第五十回:蕗の薹を待ちながら

○○ちゃ~ん
頑張ってね~!
頑張ってね~!
バイバ~イ!

校庭のフェンス越しに
声をかけてくれる
お友だちに
笑顔で手を振って返す
我が子。

どこに行くのかは
お互いに了解済み
なのでしょう。

羨望

同情
優越

孤独

交錯する
やさしくも
切ない風景

いいお友だちがいる
のだろう
と思いました。


先日
登山した際に
黄色の待宵草
に混ざって
一輪だけ
朝を待たずに
ピンク色
に染まって
咲いていた
月見草

我が子が
見つけて
きれい
と言っていました。

私は
あまり心惹かれませんでした
ので、
写真は撮りませんでしたが、
ふと
小さな花たちが
仲良く咲いている様子
を撮ればよかった
のかもしれない
と思いました。

木々の葉は
常緑樹を残して
土にかえり、
秋から冬にかけて
というのは、
世界に色がなくなる
季節でもありますね。
それは、
大地にかえる季節
でもあり、
その風景は
私たちの心にも
母のもとにかえりたい
一つになりたい
という気持ちを
起させる
ような気がします。

人恋しい
というのは
寒さのため
だけでは
ないのかもしれませんね。

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