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Nikon Z6Ⅲファーストインプレッション

ミラーレスのカメラについて

ずっと懐疑的だった。そのファインダーがどうしても気に入らなかったのだ。ファインダーはあくまでも「像」であるべきで、「映像」であってはならない。それが持論だった。

背面液晶を見ながら撮るのはまだ我慢できる。しかし作られた「映像」を覗いての撮影はどうしても許せなかった。だからデジタルは一眼レフ。フィルムは一眼レフとレンジファインダー。それでずっとやってきたのだ。

しかし年齢による衰えがじわじわと効いてくる。一眼レフはボディもレンズも大きくて重い。さらにそれを支える三脚も丈夫なものが必要だ。D500はまだ良いがD800はミラーショックも大きい。手持ち撮影では1/125sec.以上で切る必要があり、感度を上げたりして何のための高画質なのか分からなくなってきた。

転機は突然訪れる

大学の同級生Gがレンズを買いに上京した。たまたまニコンの新型Z6Ⅲの発表の2日後だった。Gに付き合った私は手持無沙汰に店員にD500の下取り価格を聞いてみた。そして驚いた。予想以上に高額だった。

気が付けば捕らぬ狸の皮算用。所有しているボディとレンズを列挙して下取り価格の概算をしてもらった。よし!買えるぞ!

それが6月19日のことである。7月8日には野球の撮影が控えていた。高校の同級生が母校の野球部の部長をしている。昨年までは監督だった。その日まではD500と望遠ズームは持っていなければならない。

撮影は無事に終了。しかし59歳の私は年齢的にもう限界だった。この試合を最後に「相手が動く」スポーツ撮影と、「自分も動く」スナップ撮影は引退を表明した。あとはミラーレスでシニアらしくまったりと撮ろう。そう決めた。

デジタル一眼レフよ、さようなら

Z6Ⅲの発売は7月12日だ。大急ぎでデジタル一眼レフと使っていないフィルムカメラ、およびレンズを出して並べた。それがこの写真だ。梱包だけでも半日がかりだった。

もちろんニコンやキヤノンやライカなどの大切なものは売らない。ミラーレスの不満はそれらで解消しよう。Z6Ⅲ発売記念で期間限定20%の下取り価格アップもあり、総額64万円になった!

そしてZ6Ⅲとレンズは悩んだ末にスタンダードな24-70/4に決定。40/2も欲しかったが、まずは仕事用の撮り方に慣れるのが先決だ。24-70/4は新品同様の中古が安かった。18万円のお釣りが来た。

さて例によって前置きが長くなった。

ファーストインプレッション

まずファインダー。ハッキリ言って気持ち悪い。でもこれはZ6Ⅲが悪いわけではない。事実、メーカーによると「ニコンミラーレス史上最高のファインダー」だという。発展途上のデジタルシステムにあっては下剋上が当たり前だ。そうなのだろう。でも気持ち悪い。しかしこれは慣れるしかない。

これを書いているのは7月20日。まだ10日間足らずだが、毎日撮影して慣れてきた。

気持ち悪さの原因のひとつに手振れ補正があった。ファインダーを覗いて水平の微調整をする。手振れ補正がONになっていると逆方向にカメラが補正しようとする。これがグラグラして、35℃の猛暑と相まって熱中症になりそうになった。

ただでさえミラーレスでブレの心配が少ないのに、これがデフォルトでONなのはアホである。屋外と屋内とで切り替えることにした。

ひととおり撮影してみて不満点や疑問点をまとめたうえで、ストラップをもらいがてらNPS(ニコンプロフェッショナルサービス)を訪れた。

まず「iボタン」の使い方を教えてもらう。なるほど!これはやはり対面で聞かないと分からない。

感想など

最大の不満点がひとつある。再生メニューに「画像の自動回転」はあるけど「縦横位置情報の記録」の切り替えがない!背面液晶の自動回転は便利なのでONだ。しかしPCのソフトで見るときに縦位置が小さくなるのは、大大大大大っ嫌いだ。

しかもネットの情報を見るとZ9にもないとのこと。プロは怒らないの?これじゃ一括リサイズやベタ焼き制作で困るじゃん。理解に苦しむ!ファームウェアでの対応を望む!とNPSのお兄さんに言うと「上に伝えます!」とメモしていたので、「20人くらいのカメラマンに怒られました!」って言っといてと伝えた。

まあしかし、一眼レフにはあってミラーレスにはないので、何らかの出来ない理由があるのだろう。それをアナウンスしてくれ。

液晶の可動方法が何とか式とかは、どうでも良い。しかしここがひっくり返せるのは素晴らしい。もともとは運搬時の安全のためだと思うが、これで家を一歩出たら帰宅するまでは絶対に再生などせずにストイックな撮影ができる。

写りはとにかく素晴らしい。そしてブレない。レリーズのたびにグッと息を詰めなくてもブレないので、熱中症の危険性が少ない。しかし道具が便利すぎると人間はどうしても雑になる。そこは厳に戒めなくてはならないだろう。

レンズをどうするか

しかしズームは1日で嫌になった。どうしても優柔不断になる。仕事と用事以外では間違っても使いたくない。40/2は想定通りだが28/2.8も追加購入した。モノクロ専用のペンタックスも、お気軽撮影でも良い色が出る富士フイルムも、どちらも同様のシステムだ。この2本で良いのだ。

単焦点2本はSEタイプにした。AIニッコール風で所詮はデザインの遊びなのだが、ノーマルタイプよりも圧倒的に見た目が良い。デザイン効果で全長が短く見えるのだ。最大径が若干大きいせいもある。フードはいにしえのHN-2。当然ながら艶ありの刻印タイプだ。

ボディが小型軽量なので長いレンズは付けたくない。最近ではその方が主流のようだが、あれは傍目に見ていても「鼻の下が長い男性」のようでカッコ悪い。

あとは超広角や望遠が必要になったらレンタルで間に合わす。そして万が一また撮り直せない撮影が発生したら、予備でAPS-C1台と便利ズームを加えればよい。年齢がいくのも悪いことばかりではない。良い意味で肩の力が抜けて楽になった。

これでいいのだ。

好きなフィルムカメラは手放さない

Z6Ⅲに慣れるまではフィルムカメラは封印している。ただでさえ猛暑でフィルムの現像も秋までは不可能だ。秋になったらフィルムで撮ろう。光が生きているFM3Aのスクリーンを入れたFEのファインダー。眼球が自由になるライカM2のファインダー。

あのフィルムカメラたちを私は手放すことはないであろう。便利なミラーレスデジタル。そして魂のフィルムカメラだ。


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