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決定的瞬間動画が投資対象となった『NBA Top Shot』

今スポーツ界、特に米国バスケットボール界で話題となっているのがNBA Top Shot。多くのアクセスが一気に押し寄せたことも影響しているのか、公式ページが今ちょうどメンテナンス中です。

一体NBA Top Shotとは何なのか?その説明は様々な記事もすでに出ているため、割愛しますが簡単に言うとデジタル版のトレーディングカードのようなものです。トレーディングカードのように写真、サインや使用ユニフォームの切れ端を扱うのではなく、選手たちが試合中に披露した決定的瞬間の動画「モーメント」をユーザー間が売買することが可能となっています。

ハイライト動画はSNSやYoutubeでもいくらでも掲載されていて、好きな時に見ることも出来る。独占権を得るわけでもないのに一体何の価値があるのか?

同じモーメントを共有することが出来るが、それぞれにシリアルナンバーも付いているため1つのプレーであっても、その番号は世の中で1人しか所持出来ません。いわゆるNFT (Non-Fungible Token) - 代替不可能です。

YoutubeやSNSの発展もあることから動画は無料で見ることが出来るという考えが広がっている中で何故このようなモーメントに高値が付いているのか。それは振り返ってみると、トレーディングカードでも同じことが言えたのかもしれません。使用されている写真はネットで検索すれば見ることが出来ます。けれどもカードという手に取ることが出来る品となっているため、それを持つ特別感があり、独占欲が掻き立てられます。

ただの紙切れに8000万円!?頭おかしいのではないか?そう思う人も多いでしょう。今実際にNBA Top Shotで起こっているのは似た現象なのかもしれません。

2月22日にはレブロン・ジェームズ選手のハイライト動画が20万8000ドルで売買されました。10月にローンチしたTop Shotは数ヶ月を経て、大きな話題となり、今ではオンライン上で購入権を得るために長蛇の列が出来るようにまでなりました。

美術品やスニーカーのような投資対象としての可能性をTop Shotが秘めている。そう感じている人もいるようです。すでに自らをTop Shot Investor (トップショット投資家)と名乗る人たちも出てきたぐらいです。

この取り組みのからくりとしては、NBAがパートナーであること。NBAとNBA選手会はTop Shotと収益分配の契約書をすでに交わしています。このプラットフォーム上での売買には売り上げの5%が手数料として徴収されますが、この5%が選手個人にではなく、リーグに割り当てられます。そのため選手個人も自分のプレーの売買が直接手元に入ってくるわけではないので、選手自身も投資として楽しむことが許されるのです。すでに選手達も実際にカードを手に入れる瞬間をライブ配信したり、SNSで自ら盛り上がったりとしています。

結果、すでに展開されている消費者製品のライセンスと変わらない。現在Top ShotとNBA・NBA選手会の取り決めではGリーグ所属選手、そして引退している選手は含まれていないためマイケル・ジョーダン氏や歴代のスーパースターのモーメントは見ることが現時点では出来ません。

さらに、このTop Shotを世に出したDapper Labsには現役NBA選手もすでに投資しています。株式が公開された時には初期の投資を行った選手達にとっては現役で稼ぐ以上のお金が入ってくるかもしれない。セカンドキャリアの大切さがよく問われますが、現役時代からこのような”ビジネス”を行っている選手はNBAには非常に多いです。

これが今後どのような需要と供給を生み出し、新時代のメモラビリア、そしてトレーディングカードを上回る”文化”を作っていくのかは未知の状態。それでもベータ版である現状で多くの売買を生み出し、話題となっています。ただボーッと見ているのではなく、まずは自分も体験してみよう!ということで次回は自身の購入体験を綴ってみようと思います。


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