Take RooTsインタビュー①後編

前回に引き続き、勅使河原 航さんへの
インタビューをまとめさせていただきます。

はじめて読まれる方は
こちら(インタビュー前編)
から読んでくださいね(^_^)

◎インタビュー
【現在の活動について】
Q.大学で教員として働きながら、大学院に進学された理由は何かありますか?

勅使河原:関西の社協で働きながら地域福祉の実践のためのアプローチを学んでいましたが、退職を機に大学院で学び直したいと考えるようになりました。考え始めたもののなかなか実現に至らず、まずは人生BOOKをスタートさせました。その後、大学で働き始めたことがきっかけに改めて決意し、通信制の大学院に進学しました。時々、進学理由を聞かれることがあります。自宅から通える通学過程の大学院を受験するか、自分が学びたいことや研究テーマを専門にしている先生が所属している大学院を受験するか悩みましたが、私は後者を選びました。

Q.勅使河原さんは地元北九州で活動されています。私たちTake RooTsも、地域に根付くことをテーマに活動しています。地域づくりについてはどのようにお考えですか?

勅使河原:地域づくりにおいて、学生時代の震災ボランティアやフィールドワーク、社協時代の経験から学んだことは「1人の100歩よりもみんなの一歩」が大切だということです。特にフィールドワークでの私は、思いだけで空回りしているリーダーだったと思います。当時はそんなつもりはありませんでしたが、なかなか自分の行動が良い結果に繋がりませんでした。経験や年齢を重ねて振り返ると、なぜうまくいかなかったのかわかります。当時の後輩たちにはごめんねと言いたいですね。
社協3年目の時、ある地域を担当させてもらったのですが、体調を崩されり、夫が亡くなり閉じこもりがちになっている方を「心配」、「気になんねん、大丈夫かな」と気にかけては、手紙を書いて訪問し、声をかけたり、買い物や電球の取り替えなど生活の中で生じる困りごとを手伝ったりするたくさんの方に出会いました。そんな「あたたかいおせっかい」は地域社会の豊かさを表していると感じましたし、地域住民自身の活動の中に可能性を感じました。
地域には自治会館や市民センターでの子育てサロンや介護者同士の交流会、地域の方の交流会、早朝のラジオ体操での交流、生活のお手伝いなど、様々な交流の場があります。しかし交流は一人ではできません。「〇〇さんがいるからね。」、活動者の方からよく聞くフレーズです。誰かと一緒だからできる、誰かと一緒だから楽しい、誰かと一緒だから悩んだ時も相談できる、そんな関係性がたくさんある地域は強いなと感じます。
まずは何事にも関心を持ち、学ぶ姿勢を大切にしながら、地域や地域で関わる方々への理解・交流を深め、地域の方々と協力してつくっていくことが大切だと思っています。

【今後の展望について】
Q.最後に『勅使河原航』としての使命とは?

勅使河原:特別な使命感のようなものはありませんが、自分に嘘をつき過ぎない人生を送りたいと思っています。

◎インタビューした感想

以前、Take RooTsの勉強会で講義をしていただいたことがありますが、その時以上にエネルギーを感じました。また社会福祉士としての職種柄かもしれませんが、社会、地域、個人と広く物事を俯瞰して捉えられており、その中で一人一人の「その人らしさ」を大切にしていきたいという強い意志に感銘を受けました。過去の写真が「人生BOOK」になることで想い出の記録に留まらず、これからを前向きに生きるツールになり得るという着想も、一人一人に寄り添ってきた勅使河原さんだからこそ生まれ得たのかもしれません。今後の勅使河原さんの活動に注目していきたいと思います。

勅使河原 航さん
《経歴》
福岡県 北九州市出身

2012〜2016年
大学卒業後、関西の社会福祉協議会で障害福祉、高齢者福祉の相談業務、地域支援を担当。

2016年
社会福祉協議会を退職。熊本地震震災地で福祉施設の医療・介護従事職のコーディネートを行う。

2017年
地元北九州に戻る。若年性認知症のケアに取り組むデイサービスに勤務。「人生BOOK」事業開始。

2018年
北九州市立大学特任教員として勤務(現職)。

2019年
日本福祉大学大学院に進学。

人生BOOKホームページ
https://www.jinseibook.com/
note 人生BOOK
https://note.com/jinseibook

インタビュー日:2020年8月7日

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?