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ルックウッドのカップについて

このたび入手した、美しいルックウッドのカップについての考察をまとめています。

コーヒーを注いだルックウッド製デミタスカップ

ルックウッド製陶所は1880年、アメリカのオハイオ州シンシナティに、マリア・ロングワース・ニコルズ・ストアラーにより設立されました。

設立当時、日本人技術者である白山谷喜太郎が同社へ招かれたことでも有名です。白山谷は優れた作品を残し、同社の基礎を築きました。1889年に開催されたパリ万博では金賞を受賞し、国際的な名声を得ています。

その後、財政の悪化などにより閉鎖、買収、移転などを経て1967年に完全に閉鎖されます。

陶器としては比較的薄い造り
カップ正面
ソーサー
蝶の羽には細やかな表情が表現されている
ソーサーには貫入が見られる

ここからは今回入手した品を鑑賞していきます。

液体粘土によって微かに盛り上げられた Pâte-sur-Pâte は蝶を象っています。その上から絵付けが施され、"スタンダード グレイズ" が掛けられています。

スタンダード グレイズ とは、うっすらと黄色がかった色合いが特徴の、同社を代表するオリジナルの釉薬のひとつです。

ソーサー裏

ペインターは、サイン (M.N.) によって、メアリー・マデリーン・ノースであると考えられます。在籍期間は1894〜1905年であることから、その間に製作された品とみています。

ルックウッドのカップで中国茶を楽しむ

ベースなどの大きな作品に比べて、カップ&ソーサーのような小品はあまり目にすることがなく、大変希少な一客と思います。



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