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正しい拍車の選び方

この記事では正しい拍車の選び方について解説します。
※この記事はHerm. Sprenger Metallwarenfabrik GmbH & Co. KG(以下、Sprenger)から許可を得たSprengerのウェブサイトに掲載されているブログの翻訳版です。

なぜ拍車を使うのか?

拍車を使う前に「なぜ拍車を使うのか?」ということについて考えておく必要があります。
拍車は馬を走らせ続けるためのものではなく、ライダーの扶助をより洗練し明確にすることで、サポートするためのものです。
通常の脚扶助は、拍車に比べてより大きな範囲に作用します(訳注:そのため扶助の刺激は分散されます)。それに対し、拍車を使うことでライダーの扶助はより明確となり、一部の範囲に刺激をおくることになります。
ライダーは拍車をなるべく使わないようにすることが大切です。
そうすることで、望んだときに望んだ効果を得ることができ、馬が鈍くなるのを防ぐことができます。

そして最も大切なことは、常に馬の健康・安全を考えて拍車を選ぶことです。
馬を傷つけようとしてはいけません。
特に、拍車を使い始めたばかりのライダーは先が丸く、長すぎない拍車を使い、
十分に経験を積んだライダーのみが他のタイプの拍車へ変更するべきです。

拍車を選ぶときに考える事

①人馬の年齢と技術(調教)レベル

拍車を正しく使用するために、バランスの取れた騎座と落ち着いてぶれない脚を習得してから、拍車の使用を検討しましょう。

また拍車の使用は未熟なライダーだけでなく、若馬のうちも避けましょう
馬はまず、ライダーのふくらはぎを使われることによって前へ進むことを理解し、脚扶助を理解するようにしなければいけません。こうして若馬たちは、ライダーとその扶助を信頼することを学んでいくのです。
より調教がすすんで拍車を使うときはできる限りソフトなものを選びます。必要になった場合のみ、強い拍車へ変更してください。
ただ、調教の様々な段階において、ごく短期間だけ一時的により効果的な強い拍車を使うことが、調教の手助けとなることもあります。ですが、その後はすぐによりソフトなものへと戻します。

②馬の性格

馬の性格は、適切な拍車選びでとても大切なポジションを占めています。神経質で敏感な馬に比べて、より鈍く重たい馬は強い拍車を受け入れられます。

③馬とかかとの距離

ライダーの足が短い場合、馬とかかとが近いため、短い拍車がおすすめです。一方、ライダーの足が長い場合、少しの脚の動きで済むように長い拍車を使うといいでしょう。

訳注:馬のお腹は丸いため、足が短い場合かかとは馬のお腹の上部から中央に接触します。一方、足が長い場合、かかとは馬のお腹の下半分の高さに位置し、馬のお腹から離れることになります。同じ長さの拍車を使った場合、足が長い人はかかとと馬のお腹との距離がある分、脚扶助のために大きく足を動かす必要が出てきます(かかとを内に向ける、かかとを上げる等)。したがって同じ馬に乗る場合でも
、足が長い人は足が短い人よりも長めの拍車が推奨されています。

極端な例としては、いわゆる「スワン・ネック・スパー(白鳥の首の拍車、Swan neck spurs)」があります。これは拍車を上向きに曲げて、馬のお腹までの距離を更に短くするものです。

 Swan neck spur

④馬の時期による敏感さ(換毛期など)

一部の馬は、被毛や皮膚がとても敏感でデリケートです。
冬毛・夏毛が生え変わる時期には、特に注意が必要です。よりソフトな拍車や、輪が太い輪拍をおすすめします。このような場合、いわゆるコンフォートローラースパーが理想的であることが多いです。丸く分厚い輪は、触ると転がり、敏感な皮膚を傷つけません。

⑤競技種目のルール

ここまでは人馬目線での拍車の選び方の話でしたが、忘れてはいけないのは拍車の選択は競技種目のルール・レギュレーションに則らなければいけないということです。例えば、ウエスタンライダーはブリティッシュ競技とは異なる拍車を使用しています。また、総合馬術では輪拍の使用は限られた範囲でのみ認められています。種目や年齢層によって拍車の長さには制限がある場合があります。

繰り返しになりますが、基本的に拍車はなるべく刺激が少ない、鈍く丸みを帯びたものを使用しましょう。しかし、短すぎる拍車や鈍すぎる拍車によってライダーが脚の位置を保つことができない場合(訳注:効果的に使用するためにライダーが大きく足を動かさなければいけない場合)、より長いものやより強いものを選択しましょう。いずれにせよ、ライダーは継続的に拍車を使い続けないようにしなければいけません。拍車をアクセル代わりにしないことが重要です。不適切な拍車の使用は馬を鈍くし、最悪の場合、怪我を負わせることになります

たくさんの拍車の選択肢

お店に行ってみると、たくさんの拍車があることに驚くかもしれません。そしてその多すぎる選択肢が故に、適切な拍車を簡単に見つけられるわけではありません。
拍車は様々な素材・品質・価格帯で販売されています。
どのような素材であっても、表面がなめらかで怪我につながらないことが大切です。例えば、プラスチック製の拍車の場合、割れるなどしてすぐに傷ついてしまいます。このとき、馬が怪我をしてしまう可能性があります。

高品質な拍車はほとんどの場合、ステンレススチールやジャーマンシルバーで作られています。これらは錆びにくく、割れたり飛び散ったりしない素材です。また快適なフィット感があり、鋭い場所がないことが重要です。鋭い箇所があると、ブーツの革を傷めるだけでなく、馬が怪我をする原因となります。

SprengerのUltra fit、Ultra fit Extra Grip、SLIMLINEの拍車は、曲げることでライダーの足に合わせることができます。これらの素材は壊れにくく非常に安全です。拍車革を通す部分は、足の甲や側面部に圧力をかけないように設計されています。また、この構造によりブーツを保護し、完璧なフィット感を実現しています。
ブーツを保護するためのゴムコーティングが施された拍車は、ゴムが柔らかすぎず、頑丈であることを確認・点検してから使用してください。

オールラウンダーな拍車

Sprengerの拍車のなかで最も一般的で売れているモデルは、先端のサイズが2~3.5cmで、少し丸みを帯びているものです。ステンレス製とラバーコーティングされたものが特に人気があります。

輪拍か輪拍以外か

輪拍と輪なしの一般的な拍車、どちらがより刺激が強く鮮明な扶助であるかということについて、一般的などの馬にも当てはまる答えはありません。
これは馬によっても、輪拍の種類によっても異なるからです。
普通の拍車に対して輪拍よりも強く反応する馬もいれば、輪拍により強く反応する馬もいます。
輪のない普通の拍車に関して言えば、拍車の先端が角張っていたり、細くなっている、または棒の部分が直線的であるほどその効果は強くなります。

輪拍については、輪が太いほどその効果はソフトになります。またスパイク付きの輪拍は通常の輪拍に比べ効果が強くなります。
輪拍で大切なことは輪を決して固定せず、馬が怪我しないためにも常に自由に回転できるようにしておくということです。特に換毛期には毛や汚れがつまり、輪が自由に回らない状態になることがあり危険です。そのため、輪拍は定期的によくクリーニングする必要があります。

より詳細な説明を含むパンフレットはこちら(英語)から!

まとめ

世界的な拍車のメーカー、Sprengerの拍車選びのガイドラインでした。
これから拍車を選ぶ方の参考になれば幸いです!!

翻訳元

・Herm. Sprenger Metallwarenfabrik GmbH & Co. KG, 2022/04/03,
"HOW DO I FIND THE RIGHT SPURS?"
<https://pferdesport.sprenger.de/en/blog/the-correct-spurs/>

Sprengerについて

馬術、ドッグスポーツ、ボートのための最高のパートナー

Herm. Sprenger Metallwarenfabrik GmbH & Co. KGは、1872年の創業以来、馬術、ドッグスポーツ、ボートのための金属製品を製造する世界的な企業の1つです。例えば、馬術用のハミやあぶみ、プーリーやカムクリートなどの船用金具、またドッグスポーツ用の首輪などを生産しています。Sprengerの高品質な製品は、プロのアスリートにも愛用されています。

創業以来、Sprengerは高品質と、常に革新を求める姿勢、そしてお客様との親密な関係で知られています。現在では、従業員160名を擁する国際的に成功した家族経営企業へと成長しました。

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