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ギター周りの機材の話 -マルチエフェクターの選び方-

僕が新しい機材を検討する際に気をつけていること、今回は"ギター用マルチエフェクターを選ぶ場合"について、4つほど紹介したいと思います。
「コイツは何を当たり前のことを言ってるんだ?」と思うかもしれませんが、少しの間お付き合いいただければ嬉しいです。


1.用途や要件をきちんと考える

マルチエフェクターを必要とする理由はいくつかあると思いますが、「自分がなぜマルチを欲しているのか」を明確にしておくことが大事です。
複数並べているコンパクトエフェクターの効果を代用できる道具として使うのか、アンプモデリングも含めた総合的な音作りの道具として使うのか、はたまた実機のアンプと組み合わせたコントロールセンターとして使うのか。
これだけでも選択の方向性は少し変わってくると思います。

コンパクトエフェクターの代用としての用途であれば、なるべく多くのエフェクターが同時に使えるように処理能力が高いものを選ぶでしょうし、アンプモデリングも含めた総合的な音作りの道具とするなら、使いたいアンプモデルが入っていて最も好みにあった音質のものを選ぶでしょう。
実機のアンプとの組み合わせを考えるなら、4CM(=4ケーブルメソッド)に充分な数の端子が筐体にあるか、アンプのチャンネル切り替えに使える外部スイッチ用端子などが用意されているか、そうでないかだけでも判断はできるはずです。

2.機能と操作性、スペックをなるべく詳細に把握する

機能と操作性、スペックの把握には取扱説明書の確認が一番ラクです。
「手に入れてもいない機材の取説を読むなんてバカらしい、めんどくさい」と思うでしょうが、機能を確認する際には「取説に書いてないことは基本的にできない」と見なせます。
取扱説明書のPDFはメーカーサイトで製品の発表後すぐに確認できる場合もありますから、市販前の段階での検討に役立ちます。

操作性については本体での操作だけでなく、エディターソフトやアプリケーションが用意されているかもそれなりに大事な要素になり得ると思います。
本体のボタンやツマミが少なく、ディスプレイも小型な機種でエディターがなければ単純に操作の手間がかかります。
反面エディターでの操作が前提となるようなデザインの製品なのにWindowsPCやMacを所有していなかったら扱いづらいでしょうし、Androidを使っているのにiOSしかアプリケーションが対応していないなんてこともあるかもしれません。
ボタンやエンコーダーは長く使っていると接触不良なども起こりやすいパーツなので、エディターで操作できる機種の方がそういった物理的な故障トラブルを避けやすいと考えることもできます。

スペックの確認はたいてい取説の巻末に仕様表がありますから、筐体のサイズや重量を明確に数値で知ることができますし、ビットレートやサンプリングレート、ダイナミックレンジ、AD/DAの性能などもチェックできます。
ひと昔前の機材なら内部のシグナルフローなども載っていましたが、最近はあまり見ない気がします。

ついでにその取説が何年から頒布されているかを見て、モデルイヤーを確認しておくといいでしょう。
マルチエフェクターはデジタル家電と同じように新しいものは古いものより概ね性能が高くなりますし、メーカーの製品リリースタイミングからモデルチェンジの時期を予想することもできます。
例えば2年落ちで人気機種なら開封品や箱潰れの特価品、あるいは中古のタマも出回りがあるでしょうし、5年落ちならそろそろ後継機種が出てきてもおかしくありません。

3.予算を具体的に計算する

予算に糸目をつけずに選べるならば、最上位機種を買うのがデジタル機器では正解でしょう。
そうもいかない場合は予算に対して要求をどこまで下げられるかを考えることとなり、1.の要素から再検討することになります。

また、本体予算とは別に付帯品に回す予算も考えておくべきです。
1.で例に挙げたように4CMをするなら追加のシールドケーブルが必要になるかもしれませんし、2.で把握した本体のサイズが自分の持っているエフェクターケースより大きい場合はケースの買い替えも必要になるでしょう。
付帯品のグレードと価格もまた全体の予算に響いてくるので、意外と軽視はできない部分となります。

4.製品紹介動画やサンプル音源を鵜呑みにしない

おそらく現代においては2.の要素の把握のために、製品紹介動画やサンプル音源をチェックする人が多くいるでしょう。
ただし動画の中で解説しきれなかったことや敢えて言わなかったこと、触れなかったことなどがないとは言い切れません。
動画ではノイズレスなハイゲインサウンドだと感じたトーンが実はノイズゲートをガチガチに掛けた設定で、ゲートを緩くして自分のスタイルで弾いてみたら使い物にならないレベルだったなんてことはザラにあります。
製品紹介動画はあくまで"紹介者なりのスタイルで使い方を考え、その製品の面白さを伝えようとしてくれているもの"として観るべきでしょう。

マルチエフェクターのDSPの処理限界などは、ちょっと意地の悪い検証実験でもしない限り、使い込んでみて初めて分かることも多いです。
取説にも"最大同時使用可能エフェクト数=〇〇"のような形で書かれることがありますから、注視しておくとDSPの処理限界に引っかかる失敗を避けやすいと思います。
他にも内部処理に起因するレイテンシーや、スイッチングやパッチ切り替え時のラグといった触らないと分からないことは多くあります。
紹介動画で見聞きした最新機種の優れた点が気に入ったならそれでいいですが「買ったはいいけど思ったような使い方ができなかった」ではもったいないですよね。


マルチエフェクター選びの要点について、僕が思うところをカルく挙げてみました。
「コイツは何を当たり前のことを言ってるんだ…」と思っていただけましたか?
今検討中の機種がある方、今後導入を考えている方で、僕の視点での少し踏み込んだ見解が欲しい方は、どうぞお気軽にご連絡いただければと思います。
僕は僕の意見しかお伝えできませんが、記事か動画か、何らかの形で手助けができれば幸いです。

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