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手帳とデジタルとの悩ましい三角関係

わたしが手帳とデジタルとの三角関係に悩まされ始めたのは、まだ商社マンだったころです。Windowsは3.1の時代。まだExcelよりもLotus 1-2-3の方が市場を席巻していた時代。

生まれて初めて買ったパソコンは東芝のdynabookというラップトップで、フロッピーのDOSで一太郎を使っていました。画面が真っ赤なプラズマディスプレイだったことを覚えています。

そのころはパソコンと言うよりは単にワープロとして使っていたので、わたしと手帳とデジタルとの関係は三角関係にはなっておらず、それぞれ役割と棲み分けが決まっていたのでした。

悩ましい関係が始まったのは、HP-200LXというデバイスを手に入れてからです。

このデバイスは掌に載るサイズでありながらDOSのフル機能を使うことができたもので、モデム経由ニフティサーブには繋がるし、FAXも送れれば、それこそLotus 1-2-3が附属していたという当時としてはとんでもないデバイスでした。

勿論、スケジュール管理やタスク管理もできてしまいますので、当時紙の手帳を使っていたわたしは(今、覚えている人がどれだけいるでしょうか。タイムシステムというシステム手帳でした)、手帳と200LXのどちらでメモを取り、スケジュール管理し、タスクを管理するのか迷い始めたのです。

そして今、わたしの会社のスケジュール管理とタスク管理は完全にデジタル化しています。スケジュールはGoogleカレンダー、タスク管理は Jiraです。

では、紙の手帳は使っていないのかというと、実は使っていたり使っていなかったりという状況で、どういうことかというと、手帳は何冊も持っているけれど、いまだに適切なデジタルとの使い分けに苦慮していて、とっかえひっかえ、三角関係どころか五角、六角関係にまでなっているのです。

その手帳たちとは、モレスキンポケットとラージ、トラベラーズノート、そしてPLOTTER。

トラベラーズノートはロマンを感じて10年以上前から使い始めましたが、どうも今ひとつ定着しませんでした。何度も机の上に出しては本棚にしまうということを繰り返した手帳でした。今は、本棚の飾りになっています。

PLOTTERもそのコンセプトに憧れて購入してみたものの、結局定着はしませんでした。システム手帳はきちんとメンテナンスしないと機能しないのですが(当たり前)、忙しすぎるのかわたしが怠け者なのか、そのきちんとメンテナンスするということがどうしても身に付きませんでした。

若いころタイムシステムを使っていたころはシステム手帳を使うほど仕事が複雑では無かったので結局使わなくなりましたが、今は多忙を極め複雑さも増しているのに、逆に整理する時間が取れないためにシステム手帳を使うことができないという状況になっています。

結局、いまわたしを取り巻く三角関係は以下の状態で収束しそうです。

モレスキンラージで、とにかく全てをメモります。

議事録のメモもパソコンを使ったりはしません。紙の手帳に整理しつつ記入します。考えながら、理解しながらまとめるという観点からは紙の手帳に勝るものは無いように思います。パソコンでメモを取ることもやってみましたが、結局そのまま書きうつす、コピペするようなもので、むしろ打合せの内容が頭に入りませんでした。

モレスキンラージに記載した内容に出てきたスケジュールやタスクは全てパソコンで登録し、デジタルで管理します。

これによりメモの内容はむしろ忘れるようにしています。スケジューラーやTODOの通知に従って粛々と実行するのみです。このメモ内容を忘れてもよい、ということが精神衛生上とても良い気がしています。メモした内容をずっと覚えておかなければならないとしたら、わたしは頭がパンクしてしまうかも知れません。

但し、モレスキンラージに書いている内容の中で、特に注意が必要で熟考すべき内容があった場合。この場合は紙とデジタルのミックスで対応しています。

物事を考えるとき、紙に書きながら考えた方がよいときと、パソコンでいきなりスライドやスプレッドシートでまとめながら考えた方がよいときと、その内容によって異なると思います。これは、もう自分の感覚を信じるしかなくて、一度紙で整理し始めたけれど途中でパソコンに向かったり、スライドショーを作り始めたけど、結局紙で絵を描き始めたり、むしろ自由に自分を型に嵌めないで気持ちよい方を使うようにしています。

結局のところ三角関係は解消していないわけですが、それなりに折り合いを付けながら、それぞれの長所を生かしつつ、あまり決めつけないで自分の気持ちよいように、自分の感覚を信じて使っていく、それが紙とデジタルと上手に付き合うコツなのではないのでしょうか。人間関係の三角関係はなにかと問題であることが多いですが、紙とデジタルの三角関係はむしろ理想的な関係なのかも知れません。

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