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高橋りんご園がネット販売をしない理由

群馬県沼田市にある高橋りんご園は、埼玉西武ライオンズ・高橋光成選手のご実家のりんご園です。

標高800m、開放感抜群の地で、寒暖差を生かした栽培をされている農園です。


毎年開催されている、りんご狩りバスツアーは、予約開始からあっという間に満席、キャンセル待ちの状態が続くなど、その人気ぶりが見て取れます。

ただ、タイトルにある通り、同りんご園はネット販売を行っていません。

それに伴い、ホームページもありません。

あるのは、沼田市商工会のホームページで紹介されている1ページのみ。

住所と電話番号、そして5枚の写真しか掲載されていません。

同市内には、同じ名前のりんご園がもう1つある為、間違えてそっちのほうに行ってしまう人も少なくないんだとか。

こういった問題、ホームページがあればすぐに解決できることではありそうですが・・・。

一方、比較するのが適切なのかはさておき、光成選手のチームメイトである外崎修汰選手のご実家・外崎りんご園は、ホームページもあり、ネット販売にも対応されています。

以前までは振り込みでの支払いだったのですが、最近、クレジットカード決済もできるようになったということで、さらに購入者も増えることでしょう。

さて、高橋りんご園に話を戻します。

ネット販売がない分、高橋りんご園は外崎りんご園に比べ、購入のハードルが高くなってしまうでしょう。

「お電話いただければ、ご注文承ります」と代表の光政さん。

しかし、この大インターネット時代、電話なんて煩わしいという人もいるでしょう。

ネットでサクッと注文したいというのが、多くの消費者の本音だと思います。

実際、X(旧Twitter)では以下のような声も挙がっています。


では、なぜ高橋りんご園はネット販売をやらないのか。

これには明確な理由があるそうで・・・。

単刀直入に聞いてみました。

「どんどん集客をして新しいお客さんにも買ってもらおうとは、あまり思っていないんです」

という第一声が返ってきました。

光政さんは続けます。

「というのも、うちが1番やってはいけないことは、既存のお客さんの分のりんごが足りなくなってしまうことなんです。
うちは他のりんご園に比べれば決して大きくはありません。
剪定から手入れ、収穫までほぼ私1人で行っているので、これ以上大きくするつもりもありません。
ただ、古くから買ってくださっているお客さん方のお陰で、毎年完売なんです。
時期になると、多くの方から『今年も同じの送っておいて』という連絡を頂戴します」

分厚い束になって、50音順に保管されている宛名用紙が、その人気ぶりを物語っていました。

「ところが、ネットで集客をして、買いたいお客さんが増えてしまうと、その方々に届けられなくなってしまう。
毎年届けられていたのに、『すみません、今年はもうありません』だと合わす顔がない。
古くからのお客さんを特に大事にしていきたいんです

と口にされました。

なるほど、既存のお客さんでもう回っていたんですね。

ただ、勘違いしてもらいたくないのは、新しいお客さんはぞんざいに扱うということでは勿論ないということ。

僕が高橋りんご園を初めて訪れたのは今年の8月でした。

沼田市に立ち寄る機会があったので、ついでに行ってみるか、くらいのノリで訪れたのが始まりです。

当然、まだ出荷の時期ではなく、商品といえばりんごジュースしかないという季節でした。

加えて、お邪魔した時間はちょうどお昼の休憩中だったようで、光成部屋(光成選手の写真やグッズが飾ってある部屋)で休まれているところでした。

にも関わらず、「いらっしゃい」と快く対応してくださったのは印象的でした。

先述しましたが、今秋には4年目となるバスツアーも開催されますし、むしろ新しいお客さんは大歓迎なようです。

ただ、繰り返しますが、既存のお客さんの分をちゃんと届けられるだろうかということは、懸念点としてあるということ。

僕も話を聞くまでは「なんでもっと手広く売らないんだろう。買いたい人はいっぱいいるのに」なんてことばかり思っていました。

こういった考えなら、納得です。

やっぱり実際に聞いてみないと分かりませんね。

光政さんの考えをより多くの方に知っていただけると幸いです。

ご一読ありがとうございました。

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