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バッセン師弟空間#2 誰も触れない、2人だけのバッティングゲージ
東京都足立区で活動する柳原スターズ。
同チーム内において、長嶋・松井を彷彿とさせる師弟関係にあるのが、大久保監督と4番打者を務める龍君です。
25歳の若さながら指揮を執る同監督は、選手へのバッティングセンターでの指導を、練習時間外にも関わらず5年間続けています。
現在、その愛弟子が龍君です。
本連載では、2人の間に生まれる会話や空気感を、バックネット席さながらの臨場感でお届けしていきます!
バッティングセンター・アミューズパーク足立アメージングスクエア店は今日も賑わう。
野球少年達が、鋭い眼光で今か今かと打席を待っている。
背番号51・イチロー選手のTシャツを纏い、同じように出番を待っている少年がいた。
龍君だ。
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本連載2回目にして初めてバッティングセンターに姿を見せてくれた龍君。
まずは、大久保監督との練習が始まることになった経緯を聞いてみた。
「教え方が上手いなと思ったからです。チームに入った時は80キロでもバットに当たらなかったけど、教えてもらってから当たるようになってきて。それで楽しくなってもっと教えてもらいたいと思って」
そう言葉を残すと早速打席に向かい、100キロのボールなら軽々とセンターへ打ち返す。
表情は決して変えず、ただ黙々とバットを振った。
1年半やってみての自己評価を「上達していると思う」と口にした龍君。
父・浩さんからは「見る度に打球が上がっているし、フォームも良くなっている」という言葉をもらっているという。
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ただ、序盤こそライナー性の鋭い打球を飛ばしていたものの、終盤になってくると疲れてきたのかゴロが目立つようになった。
一打席18球。
これを全て芯で捉えようとすると、やはりもう一段階上の技術が必要なのか。
するとその時、大久保監督がバッティングゲージの中に入った。
「危険!打席の中には1人だけ!」の貼り紙など見向きもしないところが、彼のひたむきな性格を表している。
「もっとポイントを前に」
大久保監督は打席の少し後ろに座り、ただそれだけを伝え続けた。
龍君はコクリと頷き、また黙々と打ち続けた。
師弟の間には、それ程多くの言葉はいらないようだ。
その後、2人だけのバッティングゲージには打球音だけが鳴り響いた。
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最後に、将来の理想像を龍君に聞いてみた。
Tシャツとは裏腹に、目指すのはホームランバッターだという。
「イチロー選手にも憧れるけど、目標としているのはジャイアンツの岡本選手。打ってチームに貢献したい」と話した。
これから夏に向け、試合日程も多く組み込まれてくる時期。
チームを導く決勝打の為に、来週も龍君はバットを振る。
それではまた、このバッティングセンターで!
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