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第16回キャリアコンサルタント学科試験問題解説(問41−50)

写真は信州大学周辺から望む常念岳です。桜が開花しました。(2021年3月29日撮影)

第16回キャリアコンサルタント学科試験問題解説(問41−50)

問 41 自己理解を支援する検査やツールに関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
1. 東大式エゴグラムは、自身の価値観・興味・関心を確認する検査である。
2. キャリア・インサイトは、自身の価値観・興味・関心を確認するツールである。
3. 内田クレペリン検査の特徴は、「作業」だけを使って受検者を測るところにある。
4. YG 性格検査では、「情緒特性」、「人間関係特性」、「行動特性」、「知覚特性」の 4 つの特性について、受検者の特徴を判断する。

✅1.東大式エゴグラムは、バーンの交流分析理論に基づいて、性格特性と行動パターンを把握する性格検査です。正解は1です。アセスメントの内容は覚えておきましょう。

問 42 ハローワークインターネットサービスに関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
1. ハローワークインターネットサービスに掲載されている求人情報は、週に一度更新されている。
2. ハローワークインターネットサービスでは、障害のある人向けの求人は検索できない。
3. ハローワークインターネットサービスでは、雇用保険の申請に必要な求職申込みの仮登録をインターネットから行うことができる。
4. ハローワークインターネットサービスの利用は、ハローワークの窓口利用時間に限られる。

ハローワークインターネットサービス

1,ハローワークで受理された最新の求人情報を、概ね30分毎に更新しています。HP内の「よくあるご質問」に記載されています。

2,「障害のある方のための求人(フルタイム・パート)」を検索することができます。

4.基本的に24時間利用ができます。正解は3です。

問 43 学校教育として行われているインターンシップに係る文部科学省の見解に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
1. インターンシップとは、学生が企業等の主催するセミナーや説明会などを通して、就業について体験的に学ぶ制度のことである。
2. わが国では、インターンシップは「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」として幅広く捉えられている。
3. インターンシップは、学生が自らの専攻や将来希望する職業に関連した職場での業務体験を通じ、専門知識の有用性や職業自体について具体的に理解する契機となる。
4. インターンシップの実施期間については、より教育的効果を高める観点から、 5 日間以上の実習期間を担保することが望ましいとされている。

インターンシップの推進に当たっての基本的考え方(文科省、厚労省、経産省)

1.「大学等におけるインターンシップ(以下、「インターンシップ」という。)とは、一般的には、学生が企業等において実習・研修的な就業体験をする制度のことである。」上記P1に記載があります。就業体験をする制度です。正解は1です。

問 44 キャリアコンサルティングにおける目標設定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 目標の設定においては、相談者と契約を結ぶことはない。
2. 相談者と一緒にその目標に到達することができるかどうか評価しなければならない。
3. 相談者との間で決定した目標は固定的なものであるから、一度決めたら変更しない。
4. 目標の設定では、相談者が達成感を得るため、早い段階からできるだけ高い目標を設定するのがよい。

「キャリアコンサルティングの理論と実際5訂版」のP288−289に記述があります。

1,「契約書は必ず必要なのではなく、はっきりしない、意志が弱い、努力を続けることが困難な人など必要な場合に行えばよい。」

3.「目標設定は、固定的なものではなく、変更可能である。」

4.「目標は、明確に宣言され、かつ到達可能であるとき人を最も動機づける。」正解は2です。

問 45 方策の探索や実行に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. キャリアコンサルタントが実行可能性の高いものを検討し、問題解決のための行動計画を立てるのが望ましい。
2. 解決すべき問題が明らかになったら、クライエントが実行しやすいように解決策を一つに絞ることが望ましい。
3. 方策の実行段階では、目標達成のためとはいえ、別の専門家や機関の助けを借りることはしない方が望ましい。
4. 方策の決定段階では、相談者に更なる自己理解を促すことによって、選択肢の中からより望ましい方策を選択することができることもある。

✅1.計画を立てるのは、相談者とキャリアコンサルタントが一緒に立てます。

2.解決策を1つに絞ることは不適切です。

3.目標達成のため別の専門家や機関の助けを借りることはあります。正解は4です。

問 46 新たな仕事への適応支援に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. これまで行ってきたキャリアコンサルティングを評価し、クライエントの適応の援助を行う。
2. 就職が決まった後に相談を受けた場合は、適切なアドバイスとフォローアップをすることが望ましい。
3. クライエントが新しい仕事に就いた際に予測できる問題については、確認したり、対策を用意したりして、事前に備えることができるよう支援する。
4. 新しい仕事に対するクライエントの不安については、関わらないようにして自ら乗り越えるようにさせる。

✅4,クライエントの不安について、関わるのがキャリアコンサルタントの役割です。正解は4です。

問 47 相談の終結に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 面談開始当初の主訴が解消されていない場合であっても、相談者とキャリアコンサルタント双方が「今後何とかやっていけそうである」と合意できたので、相談を終結することにした。
2. 面談の終結を提案した際に、相談者は分離不安を示したが、当初に立てた目標はすでに達成されており、また、キャリアコンサルタントからみて問題ないと思えたので面談を終結することにした。
3. 相談者が面談の目標を既に達成したので面談の終結を提案したが、相談者から「もっと続けたい」と求められたので、その理由は問わず望み通り継続することにした。
4. 相談者と終結について合意が取れたので、相談者の負担を軽減させるために早々に面談を終結させ、「もう相談に来ることがないように」と励ました。

✅2.キャリアコンサルタントの判断のみで終結するのは不適切です。

3,理由を問わず、継続するのは不適切です。

4.もう相談に来ることがないようにと言うのは不適切である。正解は1です。

問 48 キャリア形成及びキャリアコンサルティングに関する教育並びに普及活動についての次の記述のうち、適切なものの組み合わせはどれか。
A. 職場の人間関係は、従業員が抱えるストレスに影響を与えるとされているため、従業員のつながりをつくる活動を提案することも有効である。
B. 生徒・学生を社会・職業に円滑に移行させるとともに、移行後も、学習活動を通じて、生涯にわたりキャリア形成を支援していくことが重要である。
C. キャリア形成は、今後キャリアを積んでいく学生や若年層の社会人にとっての概念であり、中高年齢者に対しては適用されない。
D. キャリア自律とその支援を行う組織風土を社内に構築するためには、経営者のコミットメントを期待するまでもなく、現場管理者の理解の促進こそが重要である。
1. AとB
2. BとC
3. CとD
4. AとD

✅C.キャリア形成は、中高年齢者に対しても適用されます。

D. 現場管理者だけでなく、経営者のコミットメントも必要です。正解は1です。

問 49 キャリアコンサルタントの環境への働きかけの認識と実践に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 職場のメンタルヘルス不調はマネジメントの問題や本人の仕事上の不安・不満の要因が多いと言われており、キャリアコンサルタントが職場の責任者に働きかけることでメンタルヘルス風土の改善が期待できる。
2. 職場体験やインターンシップなどの受入れ組織確保のためには、キャリアコンサルタントは学校、企業、NPO、行政機関などの多様な組織と交流することも有効である。
3. キャリアコンサルタントは、面談中にクライエントから自殺を企てる恐れがある発言があった場合、やめるように説得は行っても、守秘義務の観点から職場の上司や人事担当者には知らせてはならない。
4. 障害者雇用の経験の乏しい企業において、事業主や関連する部門に働きかけを行い、障害者が働きやすい雇用管理の方法、サポート体制の整備、採用に当たってのポイント等のノウハウ提供は、キャリアコンサルタントに望まれる活動の一つである。

キャリアコンサルタント倫理綱領からの出題です。

3.自殺を企てる危険性がある場合や、法令に反するような場合は、守秘義務の例外となります。「キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを通じて、職務上知り得た事実、資料、情報について守秘義務を負う。但し、身体・生命の危険が察知される場合、又は法律に定めのある場合等は、この限りではない。」【キャリアコンサルタント倫理綱領第5条】正解は3です。

問 50 「キャリアコンサルタントの継続的な学びの促進に関する報告書」(厚生労働省 平成 31年 1 月)に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
1. キャリアコンサルタントは、自らの助言・指導等がクライエントに大きな影響を及ぼしうるということを常に心に留め、また、一つ一つの面談が極めて個別性の高いものであることを自覚して、面談に臨む必要がある。
2. キャリアコンサルティングにおいてクライエントを深く理解し的確な支援につなげていくためには、まずは自らの専門家としての姿と向き合い、自らの自己理解にも努めなければならない。
3. キャリアコンサルタントは、すべての活動領域に共通する知識・スキルとともに、今後は2 つ以上の専門領域に関する知識・スキルを身に付ける必要がある。
4. キャリアコンサルタントの指導的立場を担っていく者は、専門家としての学術性、指導者としての人間性も兼ね備え、キャリアコンサルティングの科学的な発展に貢献し、それを実践に移すことのできる姿勢・マインドも求められる。

✅「キャリアコンサルタントの継続的な学びの促進に関する報告書」からの出題です。

3.2 つ以上の専門領域に関する知識・スキルを身に付けるとは限定されていません。正解は3です。

まとめ

41.アセスメント 42.ハローワークインターネットサービス 43.インターンシップ 44.キャリアコンサルティングにおける目標設定 45.方策の探索や実行 46.新たな仕事への適応支援 47.相談の終結 48.キャリア形成及びキャリアコンサルティングに関する教育並びに普及活動 49.キャリアコンサルタント倫理綱領 50.キャリアコンサルタントの継続的な学びの促進に関する報告書

終盤は、キャリアコンサルタントとしてのコンサルティングの場面での問題でした。難易度としては、数問選択に迷うものがありましたが、概ね基本的な問題だったと思います。一番大事なところですのでしっかりと理解しましょう。

✅全問題の解説記事です。


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