そこかしこにゴリラ!異彩を放つゴリラバッティングセンターの裏側
「ゴリラが出迎えてくれるバッティングセンターって知ってる?」
思わずそう言いふらしたくなる。
埼玉県川口市・南鳩ヶ谷駅徒歩8分。
大通りから1本入った住宅街にそのバッティングセンターはある。
店の名は「ゴリラバッティングセンター」
「今日の挑戦者はお前か」と言わんばかりに、描かれた何頭ものゴリラがこちらを静観する。
そんな同バッティングセンターは地域住民から愛され、来年、20周年を迎える。
この日、店頭に立っていたのは店長のTさん。
遡ること2005年、Tさんの義父によって創業され、経営がスタートした。
Tさんは元々会社勤めであり、同バッティングセンターには一切ノータッチだった。
しかし10年前、家の事情から店長として手伝いをするようになったという。
とは言え、これまでとは全くの別業界。
戸惑いもあっただろう。
特にマシーンのメンテナンスは、高難度かつ危険も伴う。
「全て覚えるには数年かかった」と当時の苦労を口にした。
その為、アルバイトスタッフこそいるものの、その作業だけはT店長1人で行っているという。
ただ、やりがいを聞くと「楽しいですよ」という言葉が第一に出てきた。
「僕自身、野球経験者でもあるので。特に野球少年の打席は、暇な時に後ろから眺めたりしてます」
彼もまた、青春時代を野球に捧げてきた1人なのだ。
かつて甲子園常連校として名の知れた、あのPL学園とも対戦したことがあるという。
ひたすらバットを振り続けた高校時代から十数年。
現在は未来の高校球児の為に汗を流す。
T店長は今後の展望として「2階をもっと有効活用したいんです」と口にした。
2階には、トスバッティングゾーン、ビリヤード、卓球台、そしてカラオケルームもあり、1階のバッティングゾーンと合わせてもまさに1日中楽しめるコンテンツが充実していた。
しかし、コロナをきっかけにカラオケルームは閉鎖してしまったのだ。
その分、現在空白のスペースが存在している。
「理想としては、ピッチングゾーンを2階に作りたいんです」とT店長。
「よく、キャッチャーをやっている子が防具を付けてバッティングゾーンでキャッチング練習をしているんです。
それ自体はもちろん大歓迎ではあるんですが、せっかくならバッテリー同士で練習できる場を作ってあげたくて。ちゃんと18.44メートルで、マウンドも設置してやってみたいんです」
バッティングセンターでは実に珍しいピッチングゾーン設置の構想。
野球少年の練習場が減少している昨今、実現されれば、野球少年達にとって希望の光となることは間違いない。
節目となる来年も、ただの通過点。
いつまでも愛されるバッティングセンターへ向け、今後も地域住民と共に歳を取る。
野球を愛するT店長の思いを後に店を出た瞬間、挑発的に見えたゴリラが心なしか、愛おしく感じた。
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ゴリラバッティングセンター
〒埼玉県川口市南鳩ヶ谷6-13-3
Tel:048-282-6766
営業時間:平日12:00-23:00/土日10:00-23:00
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