導入前夜

・展開への道のり

テストも進み、Excelからのデータ移行も概ね完了した。
運用開始も翌月に迫り、実際に入力する訪問スタッフへの説明会を開くことになった。
総勢50人を超える訪問スタッフに対し、2回に分けて説明会を実施。説明は本部担当者が行い、自分は難しい質問が出たときのために控えていた。

担当者がプロジェクターに画面を写し、入力からプリントクリエイターへの出力まで、日頃の業務の流れに沿って説明していった。
そして、ここで強く伝えたのは、「運用開始後は、従来のExcelは使わないように」ということ。
過去にAccessベースのシステムを構築した際、なれないシステムに切り替えができず、Excelを利用し続けた例があったからだ。
ただし、そのときは部署毎に別のAccessデータベースを使い、本部への報告をExcelで行う形式であったため、本部では提出されたデータが何からできているのか確認できなかった。
kintoneはクラウドでつながっているので、日々の入力を確実に行えば集計やデータの提出は不要となる。事務的には大きな削減ポイントだ。

訪問スタッフの多くは40歳代から50歳代。いままで手書きだった記録を全てシステムに入力するため、後ろ向きなリアクションを想定していたが、思いのほか前向きに捉えてもらうことができた。
結果的に、難しい質問は無く、自分の出番は無く終了した。

・運用準備

説明会も終わり、各現場で運用環境をオープンにした。本運用まであと2週間。
早速、移行できなかったデータの入力や、新たな相談の入力などが始まった…はずだった。
運用環境のオープンから約10日。本運用直前になり、「入り方がわからない」という質問が寄せられた。
当然、説明会で話をしたものだ。説明資料も作成し、渡してある。にもかかわらず初歩的なところでつまずいている。直前にいきなり不安が押し寄せてきた。

ただし、kintoneの場合は入力をしているかどうか、クラウド上のデータを本部で確認できるため、質問に対しての対応や、どの部署の作業が遅れているかなど、本部で確認することができた。
本部スタッフの頑張りもあり、初月が終わりにさしかかったところで、1つの部署への対策が必要になった。

・意識を変えることの難しさ

その部署は、導入から間もなく1か月が経とうというのに、説明会で伝えた必要な入力項目が殆ど入っていなかった。そのため、実績集計に反映されていなかったことから気がついたのだが、この間質問も無く、静かに従来のやり方を続けていた事になる。

本部スタッフが現場の担当者との調整に入り、なんとか統計に間に合わせることができたが、「質問が無いから分かってやれている」という思い込みが、このような事態につながることは、その後のアプリ導入にあたっての教訓になった。

いくつか問題は生じたが、この事業で約150人が新たにkintoneを利用する様になった。自身としても初めての大規模導入であったため、不安も少なく無かったが、なんとかやりきる事ができ、満足感も大きかった。

一区切りしたところで、以前構築した「顧客管理」アプリの改修をすることになった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?