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二度もボールが顔面に。それでもグラウンドに立つ球技の申し子はソフトに夢中!

「僕、寿入りたい!」

寿ソフトボールチーム(千葉県松戸市)に所属する小学3年生の智輝君(当時小学1年生)は母親にそう告げた。

「『ソフトボールやりたい!』だったら、じゃあどこのチームにしようか~っていう流れだったと思うんですけど、チーム名を言ってきたので、もうそのまま即入団という形になりました」と、最初のきっかけを話してくれたのは母の絵美さん。
どうやら、先に同チームでプレーをしていたクラスの友達からの強い誘いがあったようだ。
こうして智輝君はソフトボール街道を走り始めた。

寿は高学年主体のチームでありながらも、智輝君はバッティングの伸びしろを買われ、DP(指名選手:守備には就かず、打撃を専門に行うプレイヤー)として出場を続けている。
高学年の子達と比べると、身体の大きさには当然差はあるものの、スイングには負けず劣らずの力強さがある。

DPとして出場する智輝君



そんな智輝君だが、一度「もう行きたくない」とソフトボールから離れていた時期があったという。
練習中にボールが顔面に直撃したことが大きな理由だ。
当時自宅にいた絵美さんだったが、練習時間内にも関わらず、智輝君が他の子の母親に連れられて帰ってきたという。

プロ野球の世界でも、頭部に受けたデッドボールの残像からフォームを崩しスランプに陥り、そのまま引退を余儀なくされる選手も数知れずいる。
やはり、ボールがこちらへ向かって来る時の残像や恐怖は、一度味わうとなかなか消えるものではない。
まだまだ小さい、始めたての子にしてみれば尚更だ。

それからは、特に何もせずに土日を過ごす日々が続いた。
キャッチボールこそ行ってはいたものの、グラウンドに顔を出すことはなかったという。

そんなある日、同チーム内でBBQのイベントがあった。
絵美さんが、良い機会だとは思ったものの、何の気なしに誘ってみたところ、まさかまさかの「行く」という返答が。
実に約5ヶ月振りにチームの皆と顔を合わせた。
すると何かの魔法がかかったかのように、次の日からはユニフォームを纏い、元気に家を飛び出していった。
これには絵美さんも驚きだったという。

「理由は分かりませんが、皆とまた会えたのが良かったんじゃないですかね。自分で決めたことはやり通してほしいと思っていたので、良かったです」
再スタートを切った瞬間だった。

しかし、このBBQイベントの中で行われたドッヂボールにて、智輝君は二度目の顔面直撃を受けている。
ボールの硬さに差はあれど、ソフトボールよりも一回り大きな物体が直撃する恐怖は計り知れない。
泣き出した智輝君を目にした絵美さんは「またか」と心配そうに駆け寄ったが、結局それは杞憂に終わった。
翌日からの智輝君の行動は前述した通りだ。

鋭い当たりは惜しくもセカンドの好守に阻まれるも、応援席からは大きな拍手が起こった



顔面へのボール直撃という二度の苦難に打ち勝った智輝君。
今後、彼がソフトボールを続けていくのかどうか。
それはもちろん誰にも分らない。
他の球技と出会うこともあるだろうが、そこでも智輝君ならきっと、持ち前の不屈の精神で、存分に力を発揮してくれることだろう。
ただいつか、買われた伸びしろあるバッティングセンスが開花した姿を、筆者はこの目で目撃したい。

試合を見守る母・絵美さん


寿ソフトボールチーム(千葉県松戸市)
Instagram@kotobuki_softball
同チームは、4月23日・29日の2日間の日程で行われた地区大会にて見事準優勝という結果を収めました。
走攻守にバランスの取れたチームで、特に接戦をものにする勝負強さが光りました。
今後さらに勝負強さを磨き、チームが掲げる「最強」の姿を期待しましょう!

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