【55㎡リノベ攻略】28歳起業家が本気で考えた「暮らす・招く・貸す」ためのマイホーム
マイホーム——購入派か、賃貸派かという意見がぶつかり合う昨今ですが、現在のぼくにとっての最適解は「中古マンション購入+リノベーション」です。理由はいろいろありますが、「住みながら貸す」ことができる時代になった、というのが大きな理由のひとつ。つまり、ローン返済で資産をつくりながら住む(購入派)より、家賃を払って住む(賃貸派)より、家に稼いでもらいながら住む(ネオ購入派?笑)ことを理想としています(戸建だと賃貸併用住宅もそのひとつですね)。
実際には、マンションの管理規約の問題だったり、近隣の方々との付き合いだったり、将来的な育児を見据えたときの懸念だったり、実現のためには乗り越えなければいけない課題が多数発生するだろうと思います。一方で、すでに実現している人も存在していて、新たな選択肢であることは間違いありません。
しかし、あらゆる課題を乗り越え、「やってみよう!」と思っても、住みながら貸すことを前提にしたマイホームの事例は、それほど多いわけではなく。いい条件の物件が見つかっても、最適なリノベイメージを伝えることができず、どう進めたらいいのか、どんなことに注意すべきなのかが分からない、というのが実情ではないでしょうか?
そこで今回は、東京・渋谷区の建築設計事務所「empati(エンパッチ)」さんのご協力のもと、物件探し〜リノベプラン・パース作成までを実践し、ぼくが本気で考えた「暮らす・招く・貸す」ためのマイホームを紹介したいと思います。フィクションを前提にしたプランではありますが、同じような理想を持つ人にとって、少しでも参考になれば嬉しいなと思います。
全体で6,500文字超と少し長くなってしまったので、サクッと読みたい方は「理想のプランをつくってみた」からご覧ください。笑
ところで、あなたはだれ?
マイホームは人によって理想の姿が異なるもの。今回ご紹介するプランが「どんな人物の理想なのか」を掴んでいただくために、まずは簡単に自己紹介をしたいと思います。
つまり、一言でいうなら「投資志向が強く、多趣味で、空間へのこだわりが強い人間」が、今回のプランの主人公です。そんな主人公が、夫婦2人暮らしから家族3人暮らしまでを見据えて、理想のマイホームを考えます。
なぜ、マイホームを買いたいの?
冒頭でも記載したとおり、マイホームを買う目的は「家に稼いでもらいながら住む」ことを実現すること。レンタルスペースやハウススタジオに特化したポータルサイトが存在する現代では、賃貸以外にも家を収益化する手段があります。借りるのではなく所有することで、毎月の支出(返済)を上回る収益を生み出すことができる可能性もあります。
そのうえ、自分のライフスタイルに合った空間を実現できることがリノベの最大のメリット。多趣味がゆえに、賃貸では収納に困ることもしばしば。人を招くことも多いので、みんなで空間をシェアするためのLDKと、自分のプライベートを守るための寝室も分けたい。そんなワガママを実現するために、マイホームの購入を検討し始めました。
さらにワガママを加えると、「マイホームは一生モノではないかもしれない」という前提で購入を検討しています。職業柄、働く場所の制約がないため、拠点を変えることが難しくありません。だからこそ、未来の自分が「ここに住みたい」という場所を見つけたときのために、身を軽くしておくことも重要です。そのため、賃貸や売却といった出口も見据えて、物件探し・リノベを行っていきます。
題材にする物件について
今回は、実際にぼくが物件を探しているなかで「買いたい!」と思った物件に似せた間取りを題材にしたいと思います。予算やエリア、最寄駅の距離などの条件からたどり着いた物件の専有面積は「約55㎡」。家族3人暮らしと考えると、捉え方に個人差はありますが、ギリギリのラインかなという大きさです。
余談ではありますが、この物件は個人的に「超割安」と判断していた物件で、下記のような特性でした。
結果的には、売主様のご都合で販売中止となり購入できなかったのですが、個人的に思い入れのある物件だったので、今回の題材に選びました。本来であれば現地調査を行って「できること・できないこと」を精査したり、「できないこと」が解体後に発覚したりするのですが、今回はその点を細かく加味していないフィクションであることを前提に、読み進めていただけると嬉しいです。
プラン作成前に考えておきたいこと
物件が決まったところで「いよいよリノベプランをつくるぞ!」と言いたいところなのですが、プランの作成前に考えておきたいことがあります。もっと言えば、物件を内見する前に考えておきたいこと。それはコンセプト(優先順位や必須要素を含む)です。
前述のとおり、中古マンションのリノベでは「できないこと」が伴うケースが少なくありません。お金で解決できることもあれば、解決しようがないこと(壊せない壁が見つかるなど)もあります。そんなときに、物件の購入判断やプラン調整の軸となるのがコンセプトです。
また、中古マンションでは、内装が汚れていたり、古かったりすることで内見時の見栄えがよくないケースも多いもの。自分のなかでコンセプトが描けていれば、Beforeの状態に一喜一憂せず、Afterを想像しながら内見を行うことができます。
今回のコンセプトは「暮らす・招く・貸す」ためのマイホーム。これを実現するために定めた、優先順位や必須要素は下記のとおりです。
これらを実現するプランをempatiさんに相談させていただきました。
理想のプランをつくってみた
①既存図をチェックする
まずは、改めて既存図(リノベーション前の間取り図)をみて、物件の特徴をチェックしていきます。
「1LDK+納戸」の間取りで、2面バルコニーが特徴。水廻りの配置に大きく影響するPS(パイプスペース:給排水などの配管が通る空間)は、玄関付近にあります。解体後によく発覚するのが水廻りに関する制約なので、今回はユニットバス、トイレの配置は変えない方針で考えていきます。そのほかにもマンションの管理規約や床構造、防音規定などを加味する必要がありますが、細かい話になってくるので今回は割愛。配管・配線スペースを確保しやすい構造のため、自由度高くリノベができそうです。リノベをする前提なので重要な問題ではありませんが、既存図を見て「もっとよくできるぞ!」と思った主なポイントもまとめておきます。
個人的にはこういった改善点を見つけられることにワクワクします。なぜなら、それだけリノベのポテンシャルが高いと感じられるから。こういったことを念頭に置いて、次のステップに進みます。
②リノベイメージ図を自作する
リノベにおいて、自分の理想を正確に伝えることはとても大切。ここで生じるズレが、後悔につながりがちだと思っています。ぼくは建築資格を持っているわけではない素人ですが、言葉や参考画像はもちろん、図にしてみることを重視しています。職業柄かもしれませんが、プロからよい意見を引き出せるかどうかは、自分のコミュニケーション次第だと考えているからです。
そこで、今回つくったリノベイメージ図がこちらです。
記号などはめちゃくちゃですが、なんとなく伝わればOKとします(想いを汲み取ってくださったempatiさんに感謝です笑)。補足として、下記のような説明も添えました。
しかし、これらはあくまで素人の理想。プロの手を加えていただきます。
③プランに落とし込む
自作したリノベイメージをもとに、empatiさんと意見を交わし合いながら、現実的な寸法(家具・家電などを加味した通路・収納のサイズ)でつくっていただいたプランがこちら。
これがプロの技。見た瞬間、魔法のように感じました。特に大きく変わったポイントは、寝室の配置。実は、自作したリノベイメージを現実的な寸法に落とし込んだ際、コの字型キッチンの実現が難しかったり、洋室の入り口をキッチンのなかに設けざるを得なかったり、といった課題が出てきたんです。そこで、優先順位を決めていくなかで、一時はパントリーを諦めることも覚悟しました。しかし、empatiさんからご提案いただいた寝室の配置転換によって、すべての課題が解決し、パントリーも残すことができました。そのほかにも、プランに込められたempatiさんの意図をいくつかご紹介します。
施主との「共感」を大切にされているempatiさんならではの想いを感じられるコメントで、意図を知りながら感動しました。このプランがフィクションであることが、今でももどかしい気持ちです。そんな満足度高い仕上がりのプランをもとに、パースを作成していきます。
考え抜いた5つのこだわり
おさらいですが、今回のコンセプトは「暮らす・招く・貸す」ためのマイホームです。ここからは、作成したパースをお見せしながら、ぼくがempatiさんと一緒に考え抜いた5つのこだわりをご紹介していきます。
①レイアウトの可変性が高いLDK
ライフステージに応じて、暮らしは変化していくもの。そのため、家具のレイアウトを変化させやすいように、一定の広さを担保したスペースづくりを心がけました。ダイニングとリビングを入れ替えることもできるし、ダイニングテーブルをなくして、キッズスペースとして使うことも可能。テレビはプロジェクターに切り替えることもできます。ハウススタジオとして貸し出す際に、あらゆる角度からキッチンを撮影しやすいこともポイントです。
②プライベートに配慮した個室動線
「招く・貸す」ことを前提とする場合にも、やはりプライベートは確保したいもの。玄関〜洗面室〜寝室の動線は、お客さんが過ごすキッチン周辺から気づかれにくいところで完結しています。逆に、将来的に子ども部屋として使うことを想定した洋室は、キッチンからさり気なく子どもの様子を見守ることができます。プライベートと一言でいっても、さまざまな程よい距離感に適応させることがポイントです。
③目的別で配置された隠せる収納
一時は諦めかけましたが、結果的にはWIC、SIC、パントリーのすべてを確保。WICには衣類や布団、SICには靴、パントリーには食材や日用品を収納できます。さらに、キッチン下にはゴミ箱や調理家電、リビングのクローゼットには旅行・キャンプグッズなどを収納。「招く・貸す」ときの片付けをラクにするためにも、隠せる収納は目的別に充実させておきたいところです。
④我が家の主役「コの字型キッチン」
「招く・貸す」ためのマイホームの主役は、なんといってもコの字型キッチン。建売や賃貸ではなかなか見かけることがないからこそ、他では撮れない画を撮ることができ、ハウススタジオとしての差別化要素になります。人を招いた際に、調理しながら会話しやすいことも嬉しいポイント。出張シェフを招いたら、調理の様子を見ながら食事ができ、特別な時間になること間違いなしです。
⑤無骨さを調和する曲線美
これは最も好みが分かれるポイントかもしれませんが、今回はあえてRを多く取り入れるようにしています。躯体現しの場合、無骨な雰囲気がかっこいい一方で、冷たい印象に感じる人も。その雰囲気を調和するために、柔らかい印象を与えてくれるRを加えようと考えました。玄関に入ってから、トイレ、洗面室、WICと順々にRを見せることで、統一感のある空間を演出しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 今回は「暮らす・招く・貸す」ためのマイホームをコンセプトに、物件探し〜リノベプラン・パース作成まで実践した内容を紹介してみました。本格的に仕上がったリノベプランを見て、ぼくのマイホーム購入欲がさらに高まったことは言うまでもありません。笑
今回ご協力いただいたempatiさんは、『最適・最高』ミニマルリノベーションを掲げ、お客さんとの共感を大切にしたプランニングを得意とされています。フルリノベ(物件全体)はもちろん、部分リノベにも対応されていますし、プランニングのみの相談も可能です。この記事の一部だけでも真似したいなと思う要素があれば、ぜひ相談してみてくださいね。
この記事が、同じような理想を持つ人にとって、少しでも参考になれば嬉しいなと思います。ぼくのInstagramでは気まぐれで、不動産やリノベに関する情報も発信しています。もしご相談があれば、お気軽にDMでご連絡ください。長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!
https://www.instagram.com/ryo_komura/
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