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「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」に見るヒット作のテンプレート(ネタバレ無し)

最近わたしがハマっているアニメは「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」です。

作家の円城塔さんが脚本を書かれていて、ボンズとオレンジという会社が制作しています(ボンズ、オレンジは今回初めて聞きました。ボンズはかつてのサンライズの第2スタジオが母体のようですね)。

まだ8話までしか公開されておらず完結はしていません。TOKYO MXでも放映されていたようですが、わたしはネトフリで観ました。

この手の古い素材を現代的にリメイクするという手法には、今までもいろんな方が挑戦してきていて、「シン・ゴジラ」などの庵野秀明さんの一連の作品はまさにその代表と言えるでしょう。

庵野さんの作品や押井守さんのヒット作によく見られる特徴というのがあるとわたしは思っていて、例えば

日本の地方都市が舞台になる(しかも比較的東京に近い場所)

作品の主題となる謎を最後まではっきりさせない(観終わっても分からないことすらある)

徹底したリアリズムと素材のギャップの大きさ

とにかくうんちくが多い

といったようなことが上げられるのではないでしょうか。

これらの作品はオリジナルが昭和を舞台にしていることもあるのだと思いますが、年齢的には40代から50代の郷愁を誘うように、昭和時代の東京が残っている近郊地方都市が舞台になることが多いです。

ビルが林立するのではなく、こじんまりとした駅前や商店街が描かれ、山や海に囲まれて色彩的にも緑や空の青が印象的です。

どの作品も謎が魅力的です。しかし、その謎自体が何か、それが解き明かされることはなく、なんとなくほのめかしているだけで、断言されることがありません。基本的に観ている者にその解釈を任せています。

これは非常に巧みな手法で、下手をするとわけが分からないで終わってしまうのですが、観ている者の世代や生い立ちや主義・思想でいかようにでも解釈ができてしまうので、素材の割には幅広く世間に受け入れられることになります。

またこれらの作品は、素材自体が荒唐無稽であるにもかかわらず、科学的な裏付けや実在する組織やプロセスに徹底的にこだわることによって、素材自体に非常にリアリティを与えることに成功しています。

そしてうんちく。果たしてそれが正しいのかどうか、観ている者の理解を待たない大量のうんちくと知識が怒濤のように流れ去っていきます。そのうんちく自体はつまらないことでもよいのです。あたかも講談師のしゃべりを聞いているかのように、一定以上のインテリたち(ここで言うインテリとは日本人の大学進学率が50%を超えたころの大卒レベルという程度の意味です)は心地よくそのうんちくに流されていきます。

そう言えば、わたしが大学時代にハマって今でも何度も観ている「機動警察パトレイバー」などもこういった特徴を備えていました。

「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」は上記の要素を全て満たしています。これはウケる! と言うかわたしの好みの作品です。「攻殻機動隊」がネタ切れになって作られなくなり、観るアニメがなくて寂しい思いをしていたわたしにとって久々に現れた救世主と言えるでしょう(何故かわたしには「鬼滅の刃」は合わなかったのですよね…「呪術廻戦」も最初の10話くらいまでは観ていたのですが、それ以降は観なくなっちゃいました)。

早く続きを! 続きを早く!

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