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一緒に学んでいきたい常勤医1名のみ募集!(2022年4月~勤務開始)医療法人かがやき 総合在宅医療クリニック(岐阜県羽島郡岐南町)で行っている学びの10のステップついてお話ししようと思います!

市橋亮一


今年2名入ってくださった常勤医の先生方にどのように在宅医療という場所でよく学んでいただくための仕組みを作りつつあります。

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そもそも在宅医療ってどうやって学ぶのでしょうか?それぞれの医師のもともとの出身の科を活かしながら、新しいことを学んでいける、そして自分の担当患者さんで悩んだ中で次のフェーズに進んでいくということを繰り返していくことが重要だと思っています。

その中で学びをファシリテートする環境としてどのようなものがいいのかをずっと考えてきています。これまで当院でやってきた現在地をここで10のステップに分けてご紹介します。

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ステップ① 学びの場を作ることのできる外部スタッフに定期的に介入してもらうこと・・・・2019年からやり始めました。

開設後数年して初めて受けた1か月間の研修医。そこに1人目として来てくれたのが竹之内先生。竹之内先生とその時「研修医向けに在宅医療の必須項目をコンパクトに理解できる手引書があったらいいのに」と話し合った時からの縁で、前任地の亀田総合病院、その後移られたエリア内の一宮西病院から当院の教育の仕組み改善のために月に一度来てもらっています。

竹之内先生のご紹介は→ youtube動画

https://www.youtube.com/watch?v=GgNFAsWfkrk

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竹之内先生とともに、その時ワードで作っていた研修医マニュアルの内容すべてに引用文献を付けて書き上げたのが「在宅医 ココキン帖」(ココキンは心得”ここ”ろえと禁忌”きん”きの略です)。福井のオレンジホームケアの紅谷先生にも入っていただき2019年7月12日販売開始しました。まず当院に入った方にはこの自院の「研修医マニュアル」としての在宅医ココキン帖を軸に、学びを始めていただくことにしています。

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ステップ② マニュアルを超えた実戦での悩みを、youtube動画で見れるように、ココキンの21のトピックスを動画にしています。

読んだだけでは立体感をもって患者さんと接したときの対応をつかみにくいということがあるので、実際どのようなことを考えるのかについての動画を作成しました。当院では年間10名を超える研修医が1か月ずつ研修していくので、彼らにモニターとして質疑応答に参加してもらっています。みなさん優秀で素晴らしいです。チャンネル登録していただけると新しいものがアップされるたびに通知が行くと思います。

https://www.youtube.com/channel/UCO5fvFHSsvG6gxPUoAnD9Pw

ステップ③ 小テストで理解度を振り返ってみる。当院では、小テストで振り返りをしてもらいながら、実症例での振り返りを一日の終わりに研修医とともに行っていくことをやっています。

当然忙しい日には時間が取れないのですが、一か月しかいない研修医の方には21項目すべてのテストを終了して研修終わりとしてもらっていますので締め切りがあります。後半はつらいですがやりきることで短期間でより確実性の高い知識にすることができます。

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ステップ④ さまざまな医療デバイスに習熟する / エコーは1人1台で、日常的に超音波検査が手に届くようにしています。エコーは在宅医療にとってもはや欠かすことのできないもの。

POCUS(Point of care ultrasound)という考え方では、もはや在宅医療で超音波検査は聴診と同様必要な時に行うものですべての医療者・学生ができることが望ましいと考えます。クリニックにある6台のエコーを必要な時に使用することができます。

それ以外にも自宅で胃ろう交換後に内視鏡で再留置を確認したり、心電図、カプノメーター(呼気内二酸化炭素計測)、持続注射用ポンプ、耳鏡、眼底鏡、体圧分布センサー(褥瘡対応、圧測定)などさまざまなデバイスが自宅で使えるようになっています。また遠隔での診療補助をさまざま形で検討しています。

つかえる機械

エコーを使い慣れなくても、使えることができように講習会を開催しています。学生さんも参加可能としました。

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胃カメラ

胃カメラで胃内に再留置できているかを確認する

ステップ⑤ 実症例にあたる 

2021年ではコロナ禍でもあり自宅での看取りがさらに増え2021年1月~6月の自宅看取りは95名で、常勤4名、非常勤11名での対応だったので忙しい日々でした。新規患者はがんが53.6%(150人/年間紹介280名)という感じで、地域の重症患者を中心にご依頼いただくことが多いです。

最後まで自宅で過ごす方はもともと76.5-80.1%(2018-2019)でしたが、コロナ後84%台まで上昇(2020-2021)し、病院での病床不足、コロナで面会ができない問題なども含めて在宅医療を選択する患者さんが増えています。(以下病名は主病名のみ)

当院での在宅看取り率

主病名一覧

ステップ⑥ 専門医に1年間でチャレンジできる学びの仕組み 

当院は在宅専門医研修施設で、年間2名の枠で専門医試験を受けることができます。年度の初めに「どのようなことを自分として学んだり、まとめたりしたいか」という会を設けます。そこでいろいろな人の話を聞きながら、また自分で出会った症例を中心に月に一度ほかに専門医を受ける人たちと一緒に定期的なペースメーカーとしての発表の場を設けます。

過去には当院の医師が「優秀ポートフォリオ」に選ばれたこともあり、指導体制に対して他の施設へのレクチャーとして学会からの招待をいただいたことがあります。第20回日本在宅医学会 専門医委員会 指導医大会 優秀ポートフォリオ(土屋、市橋、第11会場 30日 9:50-)

優秀ポートフォリオ 発表会

https://www.jahcm.org/assets/images/recruit/2017/B4-02.pdf

その土屋先生は(大変優秀なのでなんと)、その後ポートフォリオを審査する側になりました。良いポートフォリオを書くための要点としての解説動画はこちらです。(院内勉強会でのシェア)

https://www.facebook.com/ryoichi.ichihashi/videos/3993794270703339

ステップ⑦ 働き方の工夫・・・チームとしてのバックアップ 

当院では週4回勤務を常勤としているので1日外の病院で研修することも可能です。その人のライフステージに合わせて週1~週5の勤務の医師が常勤換算で5.5人程度いる状態になっています。夜勤をやる当番は平日週1回、週末1回で回すことができるので連続勤務がなく十分システムとして休暇が取れる仕組みになっています。

また合計で医師が非常勤を含めると15名いるので、さながら総合病院のように各科の専門家がいる状態で相談しやすく、また医師の生涯教育にも良いと思います。

採用は「採用のウェイティングリストを作る」というコンセプトで、長期的にクリニックで働きたい&トレーニングしたいという人を集めて行っています。すなわち急な離職や、働き方の変更にも対応できるようにクリニックに「いつか来たい」という人をたくさん予約してもらっておくことで人的資源が常に潤沢にあるようにしています。そうすることで無理に仕事が増えることがないように準備するのです。現在2022年から1名、2023年から1名常勤スタッフが増えることになっています。2022年から1名だけ今は枠がありそうですので、一緒に働いてくれる人を探したいと思っています。

一週間のスケジュールは以下のようになっています。

一週間スケジュール

現在勤務する医師の専門は内科(総合診療、血液内科、内分泌糖尿病、神経内科)、外科(心臓血管外科、消化器外科、脳外科)、泌尿器科、緩和ケア科、皮膚科など幅広い専門をカバーしています。また新しく小児の在宅医療を取り組むようになりました。気軽なコンサルテーションが学びにつながって働いている医師の満足度は高いという声がきかれます。一人開業ではできないグループ診療という形が医師の新しい形として注目されています。

【研修費】すべての職種が平等に常勤は年間20万円、非常勤は10万円の研修費があります。みんながそれぞれの場所に研修に行きもってきた新しい知識を職場に還元してくれます。そのような多職種の継続的な学びの場であることも新しい発見が日常的にあるような職場にしてくれています。

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また全国的にも珍しい音楽療法(音楽療法士)、食支援チーム(管理栄養士・言語聴覚士・歯科衛生士)、小児リハビリチームがあります。

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看護部門はさまざまなことのできる司令塔としての役割があり、非常勤医師、研修医のスーパーバックアップとしてさまざまなことを伝えてくれます。患者さんの言葉も、家族の言葉も、地域の人々の言葉も、多職種の言葉もわかり、なおかつチーム全体と意思疎通ができる。

看護が全体に及ぼす影響が大きく、診療看護・訪問看護・小児リハビリ・皮膚科コンサルテーション・栄養チーム・音楽療法のいずれの土台としても活躍してくれています。院内での多職種がそれぞれ何ができ、どのように支えてもらえるのかを知ることは重要です。

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ステップ⑧ 毎日の学びを習慣化するために

当院では毎朝5分間レクチャーとして、適切な教材を検討していましたが、今は「ホスピタリストのための内科診療」が良いと考え、2020年6月23日から1冊145項目を毎日1項目朝に医師全員+研修医で順番に担当して、2021年7月末で読み終わります。この本は最近の主要な医学的な問題に対して簡潔にエビデンスに基づいてまとめてあり、土台として読み進めていくにはとてもよかったです。

【今後は?】疾患別のこの本が終了したので、今度は類似レベルの症候別の内科診断リファレンスに移行していきたいと思っています。181項目あるので、こちらは1.5年程度かかるかもしれませんが、継続的に読んでいくこと、そしてそれぞれの「在宅医療での応用はどうなっているのか?どうするべきか?」という問いを投げかけていくことで自分たちのフィールドでの展開を考えることが可能になります。

ちなみに治療での問題の解決はさまざまな診療科・病院主治医とともにクリニックとして契約するUp to dateでの対応をすることが多いです。いずれもいいものが世の中にはあるものだと思っています。

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ステップ⑨ 全国から医師・医学生・多職種の受け入れを行っています。(時に世界から)

過去5年間で36名の初期研修医、7名の後期研修医、120名の医師、72名の医学生の受け入れを行いました。

医師医学生研修受け入れ実績

*2年目の研修医の受け入れ先は 岐阜大学、松波総合病院、一宮西病院(一宮)、大同病院(名古屋)から受け入れて、期間は1か月です。

*医師、医学生の研修は1日が多いですが、医学生は1~4週間継続しての研修を行う方もいます。(医学生:岐阜大学、名古屋大学、名古屋市立大学、藤田医科大学、愛知医科大学、三重大学、富山大学、福井大学、愛媛大学、島根大学など)

*2020年~2021年の研修はコロナ禍により制限していましたが、ワクチン接種後であれば受け入れるようになってきています。

*海外からの研修は、台湾、オランダ、カナダ、ミャンマー、タイ、アフガニスタン、カザフスタン、マレーシア、モンゴルなどから受け入れています。

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愛媛 医療法人ゆうの森 たんぽぽクリニック、福井 オレンジホームケアと当院の3か所が持ち回りで「今すぐ役立つ未来道場(いまみら道場)」を行ってきました。全国の在宅医療を深めていきたい様々な職種の方との交流学びあいを深めています。

ステップ⑩ さまざまな国との国際交流 

さまざまな機会を通じていろいろな国の仕組みや考え方を学ばせてもらっています。オランダではポジティヴヘルス、台湾ではコミュニティへのアウトリーチの形と徹底したICT、スウェーデンではホスピスの在り方など、、、、。さまざまな国との交流を通じて日本の良さも発信していきたいし、他国からも学んでいきたいと思っています。

台湾の公共テレビでも取り上げてもらったりしています。台湾語でもなんとなくわかってしまうのが不思議ですが当院の活動を短く簡潔にまとめていてくれて素晴らしいです。(以下Youtube動画)
◎訪問診療・訪問看護
https://www.youtube.com/watch?v=7InotzHkOiY
◎音楽療法/町との共同活動
https://www.youtube.com/watch?v=xQHFJj3e2VI&t=88s
◎管理栄養・歯科衛生、言語聴覚士、町のウォーキングクラブ/プロデューサー/子ども食堂
https://www.youtube.com/watch?v=cM_3q6NGxqo

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オランダから視察

スウェーデン

付録:その後の成果 当院を卒業して各地で在宅医療を始めてくれている卒業生が今のところ7名います。いつまでも末永くアライアンスとして各地の在宅医療の振興に貢献してもらえたらと思っています。理念は僕ら自身の手ではなく、さまざまな人の手によって実現されればいいことなので。諸先輩方の体験記も書いてもらうようにしたいと思っています。

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市橋亮一
医療法人 かがやき 総合在宅医療クリニック理事長 http://www.sogo-zaitaku.jp/