったため,写真撮影や挨拶もそこそこに帰路につきました。名残惜しかったですが,やれることはすべてやりつくしたので,帰りの新幹線はご褒美にグリーン車に乗って帰ってやりました。交通費でトントンです。最近オセロの定石と漢検準1級の勉強を最近始めました。秋に準1級の合格を目指します。

 東海地方では,6月21日に無事に放送され,それなりの反響を頂きました。「見ましたよ」と言われて「ありがとうございます」と笑顔で返せるくらいの爪痕を残せたと勝手に思っています。
 小さいころはクイズ番組のセットに憧れ,中学2年で第13回ウルトラに衝撃を受けてクイズを始め,大学はクイズ研究会一色,同好会の顧問もしながら,なんやかやで30年近くやって,理由はわかりませんが,この日はクイズの神様が私にご褒美をくれました。
 当日関わってくださった方々,どうもありがとうございました。

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