労働と対価,休息と地位

掲載記事とはそんなに直接関係ないのだけれど,最近仕事をしていて考させられる出来事があった.


職場環境
まず,普段の私は何の変哲もない一般的な会社員,営業マンだ.特に役職がある訳でもない.

営業職というやつは,業界ごとに抱かれるイメージがかなり異なるのではないだろうか.
B to B乃至B to Cで飛び込みをする,売上げノルマがあり達成できないと酷い目に遭う,サボり放題でスーパーイージー,残業時間がえげつないのに残業代は貰えない,上司や顧客から罵倒を浴びせられるetc...

私自身の職場はというと,営業職に関して言えば所謂”ホワイト”なのだと思っている.残業時間も少なく,ノルマに煩くもなく,給料もきちんと支払われている.勿論、残業代も.

幸い上司にも恵まれており,罵声を浴びせられる事も無茶な仕事を振られる事もない.直属の上司は困った時には話を聞いてくれるし,何なら代わりに仕事をしてくれる時さえある.いつでも全てに全力で知識も豊富,しかしユーモアも忘れない.

「これ以上に素晴らしい上司がこの世に存在するのか?」
とさえ思ったりもするが,そんな仕事に一生懸命な上司だからこそ,私はふと疑問を抱いてしまった.


労働と対価
弊社は金銭面での待遇も良い.毎日3食外食orコンビニ飯という生活を東京都内で営んでいても,家賃や水光熱費,食費に困る事は全くない.

恵まれているとも思う一方,それくらいの給料が支払われているのは業務内容がそれなりに心身共に酷使するものだからだろう.労働内容に見合うくらいの対価,つまりは給料を貰えなければ,正直こんな仕事誰も続けたくないだろうと密かに私は思っている.

余談だが,同僚達と話していて今の会社を辞められない理由の第1位は「給料が良い事」.世の中は金だ.金で幸せは手に入れられる.金銭的余裕=心の余裕.そう思いながら私はこの資本主義社会で生きている.


休息
私達労働者には,休暇を取得する権利がある.それは一般社員であろうと管理職であろうと同じだ.

何度も言うが,私の上司は本当に良くできた人だ.
管理職とはなんたるか,管理職がある程度の給料を貰えるのは誰のお陰なのか,それをきっちりと理解している.
だからこそ,休みの日でも必ず社用PCと携帯を持ち帰り仕事をする.
上司曰く,「私達はみんなが仕事を取ってきてくれるお陰でそれなりの給料を貰っている.休みだろうとそれくらいの仕事をして当然じゃないか」と.

しかし,最近同じフロアにいる別部署の上司が,社用PCを会社に置いて帰宅する事が増えた.
その別部署の上司と配偶者さんは共働きで、小さなお子さんがいる.先日はお子さんが急病に罹った様で,上司は急いで帰宅した.PCは社内に置いて帰る,と社内に残っていた人間には言い残して.

しかし,その事を知らなかった私の直属の上司は,不快感を顕にした.
理由は先述した「私達はみんなが仕事を取ってきてくれるお陰でそれなりの給料を貰っている.休みだろうとそれくらいの仕事をして当然じゃないか」といったところだ. 

私の上司が言わんとする事は分かる.ビジネスはスピードが命だ.
事実,他部署の上司がPCを持ち帰らない事でストップしてしまった業務がいくつかあった.もしかしたら,その影響が今後大きな損失となって現れてくるかもしれない.

もし私が今の勤め先で管理職になったのなら,直属の上司と同じ考えを持ち,同じ事をするだろうとは思う.

しかし,人にはそれぞれ自分の人生があり,人生における優先順位も違う.
シチュエーションによって,優先順位が変わる事だってある.
ましてや,小さなお子さんが病気に罹ったとなったら,心配で心配で仕事所ではないだろう.

そんな状況の人に,「誰のお陰で給料貰えてると思ってるんだ,家に帰って看病と家事しながらでも仕事をしろ!」などと言う事は.多分私には出来ない.

だが,クライアントからの要望に応える為に身を粉にして働く我々一般社員としては,隙間時間でメールや諸々のチェックをして欲しいという気持ちが全くないと言えば,それは嘘になる.


結局のところ
直属の上司と他部署の上司,どちらの言うことが正解なのか.
ただ言われたことをこなすだけで精一杯なダメ社員の私には,正解は分からない.

ただ思うのは,日本人は働き過ぎだ,と言うことだ.

小泉環境大臣には,閣僚の育休の在り方だけでなく「管理職の休息・育休の取り方」まで踏み込んで実践,検討して頂きたい.セクシーに.



ちなみに、
弊社は育休の取得率と,そこからの復職率がとても高い.育休を取得するのは残念な事に女性ばかりだが,男性達もお子さんや家族の体調不良の際にはすぐ帰宅したり休みを取ったりする.時短勤務する男性もいる.
その事に対して社内の人間は誰一人文句を言わない.寧ろその判断を称賛するし,その人の分の業務も率先してみんなで少しづつ補い合う.

仕事なんて,いい意味で「自分の代わりなんていくらでもいる」んだ.
みんなもっと肩の力を抜いて,より良いワークスタイルを築ければ良いのにな,と思う週末であった.

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