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我が子を素敵な大人に育てる方法_section2(全12)4〜6

こんにちは。

昨日の朝、久しぶりに自宅近くにある港まで散歩をしたときに、すれ違ったおじちゃんに「おぉ、アキラ君じゃないか!元気か!今度また一緒に酒飲もうな」と言われた、トッププロ家庭教師の酒匂リョウです。
果たしてアキラ君は元気なのでしょうか。

現在、シリーズとして「我が子を素敵な大人に育てる方法」を紹介しています。
※過去記事一覧はこちら

今回はsection2の4〜6を紹介します。
※「子育てベスト100」をもとに書いています

【section2】思考力をつけるには?
〜「考えるチャンス」を最大限に増やす〜

section2 その4 「考えるきっかけ」を作る
〜思考をうながす言葉がけとは?〜

 文部科学省がグロ ーバル化に対応できる人材を育成するため推進しようとしている、小・中・高校生向けの教育プログラムに、国際バカロレアというものがあります。
 国際バカロレア教育は、世界150以上の国・地域にある約5000の認定校で実施され、「なぜだろう?」とくりかえし問いながら、分析を深めていく対話型の授業を特徴としています。
 多くの卒業生が、起業家など社会のチェンジメイカー(変革者)として世界を舞台に活躍していますが、その認定校の先生が、印象的なことを仰っていました。
「皆、正解を知りたがります。そして、どれが試験に出るのですか 、とすぐに聞いてきます。受験勉強では『正解は何だ?』とつきつめていくことが多いからだと思いますが、国際バカロレアでは、『根拠があれば、それは1つの答えである』という考えです。だから『自分の意見はどうなの?』『なぜ?』というところを重視しているのです」
 国際バカロレアでは、先生は“教える”というよりも、生徒と共に学ぶ“学習者”であり、授業はあくまでも子どもが主体。子どもが自分の頭で考え、決断し、行動できる力を伸ばしていくという理念です。考える力は、教えたり指示するのではなく、子どもに考えるきっかけを与えることで育めるのです。

「考えるきっかけ」を作るにはどうすればいい?

■答えを教えない
 子どもが何かを聞いてきたら、すぐに答えを教えずに「〇〇ちゃんはどう思う?」「なんでだろうね?」と問いかけます。すぐに答えがわからないワクワク感が、子どもの考えるきっかけになるからです。自分で考えようとしないときには、一緒に調べたり考えたりしてあげることで、ただ「答え」を教えるのではなく「学ぶプロセス」を体験させます

■質問させる
 子どもにたくさん質問をしてもらいます。質問したがらないときには、親のほうから「パパ(ママ)はこう思うんだけど、〇〇ちゃんはどう思う?」などと質問してみます。
 子どもは親を手本に言葉の使い方を覚えていきます。たくさん質問する子どもは、親も子どもにたくさん質問をしているという調査結果もあります。

■あえて反論をする
 ディベートや議論を活性化させる手法で、「悪魔の代弁者」という役割をつくることがあります。これは多数派に対してあえて反論する役割で、子どもに対しても、考えを深めるきっかけをつくれます。子どもの発言に対し、「それって本当かな?」と切り出し、あえて真逆の意見をぶつけてみるのです。

画像:—『子育てベスト100――「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』加藤 紀子著

■自分でルールを考えさせる
 子どもが親の言うことを聞かないのは、納得できていないからです。「〇〇しなさい!」という命令に効果がないときには、それも思い切って考えるきっかけにしてしまいます。親の希望を伝えつつ、賛否両論を考えさせるのです。
 たとえばゲームばかりしているときは、「目が悪くなるから心配だ」「〇〇ちゃんの話を聞く時間が少なくなるので悲しい」といった親の気持ちを伝えつつ、子どもには、ゲームをすることのメリットとデメリットを挙げてもらいます。そのうえで、どういうル ールにするのがいいか、自分で考えさせます。このプロセスには時間がかかりますが、命令して強制するよりも、子どもが納得したうえでルールを決めたほうが行動は変えやすくなります。

section2 その5 「失敗」を成長の糧にする
〜信じて自分で立ち直らせる〜

「私は失敗したことがない。ただ1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」という言葉をエジソンは残していますが、私たちが生きているこの世界の文明は、先人たちが積み重ねた試行錯誤の賜物です。
 ところが家庭や教育現場では、子どもたちが失敗し、試行錯誤できる機会が十分に与えられているとはいえません
 東京大学で「失敗学」という新しい学問に取り組んだ畑村洋太郎名誉教授によると、挫折を知らず順風満帆な人生を歩んできた東大生の多くには、失敗を恐れてしまう傾向があるそうです。それゆえ、畑村名誉教授は失敗を「ワクチン」にたとえ、親は子どもにたくさん失敗の経験をさせることで、心と体に「失敗」という抗体をつくっておこうと唱えています。

「失敗」を成長の糧にするにはどうすればいい?

■先回りしない
 子どもの失敗を心配するあまり、先回りして障害物を取り除いたり失敗から守ろうとしたりする親は「ヘリコプターペアレント」と呼ばれ、子どもを無気力にしてしまうことがあります。
 アメリカのメアリー・ワシントン大学が2013年に行なった調査では、ヘリコプターペアレントに育てられた大学生はうつ病になりやすいという報告がありました。
 畑村名誉教授は「失敗は一見遠回りに見えるが、そこから答えを模索していくやり方のほうが、どんな場合にも柔軟に対応できる本物の力が身につく」といっています。

■失敗談を伝える
 子どもたちが失敗や周囲の目を恐れないようになるためには、「親自身もしょっちゅう失敗すること」や「自分がどんな失敗をして、どうくぐり抜けてきたか」を伝えてあげるのが効果的です。失敗談を笑い飛ばすくらいの余裕を見せておくと、子どもは失敗を怖がらなくなります。

■自分で目標を決めさせる
 好きなことや興味のあることについて自分で目標を決めると、子どもは途中で失敗しても目標のためにがんばろうと思えます。

■「もっとがんばれ」と言わない
 失敗をしたときにいちばん苦しいのは子ども自身です。そんなときに「もっとがんばれ」と声をかけても追い詰めるだけです。「親ができることはおいしいごはんで物理的にエネルギーを回復させ、子どものことを信じて見守ってやることだ」と畑村名誉教授はいいます。

■「失敗=改善の機会」と理解させる
 スタンフォード大学の発達心理学者キャロル・S・ドゥエック教授は、失敗を「改善の機会」ととらえられる人は、失敗してもあきらめずに粘り強く挑戦を続けられるといっています。
 子どもを才能や結果で評価せず、挑戦し続けるプロセスをほめ、子ども自身が「まだできていないだけで、努力すればきっとできるようになる!」と考えられるよう勇気づけます。

■ふりかえる癖をつける
 さらにドゥエック教授の実験では「もっとうまくいく方法はあったかな?」といった声かけをすると、子どもは自分なりに改善点を考え、もっと努力することがわかりました。
 畑村名誉教授も、失敗したときは「こうすればうまくいく」という“正解”ではなく、失敗するまでの“道筋”を思い起こし、「なぜ自分はまちがえたのか」と考えることが必要だといっています。

section2 その6 「深掘り」の意欲を伸ばす
〜成績より過程に注目する〜

 東京大学高大連携推進部門の心理学者である白水始教授は「『試行錯誤しながら学ぶ力』は、本来は誰にでも備わっている」といっています。ところが残念ながら、子どもは成績だけをほめられると、かえって学ぼうとする意欲を削がれてしまうといいます。実はnoteを書こうと決断した理由の1つに、これを書きたかったというのがあります(笑)
 子どもはもともと単純に「楽しい」という理由からがんばるのですが、がんばった内容には触れずに結果だけをほめられ、さらにはごほうびまで与えられたりすると、「点数しか見ないんだな」「自分がやっていたことはごほうびのためだったのか」と、楽しい気持ちが損なわれてしまうのだそうです。
 コロンビア大学のクラウディア・ミューラー教授らがある公立小学校の生徒を対象に行なった「ほめ方」の実験でも、子どものもともとの能力(=頭のよさ)をほめると子どもたちは意欲を失いら成績が低下することがわかりました。
 白水教授は、「(点数などの)結果だけに注目するのではなく、取り組んでいる中身や、子どもの取り組み方そのものに気を配ってあげること」が大切だといいます。親が子どもの考えをもっとくわしく聞いたり、面白いアイデアや問題の解き方などに関心を向けると、子どもは自分の考えを深掘りしていこうと思えるようになります。

「深掘り」の意欲を伸ばすにはどうすればいい?

■どんなことも「前進」ととらえる
「学習するとは、いままでわからなかったことがわかるようになること」だとシンプルに考えれば、失敗も成長のひとつだと思えてきます。結果がふるわないときには、どこが足りなかったのか、何が問題だったのかを一緒にふりかえり、「わかるようになってよかったね」「ほら、一歩前進だ」と声をかければ、子どもの自尊心を傷つけずに伸ばすことができます。

■子どもに質問をする
「なぜだと思う?」「自分ではどう思う?」といろいろ質問してみます。子どもは質問されることで、自分の理解不足に気づいたり、自分が知りたいこと、やるべきことは何なのかを自分の頭で考えるようになります。ただし、質問するときには、結果を問い詰めるような聞き方にならないように注意します(21「『オ ープン・クエスチョン 』をする」参照)。

画像:—『子育てベスト100――「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』加藤 紀子著


■親の好きな分野と話をからめる
 子どもが取り組んでいることに対して、親の得意な分野、好きな分野とからめて話してみます。
 対話の内容は、子どもの興味に限らなくてもいいのです。さまざまなヒントで視野を広げてやれば、子どもはそれを頭の中でつなげ、あれやこれやといじくりまわして、柔軟な思考力を育むことができます。

■「専門家」の言葉に触れる
 親がなんでも子どもよりくわしい必要はありません。「餅は餅屋」ということわざがありますが、親が答えられないようなことは、くわしい人に話を聞くと、子どもにとってもためになります。
 子どもが興味をもつ分野があれば、周囲で自分よりくわしい人を探し、子どもが交流できる機会をつくります
 いまはSNSで積極的に情報を発信したり、一般の人と交流をもったりしている研究者や専門家もたくさんいます。
 そうした人と、親がツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどでつながって、子どものために直接、質問してあげることもできます。
 また、NHKラジオ第1の「子ども科学電話相談」では、子どもたちのさまざまな素朴な質問に専門家が答えており、その内容は本にもまとまっています。そうした番組や本などで専門家の言葉に触れるのも、子どもの知的好奇心を刺激します

今回はここまでです

いかがでしたか?
今日書いた内容は、僕が普段授業をしたり親御さんとお話するときに気をつけていることの中でも結構重要度の高い内容でした。
特に「深掘りすること」は常日頃子どもたちに言い聞かせています。
ぜひ皆さんも普段の行動を見直して、お子さんがより楽しく成長できる環境を整えてみてください。

それでは素敵な一日をお過ごし下さい。
トッププロ家庭教師の酒匂でした。


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